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エスリアール王城 出会い
堪忍袋の緒が切れる!?5
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「……まずは課題を取りに行きましょうか。ゾルディアス先生の授業に送ります。それから、本日の放課後の決闘は中止です。」
「ああ?!何だとっ!」
「生徒指導室で私とお話しが必要だからです。」
「チッ。くそっ。」
「エルシオン君、すぐ戻ります。彼女をお願いします。」
「わかりました。」
ラナ先生の方を見ようとソロリと顔を覗かせると男子生徒がこちらを見ていてパチッっと目が合ってしまったが、すぐにシオンさんがスッと私を背中で隠してくれた。
シュン
はぁーー。
先生に強制送還されて行った。
疲れた…。
右手が少しジンジンする。打ち込みの時、痛めちゃったんだな。
「つっ…」
クル…
シオンさんが私の方を向いて、両肩に手を乗せる。
「どこか怪我を!?」
「さっきの男子生徒の顎に掌底を打ったんですけど、その時、手首を痛めたみたいで。」
「今治そう。」
右手にシオンさんの手が添えられ、呪文と共にホワーッと温かい光に包まれる。痛みがスゥーッとなくなっていく。
「もう、痛くなくなりました。ありがとうございます。」
「アーヤがまさか絡まれているなんて。ひとりで嫌な思いをさせた。すまなかった。」
「いえ、謝らないでください。部屋を見に行っていたんだし、こっちから助けを求めないと普通、わからないですよ。水稀で呼びに行かせたらすぐに来てくれましたし。」
「部屋から出る頃、先生と何か様子がおかしいと気づいて、念の為に早く戻ろうとしたら血相を変えた水稀が飛び出して来て驚いた。」
はぁーー。ギュウ…。
ため息混じりのシオンさんに正面から抱き締められた。
「適度な距離で話している内はまだ普通だったんですけど…何だかグイグイ近づいてきてしまって、逃げ腰の私に付け入る隙があったんですね。ダメですね。」
「悪いのはあの生徒だ。同じクラスのようだし、今後は私もいるし気を付ければいい。」
「そうですね。」
「アーヤ、そういえばメガネは?」
「ありますよ。最初、メガネなしで床の魔法陣を見たくて外していたんです。」
“っ~~姫、ざま、ジオン殿、ぐ、ぐるじーにゃ~。”
?!
ああ、水稀を抱っこしたままだったから私とシオンさんの間に挟まれてしまっていたんだ。
「ご、ごめんね水稀。」
「気づかなかった。すまない。」
“ぷはっにゃ~、苦しかったにゃ。”
「水稀、急いで呼んで来てくれてありがとうね。」
“本当はその場で水稀が姫さまをお守りしたかったにゃ。
でも、主命が下下されていたから断腸の思いで行って戻ったにゃん。”
「水稀、私からも礼を。アーヤの為にありがとう。」
“水稀、姫さまの命を全うできたにゃ?”
「ああ。あれ以上、変なことにならなくて済んだのは水稀のおかげだ。」
“フ~ゥゥッ!今思い出しても腸が煮えくり返る思いにゃ~。
あの小僧に水稀も必殺パンチをお見舞いしたかったにゃ。”
水稀必殺のパンチ?意外にも武闘派?魔法じゃなくて?タツノオトシネコのパンチだから
…略してタツネコパンチ?
何ソレ。技の名前が微妙にかわいくなってしまったんですけど。今、笑ってはいけない!堪えて、私。
「…ありがとう水稀。これからは私も、もっと気を付けるけど、もしもの時は頼むね。」
“水稀に任せるにゃん!絶対お守りするにゃ。”
ああ、なんとかわいいガッツポーズか。
力こぶが見えないポッチャリ腕と力んだ拳(肉球) か…。
「かわいい!うちの水稀は本当にかわいいし、いい子だー。癒さ れる~。」
「ああ?!何だとっ!」
「生徒指導室で私とお話しが必要だからです。」
「チッ。くそっ。」
「エルシオン君、すぐ戻ります。彼女をお願いします。」
「わかりました。」
ラナ先生の方を見ようとソロリと顔を覗かせると男子生徒がこちらを見ていてパチッっと目が合ってしまったが、すぐにシオンさんがスッと私を背中で隠してくれた。
シュン
はぁーー。
先生に強制送還されて行った。
疲れた…。
右手が少しジンジンする。打ち込みの時、痛めちゃったんだな。
「つっ…」
クル…
シオンさんが私の方を向いて、両肩に手を乗せる。
「どこか怪我を!?」
「さっきの男子生徒の顎に掌底を打ったんですけど、その時、手首を痛めたみたいで。」
「今治そう。」
右手にシオンさんの手が添えられ、呪文と共にホワーッと温かい光に包まれる。痛みがスゥーッとなくなっていく。
「もう、痛くなくなりました。ありがとうございます。」
「アーヤがまさか絡まれているなんて。ひとりで嫌な思いをさせた。すまなかった。」
「いえ、謝らないでください。部屋を見に行っていたんだし、こっちから助けを求めないと普通、わからないですよ。水稀で呼びに行かせたらすぐに来てくれましたし。」
「部屋から出る頃、先生と何か様子がおかしいと気づいて、念の為に早く戻ろうとしたら血相を変えた水稀が飛び出して来て驚いた。」
はぁーー。ギュウ…。
ため息混じりのシオンさんに正面から抱き締められた。
「適度な距離で話している内はまだ普通だったんですけど…何だかグイグイ近づいてきてしまって、逃げ腰の私に付け入る隙があったんですね。ダメですね。」
「悪いのはあの生徒だ。同じクラスのようだし、今後は私もいるし気を付ければいい。」
「そうですね。」
「アーヤ、そういえばメガネは?」
「ありますよ。最初、メガネなしで床の魔法陣を見たくて外していたんです。」
“っ~~姫、ざま、ジオン殿、ぐ、ぐるじーにゃ~。”
?!
ああ、水稀を抱っこしたままだったから私とシオンさんの間に挟まれてしまっていたんだ。
「ご、ごめんね水稀。」
「気づかなかった。すまない。」
“ぷはっにゃ~、苦しかったにゃ。”
「水稀、急いで呼んで来てくれてありがとうね。」
“本当はその場で水稀が姫さまをお守りしたかったにゃ。
でも、主命が下下されていたから断腸の思いで行って戻ったにゃん。”
「水稀、私からも礼を。アーヤの為にありがとう。」
“水稀、姫さまの命を全うできたにゃ?”
「ああ。あれ以上、変なことにならなくて済んだのは水稀のおかげだ。」
“フ~ゥゥッ!今思い出しても腸が煮えくり返る思いにゃ~。
あの小僧に水稀も必殺パンチをお見舞いしたかったにゃ。”
水稀必殺のパンチ?意外にも武闘派?魔法じゃなくて?タツノオトシネコのパンチだから
…略してタツネコパンチ?
何ソレ。技の名前が微妙にかわいくなってしまったんですけど。今、笑ってはいけない!堪えて、私。
「…ありがとう水稀。これからは私も、もっと気を付けるけど、もしもの時は頼むね。」
“水稀に任せるにゃん!絶対お守りするにゃ。”
ああ、なんとかわいいガッツポーズか。
力こぶが見えないポッチャリ腕と力んだ拳(肉球) か…。
「かわいい!うちの水稀は本当にかわいいし、いい子だー。癒さ れる~。」
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