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18・己の軸
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大人たちの動きは早かった。けれど憂花の動きはそれ以上に早いようだった。 病院も憂花の自宅もいつの間にかもぬけの殻になっており、行方は杳として知れなかった。警察も本格的な捜索に乗り出すということで、稔たちは和紗と拓海の父親の捜索からは外されたのだった。
「大丈夫か、璃子?」
そして稔は母からの命もあって、璃子の傍にいることになった。あんなことがあったあとだ。自分が傍にいてもいいのだろうかとも思ったのだが、璃子を一人にしてはおけなかった。
璃子はベッドの上で膝を抱えている。しかしその呼吸が僅かに乱れていることに稔は気付いていた。和紗は璃子にも病気を感染させている。その症状がどんなものか、稔もその身を持って知っていた。
「璃子……その……」
けれど、どうやって切り出せばいいのか稔にもわからなかった。稔が口籠っていると、耐えきれなくなったのか璃子が立ち上がる。稔は慌てて璃子を引き止めた。
「体が、変な感じなんだろ? だから――俺で、よければ」
璃子は潤んだ目で稔を見た。璃子が感染したことをいいことに手を出そうとしているのではないか、という罪悪感は確かにあった。けれど、璃子がつらい思いをするくらいならという気持ちもある。
璃子が稔にしがみつくように抱きついてきた。彼女の体が火照っているのがわかる。
「稔……お願い。さわってほしい……」
「わかった」
稔は璃子の頭を抱えるようにしてキスをした。璃子は緊張しているようだったが、少しずつ角度を変えながら口づけを深くしていくと、徐々に稔に応えるように舌を動かし始めた。稔はキスを続けたまま、服の上から璃子の左胸に触れる。
「ん……ん、ふぅ……ッ……んん……っ」
抱き合った状態で二人はベッドに倒れ込む。稔は璃子の首筋から鎖骨へ唇を移動させながら、璃子の服を脱がせていった。腹部には不気味な模様が光っている。稔は璃子の柔らかな胸を包む薄い桃色のブラジャーの中に手を滑らせた。片手では包みきれない大きさの胸を優しく揉み、先端の突起を指で転がす。
「ぁ……んぅ、ふ、……あ、ぁ……ッ」
璃子が身をよじりながら甘い声を漏らす。既にかなり感じているようだった。稔はごくりと唾を呑み込んでから、璃子のブラジャーの金具を外す。顕わになった璃子の胸は白く、マシュマロのように柔らかだった。稔の中で欲望が頭をもたげる。稔は桃色の突起に舌を這わせた。びくりと璃子の体が震える。
「んんっ……ぁ……ッ」
稔は璃子の乳首を口の中に含んだまま、丹念に舌で転がした。人間の体は決して甘くなどないはずだが、璃子のものは甘いと感じた。小さな果実。味わえば味わうほどにそれに夢中になってしまう。
ぺちゃぺちゃと舌が這う音を響かせながら、稔は璃子のスカートの中に手を伸ばした。内腿に触れると、既に湿った気配がする。ショーツのクロッチ部分を人差し指でなぞると、璃子の肩が跳ねた。まだ布地が受け止めきれる範囲ではあるが、そこは確かに大量の蜜を湛えている。稔はショーツを軽くずらして秘裂に指を這わせた。すりすりと指を擦り付けるだけで、次から次へと溢れ出る愛液。それを指で掬ってから、陰核にそれを塗りつけるように刺激する。
「んん……ッ! は、ぁ……ああ……っ!」
顔を出した肉芽を軽くつまんだり、指の腹で転がしたりする。その度に璃子は嬌声を上げ、体を震わせた。稔はそこに触れながら璃子の顔を見る。耳まで赤色が差し、何かに耐えるようにぎゅっと目を閉じていた。指が動く度に、その眉がひくひく動くのも愛らしい。稔は陰核を刺激する指の動きを徐々に速くしていった。
「っ、稔……イく、も……っ、あああ……っ!」
璃子は頭上にあった枕を掴んで絶頂した。稔が手を離すと、璃子は息を整えながら稔を見つめる。
「どうして……こんなの、本当は駄目なのに……どうして、こんな気持ちいいの……?」
人間は性欲を争いを生むものだとして忌避し、それを捨てることで平穏を得たはずだった。その欲望に襲われているのは、憂花がそう仕組んだからに他ならない。行為に対する嫌悪感が消えたわけではない。それなのに、行為から得られる快楽の沼に嵌ってしまっている。稔も璃子と同じ気持ちだった。だからこそ、何も答えられなかった。
「璃子……俺たちは、何も悪くない」
「稔……?」
「全部、これのせいなんだ。でも……それとは関係なく、俺は璃子が好きだ」
璃子との行為は何度も頭の中で思い描いてきたことだった。けれど璃子に直接それをぶつけられず、和紗との契約を利用して欲を鎮めていた。でも今になって思う。最初から全部、洗いざらい璃子に話したとしたら、この道は変えられたのかもしれないと。そうしなかった理由はわかっている。璃子に拒まれるのが怖かったのだ。でも拒むにしろ受け入れるにしろ、本当はちゃんと選択できるときにするべきだったのだ。それは和紗に対しても同じだ。
「本当は駄目だとか、そういうことは今はいいんだ。それはとりあえず置いておいて……璃子は、どうしたいんだ?」
自分はどう思っているのか。それに真っ直ぐに向き合わなければならないと思った。他人によって狂わされてしまったからこそ、とてつもない後悔の中にいるからこそ、それを見失ってはならない。見失った瞬間に、大きなものに流されていくしかなくなるのだ。
「稔……私も、稔が好き。だから……もっと深くまで、欲しい……」
稔は璃子の言葉にゆっくりと頷く。スカートを脱がせ、濡れたショーツも引き下ろす。床に落ちた布たちはまるで花びらのように見えた。
稔は璃子の脚を開かせ、そこに顔を近付ける。少し蒸れたような香りを吸い込んでから、こぼれてくる蜜を舌で舐めとった。璃子が再び枕を強く握りしめる。璃子の性器は薄紅色に色づいていて、稔はその花を慈しむように舌を這わせた。深く窪んでいるところにも舌を差し入れ、溢れてくる蜜を味わう。稔はまるで自分がそういう虫になったように感じていた。その甘露の虜になった稔は限界を迎えた璃子の脚がぴくぴくと震えるまで、その場所を舐め続けた。
「だめ、も……また、イッちゃう……」
「いいよ、璃子。もっと気持ちよくなって」
璃子の性器に中指を入れる。ひくひくと蠢く肉の洞が稔の指を締め付けた。時折指を曲げながら動かしていくと、璃子の腰が跳ねる一点を見つけた。その場所を指の腹で擦り続けると、璃子の声が甘く甲高いものに変わっていく。
「っ、あ……! ああ……ん、ぃ、はぁ……あッ……イく、ぅ……あああ……ッ!」
絶頂した璃子は、肩で息をしている。稔は璃子の性器から指を抜き、璃子の首筋に軽くキスをした。
「璃子、ちょっと四つん這いになれる?」
「ん……大丈夫……」
璃子はゆっくりと体を起こし、ベッドの上に四つん這いになった。稔は後ろから璃子の蜜壺に手を伸ばす。今度は人差し指と中指を挿入した。そこは少し狭く感じられはしたが、稔の指を難なく呑み込んでいった。
「んん、っ、ぁ……あっ、あ……!」
水音を響かせながら璃子の膣内を掻き回す。璃子はシーツを掴みながら悶ていた。腰の力が抜けて体勢が崩れそうになるのを片手で支えながら、稔は璃子のなかに埋める指の数を増やした。自分のものを挿れても璃子が痛みを感じないように、少しずつ慣らしていかなければならない。
「痛くない?」
「っ、大丈夫……ッ、ぁ、きもちい……っ、」
手を前後させる度に愛液が溢れ、シーツの色が変わっていく。快楽を享受している璃子の姿は美しかった。璃子の声が響く度に、指を締め付けられる度に、稔の下半身にも熱が集まっていく。
稔は璃子の膣内が十分柔らかくなったことを確認してから指を抜いた。締め付けるものを失った媚肉が蠢いているのが見える。稔はすっかり勃ち上がったものを露出させ、その割れ目に擦り付けるようにした。体を支えている璃子の腕が震える。
「璃子……いい?」
「いいよ、稔……私の、中に……っ!」
