【完結・R18】夢で美女を好き勝手できる呪いにかかった王子は、婚約者に土下座する

花伊美咲

文字の大きさ
上 下
4 / 12

婚約者ルチアと夢の女 02

しおりを挟む



「あぁっ……! アルバート様! もっと、もっとして下さい……!」


 ああ、やっぱり抗えなかった。俺は切なそうに懇願する彼女を振り切れない。ずちゅずちゅと彼女の中を追い上げ、自分も吐精する。もうこれで三度目だ。今夜は彼女も何か感じているのか、中がうねるように俺の精を搾り取ってくる。


「私だけ、私だけを愛してくださいませ……」


 その言葉に喜びと同じくらい、苦しさがよぎる。この国の王族は側妃をもてない。血筋で争いごとを避けるため、妻は一人だけだ。唯一許されているのが、結婚前の伽だけ。


 この女は呪いの夢の人間だ。この場で睦言として約束するのは危険だし、なにより俺には婚約者ルチアがいる。真面目で堅物できっと閨事には疎いだろう。この女にもたらされる喜びは皆無な結婚生活だ。


 それでも彼女は――。


 ずるりと女の中から肉棒を抜くと、自分で見ても卑猥に思うほどヌラヌラと濡れ、そそり勃っていた。女の蜜壺からは、二人の熱い粘液がこぽりと溢れ出す。


 また女の中に入れて、思う存分突き上げたい。そんな欲望が膨れ上がると同時に、同じくらいの強さでルチアの頬を染め喜ぶ顔が頭に浮かんできた。


「……すまない。それはできないんだ」
「……私がお嫌いですか? こんなに淫らだから?」


 女の取り乱し泣く様子に、思わず手を伸ばし慰めようとする。それでも昼間見た嬉しそうなルチアの笑顔。何年も未来の王妃として頑張ってきた姿を想うと、ここが潮時なのだろう。俺は伸ばしかけた手を引き、無言で女を見つめた。


「もう、アルバート様は、私を必要としないのですね……」
「……すまない」


 俺がそう答えた瞬間、女は砂の城が崩れるように、目の前からすうっと消えた。ほんの一瞬、名前を聞けば良かったかと、後悔の気持ちが湧く。しかしその気持ちも、目が覚めると同時に消え去ってしまった。


「殿下、おはようございます。おや、今日は顔色が良いですね」


 部屋に入ってきた従者の声が、スッと頭に入ってきた。いつもの気だるい目覚めとは違う。


(呪いが解けたか……)


 目の前で消えた女とは、もう二度と会えない。そう、確信めいたものを感じた。そしてその予感どおり、毎夜現れていた夢の女は、次の日から出てこなくなった。


 これからは、ルチア一人を愛していこう。


 そう決意し日々を過ごしていると、意外にもあの女への執着心は湧いてこなかった。呪われてると教えてくれた魔術師を呼び出し確認しても、やはり解呪されていると驚いていた。


「これで、良かったんだ……」


それに今日は結婚式の日取りを決めるため、両家の話し合いがある。心が決まって良かった。俺はすうっと大きく息を吸うと、足取り軽くルチアの元へ急いだ。


「アルバート様!」


 ルチアとその両親が待つ部屋に入ると、顔にベールをかけた女性が立ち上がった。両隣にルチアの両親であるカザリー侯爵夫妻がいるのだから、ルチアだろうけど別人に見える。


 ベールだけじゃない。ルチアの服装もいつもと違う。目の前にいる女性は、胸元が大きく開いた流行のドレスを着ている。そしてそこから零れんばかりの豊かな胸が見えた。


 それに髪もダークブラウンだったはずだ。それなのにベールからはみ出している髪は、艷やかな金色だ。それに声まで違う!


「ル、ルチア……? いや、しかし声や髪色が……」
「ふふ! アルバート様、私はルチアですよ?」


 そう言ってその女性がベールを取ると、目の前には金色の猫のような目で見つめる、夢の女がいた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

閉じ込めちゃうほど重い愛を受け止めて!

しがついつか
恋愛
ルイーザは見知らぬ部屋で目を覚ました。 首輪を付けられ、部屋に閉じ込められていた。 アラフォーとなり日々の生活に疲れ切っていた彼女は、見知らぬ部屋からの脱出を簡単に諦めた。

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

処理中です...