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性欲に弱い王子は、呪われる 01
しおりを挟む「あっん……! はあ……あぁ……!」
「気持ちいいか? ほら、ここがおまえの好きなとこだろう?」
女を焦らすように浅く擦り続けていた剛直を、ずぶりと奥まで一気に突き立てる。すると待ち望んでいたように女は甘い嬌声を上げ、もっともっとと強請るように、自分の尻を俺の腹に押し付けてきた。
「あぁ……! 気持ち……いい……あっ……!」
女の蜜壺は俺の剛直をねっとりと締め付けている。吸い付くようなその刺激に思わず吐精してしまいそうになるが、なんとか堪え、女の中を激しく掻き回す。じゅぶじゅぶと部屋に響く卑猥な水音が俺をよけいに興奮させ、自分でも知らなかった凶暴さが顔を出した。
「どこに出して欲しい? 言え」
「あっ……はぁ……な、中に……中にください……」
俺はその言葉にニヤリと笑い、心が満たされていくのを感じた。この女は俺の欲しい言葉をいつも言ってくれる。他の者では味わうことができない感情に頭まで痺れるようだ。気付けば俺は女の腰を乱暴に掴み、その暴れ狂う熱をたっぷりと吐き出していた。
「あぁ……! 殿下!」
「ほら、全部飲み込め!」
ビクビクと震える女の蜜壺に腰を押し付け、どくどくと出続ける精を奥に擦り付ける。女の中に注いだものをすべて受け止めさせようと、そのまま何度か腰を突き上げた。
「あっ……だ、だめです……殿下! もう私……!」
「大丈夫だ。また達すればいい……」
俺が出した白濁が、女の蜜壺の隙間からとろとろと溢れ出してくる。みっちりと剛直が埋まったその淫靡な光景に、再び硬くなるのがわかった。
「まだまだ、夜は長い……。俺にまだ夢を見させてくれ……」
そう言って女を仰向けにし、足を深く折り曲げ、真上からずぶりと熱い肉棒を挿入していく。ああ、女はこの一突きだけで、また達してしまった。なんて可愛いんだ。
――これが現実だったら、どんなに良かったか
俺は夢が覚めないよう願いながら、一心不乱に腰を動かしていた。
◇
「はあ……また朝になってしまったか」
夜が明ければ朝になる。当たり前のことなのに、俺は大きなため息を吐いた。あの素晴らしい逢瀬は俺の夢でしか行われない。いつ頃からかはっきり覚えていないが、あの女が夢に現れてからというもの、俺は夜伽の女に見向きもしなくなっていた。
「夜まで長いな……」
起きたばかりなのにもう女と会うのが待ちきれず、ぼそりと馬鹿げた独り言を呟く。それもそのはず、朝だというのに俺の下腹部はかなり元気になっている。朝の生理現象だけとは、とても思えない。それでも救いは夢ではあんなに吐精していたのに、現実では下着を汚していないことだろう。
「殿下、今日は体調管理の日ですから、早く起きて下さい」
従者にそう急かされ、しかたなくベッドから出て着替えを済ませる。忘れていたが今日は体調管理の日だったか。通常の体調と共に、魔術を使っての検査をしないといけない。やや面倒だが、書類仕事より気がラクでいい。どうせいつもどおり何も変化無しで終わるのだ。ゆっくりお茶を飲んで、夢の彼女のことでも考えていればいい。そう思っていたのだが。
「殿下! 大変です! 殿下は呪いにかかっています!」
「はあ? 呪い?」
突拍子もないその言葉に、思わず王族らしくない返事をしてしまった。それでも大変なことが起こったと動転している周囲は、そんな俺の言葉使いにも気が付かない。危ない危ない。心の中の声と表向きの王子としての顔をちゃんと使い分けなくては。
「それは本当なのか? 私にそんな不調なことは起こっていないが」
「本当です! 殿下は最近、悪夢にうなされていませんか?」
「悪夢? いや、それはない」
悪夢どころか、最高の夢を毎日見ている。しかし夢の内容まで話すことはできないので、ただ否定するしかなかった。
「本当ですか? しかし殿下の体にはたしかに呪いがかかっているのです! 悪夢ではなくても、何か不思議な夢は見ていませんか? 例えば現実との区別がつかないような夢とか?」
その言葉に俺がピクリと眉を動かすと、勘の良い魔術師は「やはり……」と呟き、頭を抱え始めた。
「そんな心配するような悪夢では無い。……どちらかというと楽しい夢だ。気にするな」
「ああ、殿下は夢の虜になっておられる……!」
「待て、何をそんなに嘆くことがある。大袈裟だ」
魔術師の大層な口ぶりに、俺はやや呆れ顔でため息を吐く。夢を見たからどうだっていうんだ? 夢は俺に快楽こそ与えるが、苦痛などもらったことはない。心配し過ぎだ。しかし魔術師は俺のその態度に、怒り心頭だ。
「殿下! 呪いを軽んじてはなりません! このままでは夢に取り込まれますぞ!」
「夢に取り込まれる!?」
魔術師のその言葉に俺だけじゃなく、側近達もざわりと騒ぎ出す。一瞬「あの夢に取り込まれるのか。それもいいな」と思ってしまったが、魔術師の焦りようを見ると、かなり深刻なようだ。まだ馬鹿らしいと思う気持ちは消えないが、もう少し真剣に聞いておこう。
「どういうことなんだ?」
詳しく聞いてみると、こういうことだった。このまま俺があの夢を見ていると、夢と現実の境目がわからなくなるらしい。そして俺は無意識にどちらかを選んでしまい、夢がいいと思ってしまえばそのまま眠り続け、起きられなくなるという。なんだかさっき思ったことを見透かされたようで、ぞくりと背中に悪寒が走った。
(少し考えただけでも危険そうだな。でもたしかに取り込まれてしまいそうなくらいあの夢は、いや、あの女は魅力的だ……)
とはいっても、今の現実を捨て、夢に飛び込む気は毛頭ない。そこまで俺は愚かではない。……はずだ。
「それで、どうやったら、この呪いが解けるんだ? 私は何をすればいい?」
「それが、まだわからないのです。この呪いはかなり昔に作られたもので、古い文献で調べなくては確かなことが言えません。とりあえず殿下は夢に抗ってもらうしかないのです」
魔術師は申し訳無さそうに頭を下げ、「近日中に必ず解呪します」と言って、足早に去って行った。
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