稔は璃子の性器に自分のものを押し付けた。璃子のものが熱くなった楔を徐々に呑み込んでいく。稔は璃子の様子を確認しながら腰を進め、とうとうその最奥に到達した。動かさずとも、璃子が息をする度に締め付けられ、稔は背中が痺れるような快楽を感じていた。
「っ、はい、った……?」
「うん。全部入ったよ」
すると璃子はどこか嬉しそうな笑みをこぼした。稔にはその顔を見ることはできない。けれど笑っているのは伝わってきた。
「大丈夫だよ、動いても……」
「もし痛かったりしたら、すぐに言ってくれよ」
稔はゆっくり腰を動かし始めた。少し抜くと、ずるずると肉が追い縋ってくる。再び深く突き入れるときは、それを押し開けていく感覚だ。言ってしまえばその繰り返しだというのに、それは大きな快楽を稔に与える。璃子も同じように快感を覚え、高く響く嬌声を漏らしていた。
「っ、あ……ッ、あんっ、みのる……ッ、あああ……ぁ!」
「璃子……っ、リコ……!」
互いの名前を呼びながら、二人はただ夢中になっていく。今自分たちが置かれている状況や、大人たちが血眼になって探している憂花や和紗の居場所のことなどはすっかり頭の隅に追いやられていた。
緩急をつけながら何度も腰を打ち付けているうちに、稔にも限界が迫ってきた。全身の血が体の中心に集まり、熱が出口を探している。その頃にはもう腰の動きを止めることはできなくなっていた。
「っ、璃子……! もう出そ……っ、ぅ……!」
「いいよ、稔……私の中に……っ、ああ、ん……ッ!」
璃子の性器の奥の方が少し膨らんだように感じられた。同時に限界を迎えた稔は、最後に深く楔を打ち込みながら、その奥へと白濁を放つ。
「っ、はぁ……ぁ……きもち、よかった……」
乱れた呼吸とともに吐き出された言葉を聞きながら、稔は欲望を吐き出しきって萎えた自分のものをゆっくりと抜いた。繋がっていた部分から白いものが垂れていく。璃子は自分が汚れるのも構わずに体の力を抜き、ベッドに横たわった。稔はベッドサイドにあったティッシュを手に取り、璃子の体を拭いていく。
「ねぇ、稔……これはいけないことだって、わかってるの。でも……どうしてかな、今……すごく幸せ」
稔は璃子の体をそっと抱きしめた。稔も璃子と同じ気持ちだった。何も知らない頃だって十分に幸せで、満たされていた。けれどこれも幸せのひとつの形だったのかもしれない。
「ごめん、なんだか……ちょっと眠くなってきちゃった……」
「少し休もう。色々あって疲れたし……」
二人は抱き合った姿勢のままで目を閉じた。それはこのまま夜が続けばいいと思ってしまうほどの幸福だった。
「大丈夫か、璃子?」
そして稔は母からの命もあって、璃子の傍にいることになった。あんなことがあったあとだ。自分が傍にいてもいいのだろうかとも思ったのだが、璃子を一人にしてはおけなかった。
璃子はベッドの上で膝を抱えている。しかしその呼吸が僅かに乱れていることに稔は気付いていた。和紗は璃子にも病気を感染させている。その症状がどんなものか、稔もその身を持って知っていた。
「璃子……その……」
けれど、どうやって切り出せばいいのか稔にもわからなかった。稔が口籠っていると、耐えきれなくなったのか璃子が立ち上がる。稔は慌てて璃子を引き止めた。
「体が、変な感じなんだろ? だから――俺で、よければ」
璃子は潤んだ目で稔を見た。璃子が感染したことをいいことに手を出そうとしているのではないか、という罪悪感は確かにあった。けれど、璃子がつらい思いをするくらいならという気持ちもある。
璃子が稔にしがみつくように抱きついてきた。彼女の体が火照っているのがわかる。
「稔……お願い。さわってほしい……」
「わかった」
稔は璃子の頭を抱えるようにしてキスをした。璃子は緊張しているようだったが、少しずつ角度を変えながら口づけを深くしていくと、徐々に稔に応えるように舌を動かし始めた。稔はキスを続けたまま、服の上から璃子の左胸に触れる。
「ん……ん、ふぅ……ッ……んん……っ」
