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エスリアール王城 出会い
イヤーフックと鑑定4
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「アーヤ様、一体何が?」
「え~とですね、オーナーさん、私から説明します。」
私は説明しましたよ。かくかくしかじかと。
最終的にポケットからハンカチの包みも出して何ものっていないトレーの上に置いてハンカチを開こうとしたら止められた。
オーナーさんは見るからに慌てた様子で…。
「お待ちください。」
ササッと白い手袋をはめてから何やら職人さんが使うような道具鞄を横に置いた。
「それではこちらが本日、鑑定を依頼されようとお持ちになった石でございますか?」
「はい。そうです。急な鑑定ですみませんがお願いします。」
「承りました。失礼致します。」
ハンカチがオーナーさんの手によって開かれ、雫の形をした透明な石がコロンと少し転がった。
「これは…大変貴重な石の可能性が高く、専門書がある別室で鑑定させて頂いてもよろしいでしょうか?」
オーナーさんが月の雫と水稀が言った石を見ながら話した。
「はい、どうぞ。」
「オーナーのやり易いようにで構いません。」
専門家にお任せして素人は待つだけだ。オーナーさんはトレーと鞄を持って別室に下がった。
ノワールを撫でながら私の頭の中では、テレビ番組のなんでも鑑定してくれる丁度鑑定中に流れる音楽が奏でられていた。私の場合、金額はあまり関係なくて、これが何なのかを知りたいのだけなんだけどね。
チャララララ~ラ~ララララ~ラ~
ララララ~ラ~ラ~♪
視界に入る黒い影。あ、最近前髪伸びてきたな。目にチクチク邪魔になる前に切らないとな。前はシオンさんに切ってもらったけど、今晩あたり自分で切ろうかな。2㎝か3㎝位は切りたいな~。
一人、ツンツン前髪をいじっていると沈黙を破ったのは…。
「勝手に一人でしてはいけないよ。」
シオンさんでした。前髪切ろうとしてたのがバレてる?
「え、一人で?し、しませんよ。ちゃんとシオンさんに頼もうかと…思う前に一人でしようと思ってました。」
「やっぱりね。」
「う、すみません。」
誤魔化そうとしてみたが、無駄なあがきだったと判断して瞬時に本当のことを告げ、白旗を上げました。
「…私にされるのは嫌?」
「嫌じゃないです。してもらう方が楽なんですけど、ただ…。」
「うん?」
「その間近いし、目を閉じてる時やっぱりちょっと恥ずかしくて。」
「慣れて。」
「う…次でまだ2回目。」
「前髪ならすぐまた伸びるし、慣れて。」
「はい。」
エルシオンとアーヤ二人の会話を聞いていたラナはその会話から推測するしかなかった。
アーヤさんがデュカーレ君に何か咎められています。
察するに、何かをアーヤさんお一人で しようとして以前にもデュカーレ君がそれをよしとせず、デュカーレ君がしたと。
その時に釘を刺したにも関わらず、またお一人でやろうと思案していることがバレてしまった、ということでしょうか。
はて、何がそんなに恥ずかしいのか慣れが必要な目を瞑ることとは一体…。
なるほど。前髪ですか。
ようやく何のことを話していたのかがわかり、肩の力が抜けたラナであった。
「そういえばアーヤさん、今日の髪型や服装はいつもと雰囲気が違うのですね。」
「あ、はい。今までおしとやかな服装ばかりでしたが、実はこういった動きやすい格好の方が好きなんです。先生と出先でお会いしたあの日に購入して頂いたんです。」
「ああ、あの日ですか。」
「普段スカートなんてほとんど着ない生活だった私にはこちらのロングスカートの生活は動きにくいし、がさつさを自覚し直したりもんですが…どうしてもズボンが履きたくて。これは高級過ぎて気後れはありますが、やっぱりズボンの方がいいんですよね~。」
「マジェストーラ国の聖獣、青龍ですね。よくお似合いです。」
「こちらの女性はあまりこういった格好しないそうですが、まあ私は迷客だし、気にしないことにしまして。あはは。」
