255 / 599
エスリアール王城 出会い
綺麗なお姉さんはオネエさん?!4
しおりを挟む
「お気になさらず。私がこうしたいだけなので。」
「ラーちゃん、良かったらこれも使って。」
シャルドラクからラナに手渡したのは、冷たいタオルだった。シャルドラクは手渡してからスッと離れてカウンターから様子を伺うことにした。
「ありがとうございます。」
「アーヤさん、冷たいタオルです。少し当ててください。」
「はい。あの、もう大丈夫なので、ラナ先生、お席に戻ってください。美味しい珈琲、冷めちゃいます。」
「本当に大丈夫ですか?では…。」
「あ、シオンさんもお先に食べててください。私も少し冷やしたら食べますから。」
「…わかった。」
カチャ
冷たいタオルを閉じた両目にあてがって気持ちの整理をする。
「…………。」
まさか、珈琲飲んで泣くなんて自分でもビックリだ。いきなりホームシックだったのかな。きっかけは珈琲だけど、これじゃあ店長さんに申し訳ない。
知ってる味で、ほっとして、ただ嬉しくて。気持ちと一緒に溢れたのかな。
店長さんには何だか悪いことをしてしまった。迷惑な客だよ。
ラナ先生やシオンさんにも心配かけてしまった。気持ちを切り替えなきゃ。
もう出ない。大丈夫。
タオルを目から外して明るくなった手元やテーブルの上を見てから、こちらを伺っていたラナ先生と目が合う。
「さっきは、ハンカチーフありがとうございました。お騒がせしてすみません。」
「いいえ、普段ポケットに入っているだけの物ですから、お役にたてたなら嬉しいです。」
「さあ、アーヤさんも頂きましょう。」
「はい。」
珈琲をまた飲み始めても気持ちは落ち着いていた。
「アーヤ、サンドイッチも美味しいよ。」
「何が入っているサンドですか?」
「レタス、ハム、チーズかな。トマトはなかったよ。」
「あ、おいしそう。」
「ひとつ食べてみて。ケーキとマドレーヌだけじゃ、足りないよ。」
「う…じゃあもらいます。」
「はい。」
「ありがとうございます。」
サンドイッチをもらって食べてみる。
パク モグモグ…
パンはフワフワ、レタスはシャキシャキ、肉厚のハムは食べごたえがあってチーズの風味と絶妙な塩気がソースと絡んでとにかくおいしかった。
「おいしいですね!」
落ち着いたようね…。
アーヤが落ち着きを取り戻した様子にほっとしたシャルドラク。
カウンターに戻る途中、アーヤが何故、あのようなことになったのか気になって、カウンターで自分にも入れた珈琲を飲みながら3人の様子を静かに見守っていた。
シャルドラクはラナが連れて来た二人の生徒に元々興味があった。
変わった毛色の子達よね。しかもエルフと迷客だなんて。
「ラーちゃん、良かったらこれも使って。」
シャルドラクからラナに手渡したのは、冷たいタオルだった。シャルドラクは手渡してからスッと離れてカウンターから様子を伺うことにした。
「ありがとうございます。」
「アーヤさん、冷たいタオルです。少し当ててください。」
「はい。あの、もう大丈夫なので、ラナ先生、お席に戻ってください。美味しい珈琲、冷めちゃいます。」
「本当に大丈夫ですか?では…。」
「あ、シオンさんもお先に食べててください。私も少し冷やしたら食べますから。」
「…わかった。」
カチャ
冷たいタオルを閉じた両目にあてがって気持ちの整理をする。
「…………。」
まさか、珈琲飲んで泣くなんて自分でもビックリだ。いきなりホームシックだったのかな。きっかけは珈琲だけど、これじゃあ店長さんに申し訳ない。
知ってる味で、ほっとして、ただ嬉しくて。気持ちと一緒に溢れたのかな。
店長さんには何だか悪いことをしてしまった。迷惑な客だよ。
ラナ先生やシオンさんにも心配かけてしまった。気持ちを切り替えなきゃ。
もう出ない。大丈夫。
タオルを目から外して明るくなった手元やテーブルの上を見てから、こちらを伺っていたラナ先生と目が合う。
「さっきは、ハンカチーフありがとうございました。お騒がせしてすみません。」
「いいえ、普段ポケットに入っているだけの物ですから、お役にたてたなら嬉しいです。」
「さあ、アーヤさんも頂きましょう。」
「はい。」
珈琲をまた飲み始めても気持ちは落ち着いていた。
「アーヤ、サンドイッチも美味しいよ。」
「何が入っているサンドですか?」
「レタス、ハム、チーズかな。トマトはなかったよ。」
「あ、おいしそう。」
「ひとつ食べてみて。ケーキとマドレーヌだけじゃ、足りないよ。」
「う…じゃあもらいます。」
「はい。」
「ありがとうございます。」
サンドイッチをもらって食べてみる。
パク モグモグ…
パンはフワフワ、レタスはシャキシャキ、肉厚のハムは食べごたえがあってチーズの風味と絶妙な塩気がソースと絡んでとにかくおいしかった。
「おいしいですね!」
落ち着いたようね…。
アーヤが落ち着きを取り戻した様子にほっとしたシャルドラク。
カウンターに戻る途中、アーヤが何故、あのようなことになったのか気になって、カウンターで自分にも入れた珈琲を飲みながら3人の様子を静かに見守っていた。
シャルドラクはラナが連れて来た二人の生徒に元々興味があった。
変わった毛色の子達よね。しかもエルフと迷客だなんて。
0
お気に入りに追加
532
あなたにおすすめの小説
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪
桐生桜月姫
ファンタジー
愛良と晶は仲良しで有名な双子だった。
いつも一緒で、いつも同じ行動をしていた。
好き好みもとても似ていて、常に仲良しだった。
そして、一緒に事故で亡くなった。
そんな2人は転生して目が覚めても、またしても双子でしかも王族だった!?
アイリスとアキレスそれが転生後の双子の名前だ。
相変わらずそっくりで仲良しなハイエルフと人間族とのハーフの双子は異世界知識を使って楽しくチートする!!
「わたしたち、」「ぼくたち、」
「「転生しても〜超仲良し!!」」
最強な天然双子は今日もとっても仲良しです!!
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる