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【映画】 ウインド・リバー (2018年)
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主演:ジェレミー・レナ―、エリザベス・オルセン
ジャンル:サスペンス
私のおすすめ度:★★★★★(5)
本日の鑑賞作品「ウインド・リバー」
実は、こちらの作品、女性ファッション雑誌で蛭子能収さんがお勧めしている映画の内の1本でした。
自分目線で観る映画を決めてしまうと、どうも偏りが出てしまうので、たまには人のお勧め作品を観てみるのもいいですよね。
それでは、ネタバレを含むレビューとなります ↓
この映画は、実際にあったことをテーマにしたノンフィクション作品のようです。(多少の脚色はあるかもしれませんが)
舞台は積雪地帯ワイオミング州ウインド・リバー、ネイティブアメリカンの居留地となっている地区です。
主人公の狩人(ハンター)コリーは、奥様がその地区のネイティブアメリカンの女性で、2人の子供がいました。
その子供の1人、高校生の娘は以前、雪原で遺体となり発見されました。(獣に遺体を食べられてしまっていて詳しい死因は不明)
その辛い体験の為か、奥様とは離婚し、残された幼い息子とは狩りをたまにしたりして過ごしているようです。
ある日、彼は自分の娘と同年齢の少女の暴行された遺体を雪原で発見します。
その遺体が、実は娘と親友の少女「ナタリー」だったんです。
その事件がきっかけで、FBIから新人女性捜査官のジェーンが派遣されてきます。
あまりFBIが重要視していない事件なので、女性1人、新人をこの地区に派遣したんでしょうね。
ジェーンは全くこの地に詳しくなかった為、ハンターで土地勘があるコリーに案内を頼みます。
実は、コリーはすでに親友の少女を殺されたという恨みを晴らすべく、心の内では犯人への復讐を決意していました。
しかも凄腕ハンター……
もし、自分の娘や親友の娘が同じような目に合ったらと思うと、とても胸が痛みます。
捜査を進めていくうちに怪しい人間が何人か出てくるのですが、ジェーンの最初の予想は外れます。
その捜査対象のグループに半家出状態のナタリーの兄がいるのですが、彼によりナタリーが付き合っていたという掘削所の警備員のマットが容疑者として浮上します。
コリーは雪原に残ったスノーモービルのタイヤ痕に目を付け、ジェーンとその痕跡を追うと、マットは雪原の中で遺体となって発見されます。
マットが勤務していた掘削所にジェーンと地元警察のベンと護衛の警察官達が捜査に向かいます。
堀削所の作業員は全員で結託していたのか、マットが住んでいた住居内を見せることを避ける為、地元警官やジェーンを銃等で脅します。
警官と堀削所の作業員はお互いに嫌悪感があったのか、誰もが銃を構えて一触即発の状態でした。
このシーンからも、地元と他所から一時的に労働に来ている人間との間に軋轢があったことが分かります。
その緊迫した状況を冷静に対処したのは、FBI捜査官のジェーンでした。
そして遂にジェーンがマットの住んでいた住居の前に確認に行くと……
ここで急に回想シーンとなり、ナタリーとマットがどのような経緯で事件に巻き込まれてしまったのかが判明します。
ナタリーとマットは他の作業員が帰って来ないと思って、ベットを共にしていたのですが、そこに酔っ払った作業員がたまたま帰ってきてしまい、絡まれて暴行されてしまうんです。
勿論、暴行をした犯人達が一番悪いんですけど、女性とそんな男性だらけの職場で、そういう事をしてしまうのは、やっぱり危険だと思うんですよね。
雪深い地域で、他に会える場所もなかったのかもしれませんが。
ナタリーも、若すぎた為に最悪の事態が起きたりすることは想像できなかったのかもしれません。
親友である、コリーの娘も同年代で催したパーティー後に亡くなっているだけに、余計に気をつけた方が良かったのかもなと思います。
その暴行の中心人物だった男が、FBIのジェーンが中の様子を窺った時に銃で撃ってしまい、次々と作業員と警官との銃撃戦が始まってしまいます。
本当に銃が蔓延ってしまっている社会は嫌なものですね。
映画の世界で見るだけでも不快な気持ちになります。
ジェーンもベンも銃で撃たれてしまい、遠くで様子を見張っていたコリーが次々に敵対化した作業員を撃っていきます。
ジェーン以外の全員が銃撃戦で死んでしまい、コリーが急いで駆けつけるとジェーンは重傷でしたが、唯一逃げおおせた真犯人を追ってくれと彼に頼みます。
コリーが犯人に追いつき、ナタリーが亡くなっていた時と同じ状態で苦しむよう犯人に報復します。
裸足で凍傷にさせ、雪原を走らせる。
空気が冷たすぎる為、荒い呼吸をしただけで血液が急激に冷やされて、肺が破裂してしまうらしいのですが、この犯人は数メートルで死んでしまいます。
ナタリーは雪原の中を10㎞も走っていたそうです。
如何に必死で逃げたかったのかが分かりますし、とても強い精神を持った女の子であったことが分かります。
コリーが事件解決後に捜査官のジェーンを見舞うシーンで
「都会では運というものは存在するかもしれないけれど、この地区では強さが全てで、弱いものは淘汰されてしまう」
というような事を語っています。
また、ジェーンには、その強さがあると励ましていました。
弱いもの=鹿に例えて話していましたが、本当に危険な世界では、自分で自分を守るしか生きていく道はないのだなと感じました。
コリーが、ナタリーの父親に語っていたことも印象的でした。
「辛いことから逃げてしまうと、ナタリーの良い思い出まで消えてしまう。彼女と共にいたいのなら、辛くても逃げずに憶えていること、だから苦しめ」
経験者しか分からない深い言葉だなと感じました。
なかなか身内を事件で亡くして、こう言える強い人は居ないと思います。
映画の最後に、居留地では、ネイティブ・アメリカンの少女失踪事件が多数起こっており、未解決の事件も多数あるというテロップが流れます。
この映画のテーマは、今も残る米国での差別問題なのだと思います。
サスペンス映画として興味深いだけではなく、これが実際に起きてしまった事件なのだと思うと、また映画の捉え方も変わってきます。
本日の結論: 人種差別問題は対岸の火事と思うべからず。
ジャンル:サスペンス
私のおすすめ度:★★★★★(5)
本日の鑑賞作品「ウインド・リバー」
実は、こちらの作品、女性ファッション雑誌で蛭子能収さんがお勧めしている映画の内の1本でした。
自分目線で観る映画を決めてしまうと、どうも偏りが出てしまうので、たまには人のお勧め作品を観てみるのもいいですよね。
それでは、ネタバレを含むレビューとなります ↓
この映画は、実際にあったことをテーマにしたノンフィクション作品のようです。(多少の脚色はあるかもしれませんが)
舞台は積雪地帯ワイオミング州ウインド・リバー、ネイティブアメリカンの居留地となっている地区です。
主人公の狩人(ハンター)コリーは、奥様がその地区のネイティブアメリカンの女性で、2人の子供がいました。
その子供の1人、高校生の娘は以前、雪原で遺体となり発見されました。(獣に遺体を食べられてしまっていて詳しい死因は不明)
その辛い体験の為か、奥様とは離婚し、残された幼い息子とは狩りをたまにしたりして過ごしているようです。
ある日、彼は自分の娘と同年齢の少女の暴行された遺体を雪原で発見します。
その遺体が、実は娘と親友の少女「ナタリー」だったんです。
その事件がきっかけで、FBIから新人女性捜査官のジェーンが派遣されてきます。
あまりFBIが重要視していない事件なので、女性1人、新人をこの地区に派遣したんでしょうね。
ジェーンは全くこの地に詳しくなかった為、ハンターで土地勘があるコリーに案内を頼みます。
実は、コリーはすでに親友の少女を殺されたという恨みを晴らすべく、心の内では犯人への復讐を決意していました。
しかも凄腕ハンター……
もし、自分の娘や親友の娘が同じような目に合ったらと思うと、とても胸が痛みます。
捜査を進めていくうちに怪しい人間が何人か出てくるのですが、ジェーンの最初の予想は外れます。
