夢じゃなかった！？

エスリアール王城 出会い

新術は閃きと共に2

「はっ！じ、実はそうなんです。移動の前に少しお時間大丈夫ですか？」

「はい。大丈夫ですよ。」

「水稀のことです。契約した使い魔って普段は側に居続けないとシオンさんには教えてもらったのですが、私は契約後の使い魔の還かえし方もわからなくて、ずっと一緒にいるので、私なりに考えた方法が可能なのか、それとも一般的に戻してあげる方法がいいのかわからないので教えて頂きたくて。」

「一般的な使い魔を戻す方法は教えて差し上げられますが、アーヤさんが考えついた方法ということに興味が湧わきますね。ちなみにどんな方法かお聞ききしても？」

「はい。あくまでも思いつきという程度なんですが、私の使い魔なので、魔力や性質的な何かは同化していると仮定して、私の影に入れるんじゃないかなと思いました。

ほら、私の属性に無属性がありますし、空間魔法の応用とかで。

魔法陣は全くわからないけれど、何だか漠然ばくぜんとできそうな気がしただけで、具体的な方法はわかりません。すみませんこんな感じです。」

「謝ることはありませんよ。魔法、魔術において柔軟な発想や新たな可能性を考えることはとても大切なことですから。

なるほど。試す価値がありそうですよ。」

「え、いいんですか？」


「私がサポートします。アーヤさんが考えた使い魔を己の影に受け入れる方法は、確かに空間魔法の応用と言えます。

魔法陣は魔力で作り出した強制的な出入口、門の役割を担う物ですが、影は持ち主のいわば分身。魔力を影に繋げることができれば陣で作り出さずとも常に在る出入口となれるかもしれません。

使い魔の生息地から呼び、戻すのではなく影から呼び、戻すようにすればいいわけです。」

「水稀、影からの出入を試してみたいのだけど、いずれきちんとふるさとに出入する方法も勉強するから今は影でやってみてもいい？」

“まだ、姫ひいさまと一緒にいたいから影でいいにゃ。”


「ではまず、アーヤさん、魔力を確認できるようにレンズを外した方が良いでしょう。私も見易くします。」

「はい。」

メガネを外して、水稀を空中に離した。うう、ラナ先生もメガネなしサリアンさんになってる。メガネにチェーン付いてるから手放しで首から下げれるのか。あまり顔見ないようにしよう。心臓に悪いから。


「アーヤ、レンズ預かるよ。」

「ありがとうございます。」

すーはー。深呼吸してから魔力の循環を意識して操作し始める。

「魔力を足元に集中させて、そうです。次に足裏から影の縁取りを一周してみましょう。」

「…………。」