「ええ、外聞など気にする必要はありませんよ。」
ニャ~オン
「え~とですね、オーナーさん、私から説明します。」
私は説明しましたよ。かくかくしかじかと。
最終的にポケットからハンカチの包みも出して何ものっていないトレーの上に置いてハンカチを開こうとしたら止められた。
オーナーさんは見るからに慌てた様子で…。
「お待ちください。」
ササッと白い手袋をはめてから何やら職人さんが使うような道具鞄を横に置いた。
「それではこちらが本日、鑑定を依頼されようとお持ちになった石でございますか?」
「はい。そうです。急な鑑定ですみませんがお願いします。」
「承りました。失礼致します。」
ハンカチがオーナーさんの手によって開かれ、雫の形をした透明な石がコロンと少し転がった。
「これは…大変貴重な石の可能性が高く、専門書がある別室で鑑定させて頂いてもよろしいでしょうか?」
オーナーさんが月の雫と水稀が言った石を見ながら話した。
「はい、どうぞ。」
「オーナーのやり易いようにで構いません。」
専門家にお任せして素人は待つだけだ。オーナーさんはトレーと鞄を持って別室に下がった。
ノワールを撫でながら私の頭の中では、テレビ番組のなんでも鑑定してくれる丁度鑑定中に流れる音楽が奏でられていた。私の場合、金額はあまり関係なくて、これが何なのかを知りたいのだけなんだけどね。
チャララララ~ラ~ララララ~ラ~
ララララ~ラ~ラ~♪
視界に入る黒い影。あ、最近前髪伸びてきたな。目にチクチク邪魔になる前に切らないとな。前はシオンさんに切ってもらったけど、今晩あたり自分で切ろうかな。2㎝か3㎝位は切りたいな~。
一人、ツンツン前髪をいじっていると沈黙を破ったのは…。
「勝手に一人でしてはいけないよ。」
シオンさんでした。前髪切ろうとしてたのがバレてる?
「え、一人で?し、しませんよ。ちゃんとシオンさんに頼もうかと…思う前に一人でしようと思ってました。」
「やっぱりね。」
「う、すみません。」
誤魔化そうとしてみたが、無駄なあがきだったと判断して瞬時に本当のことを告げ、白旗を上げました。
「…私にされるのは嫌?」
「嫌じゃないです。してもらう方が楽なんですけど、ただ…。」
「うん?」
「その間近いし、目を閉じてる時やっぱりちょっと恥ずかしくて。」
「慣れて。」
「う…次でまだ2回目。」
「前髪ならすぐまた伸びるし、慣れて。」
「はい。」
エルシオンとアーヤ二人の会話を聞いていたラナはその会話から推測するしかなかった。
アーヤさんがデュカーレ君に何か咎められています。
察するに、何かをアーヤさんお一人で しようとして以前にもデュカーレ君がそれをよしとせず、デュカーレ君がしたと。
その時に釘を刺したにも関わらず、またお一人でやろうと思案していることがバレてしまった、ということでしょうか。
はて、何がそんなに恥ずかしいのか慣れが必要な目を瞑ることとは一体…。
なるほど。前髪ですか。
ようやく何のことを話していたのかがわかり、肩の力が抜けたラナであった。
「そういえばアーヤさん、今日の髪型や服装はいつもと雰囲気が違うのですね。」
「あ、はい。今までおしとやかな服装ばかりでしたが、実はこういった動きやすい格好の方が好きなんです。先生と出先でお会いしたあの日に購入して頂いたんです。」
「ああ、あの日ですか。」
「普段スカートなんてほとんど着ない生活だった私にはこちらのロングスカートの生活は動きにくいし、がさつさを自覚し直したりもんですが…どうしてもズボンが履きたくて。これは高級過ぎて気後れはありますが、やっぱりズボンの方がいいんですよね~。」
「マジェストーラ国の聖獣、青龍ですね。よくお似合いです。」
「こちらの女性はあまりこういった格好しないそうですが、まあ私は迷客だし、気にしないことにしまして。あはは。」
「ええ、外聞など気にする必要はありませんよ。」
ニャ~オン
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