その捜査対象のグループに半家出状態のナタリーの兄がいるのですが、彼によりナタリーが付き合っていたという掘削所の警備員のマットが容疑者として浮上します。
コリーは雪原に残ったスノーモービルのタイヤ痕に目を付け、ジェーンとその痕跡を追うと、マットは雪原の中で遺体となって発見されます。
マットが勤務していた掘削所にジェーンと地元警察のベンと護衛の警察官達が捜査に向かいます。
堀削所の作業員は全員で結託していたのか、マットが住んでいた住居内を見せることを避ける為、地元警官やジェーンを銃等で脅します。
警官と堀削所の作業員はお互いに嫌悪感があったのか、誰もが銃を構えて一触即発の状態でした。
このシーンからも、地元と他所から一時的に労働に来ている人間との間に軋轢があったことが分かります。
その緊迫した状況を冷静に対処したのは、FBI捜査官のジェーンでした。
そして遂にジェーンがマットの住んでいた住居の前に確認に行くと……
ここで急に回想シーンとなり、ナタリーとマットがどのような経緯で事件に巻き込まれてしまったのかが判明します。
ナタリーとマットは他の作業員が帰って来ないと思って、ベットを共にしていたのですが、そこに酔っ払った作業員がたまたま帰ってきてしまい、絡まれて暴行されてしまうんです。
勿論、暴行をした犯人達が一番悪いんですけど、女性とそんな男性だらけの職場で、そういう事をしてしまうのは、やっぱり危険だと思うんですよね。
雪深い地域で、他に会える場所もなかったのかもしれませんが。
ナタリーも、若すぎた為に最悪の事態が起きたりすることは想像できなかったのかもしれません。
親友である、コリーの娘も同年代で催したパーティー後に亡くなっているだけに、余計に気をつけた方が良かったのかもなと思います。
その暴行の中心人物だった男が、FBIのジェーンが中の様子を窺った時に銃で撃ってしまい、次々と作業員と警官との銃撃戦が始まってしまいます。
本当に銃が蔓延ってしまっている社会は嫌なものですね。
映画の世界で見るだけでも不快な気持ちになります。
ジェーンもベンも銃で撃たれてしまい、遠くで様子を見張っていたコリーが次々に敵対化した作業員を撃っていきます。
ジェーン以外の全員が銃撃戦で死んでしまい、コリーが急いで駆けつけるとジェーンは重傷でしたが、唯一逃げおおせた真犯人を追ってくれと彼に頼みます。
コリーが犯人に追いつき、ナタリーが亡くなっていた時と同じ状態で苦しむよう犯人に報復します。
裸足で凍傷にさせ、雪原を走らせる。
空気が冷たすぎる為、荒い呼吸をしただけで血液が急激に冷やされて、肺が破裂してしまうらしいのですが、この犯人は数メートルで死んでしまいます。
ナタリーは雪原の中を10㎞も走っていたそうです。
如何に必死で逃げたかったのかが分かりますし、とても強い精神を持った女の子であったことが分かります。
コリーが事件解決後に捜査官のジェーンを見舞うシーンで
「都会では運というものは存在するかもしれないけれど、この地区では強さが全てで、弱いものは淘汰されてしまう」
というような事を語っています。
また、ジェーンには、その強さがあると励ましていました。
弱いもの=鹿に例えて話していましたが、本当に危険な世界では、自分で自分を守るしか生きていく道はないのだなと感じました。
コリーが、ナタリーの父親に語っていたことも印象的でした。
「辛いことから逃げてしまうと、ナタリーの良い思い出まで消えてしまう。彼女と共にいたいのなら、辛くても逃げずに憶えていること、だから苦しめ」
経験者しか分からない深い言葉だなと感じました。
なかなか身内を事件で亡くして、こう言える強い人は居ないと思います。
映画の最後に、居留地では、ネイティブ・アメリカンの少女失踪事件が多数起こっており、未解決の事件も多数あるというテロップが流れます。
この映画のテーマは、今も残る米国での差別問題なのだと思います。
サスペンス映画として興味深いだけではなく、これが実際に起きてしまった事件なのだと思うと、また映画の捉え方も変わってきます。
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