抱き合った状態で二人はベッドに倒れ込む。稔は璃子の首筋から鎖骨へ唇を移動させながら、璃子の服を脱がせていった。腹部には不気味な模様が光っている。稔は璃子の柔らかな胸を包む薄い桃色のブラジャーの中に手を滑らせた。片手では包みきれない大きさの胸を優しく揉み、先端の突起を指で転がす。
「ぁ……んぅ、ふ、……あ、ぁ……ッ」
璃子が身をよじりながら甘い声を漏らす。既にかなり感じているようだった。稔はごくりと唾を呑み込んでから、璃子のブラジャーの金具を外す。顕わになった璃子の胸は白く、マシュマロのように柔らかだった。稔の中で欲望が頭をもたげる。稔は桃色の突起に舌を這わせた。びくりと璃子の体が震える。
「んんっ……ぁ……ッ」
稔は璃子の乳首を口の中に含んだまま、丹念に舌で転がした。人間の体は決して甘くなどないはずだが、璃子のものは甘いと感じた。小さな果実。味わえば味わうほどにそれに夢中になってしまう。
ぺちゃぺちゃと舌が這う音を響かせながら、稔は璃子のスカートの中に手を伸ばした。内腿に触れると、既に湿った気配がする。ショーツのクロッチ部分を人差し指でなぞると、璃子の肩が跳ねた。まだ布地が受け止めきれる範囲ではあるが、そこは確かに大量の蜜を湛えている。稔はショーツを軽くずらして秘裂に指を這わせた。すりすりと指を擦り付けるだけで、次から次へと溢れ出る愛液。それを指で掬ってから、陰核にそれを塗りつけるように刺激する。
「んん……ッ! は、ぁ……ああ……っ!」
顔を出した肉芽を軽くつまんだり、指の腹で転がしたりする。その度に璃子は嬌声を上げ、体を震わせた。稔はそこに触れながら璃子の顔を見る。耳まで赤色が差し、何かに耐えるようにぎゅっと目を閉じていた。指が動く度に、その眉がひくひく動くのも愛らしい。稔は陰核を刺激する指の動きを徐々に速くしていった。
「っ、稔……イく、も……っ、あああ……っ!」
璃子は頭上にあった枕を掴んで絶頂した。稔が手を離すと、璃子は息を整えながら稔を見つめる。
「どうして……こんなの、本当は駄目なのに……どうして、こんな気持ちいいの……?」
人間は性欲を争いを生むものだとして忌避し、それを捨てることで平穏を得たはずだった。その欲望に襲われているのは、憂花がそう仕組んだからに他ならない。行為に対する嫌悪感が消えたわけではない。それなのに、行為から得られる快楽の沼に嵌ってしまっている。稔も璃子と同じ気持ちだった。だからこそ、何も答えられなかった。
「璃子……俺たちは、何も悪くない」
「稔……?」
「全部、これのせいなんだ。でも……それとは関係なく、俺は璃子が好きだ」
璃子との行為は何度も頭の中で思い描いてきたことだった。けれど璃子に直接それをぶつけられず、和紗との契約を利用して欲を鎮めていた。でも今になって思う。最初から全部、洗いざらい璃子に話したとしたら、この道は変えられたのかもしれないと。そうしなかった理由はわかっている。璃子に拒まれるのが怖かったのだ。でも拒むにしろ受け入れるにしろ、本当はちゃんと選択できるときにするべきだったのだ。それは和紗に対しても同じだ。
「本当は駄目だとか、そういうことは今はいいんだ。それはとりあえず置いておいて……璃子は、どうしたいんだ?」
自分はどう思っているのか。それに真っ直ぐに向き合わなければならないと思った。他人によって狂わされてしまったからこそ、とてつもない後悔の中にいるからこそ、それを見失ってはならない。見失った瞬間に、大きなものに流されていくしかなくなるのだ。
「稔……私も、稔が好き。だから……もっと深くまで、欲しい……」
稔は璃子の言葉にゆっくりと頷く。スカートを脱がせ、濡れたショーツも引き下ろす。床に落ちた布たちはまるで花びらのように見えた。
稔は璃子の脚を開かせ、そこに顔を近付ける。少し蒸れたような香りを吸い込んでから、こぼれてくる蜜を舌で舐めとった。璃子が再び枕を強く握りしめる。璃子の性器は薄紅色に色づいていて、稔はその花を慈しむように舌を這わせた。深く窪んでいるところにも舌を差し入れ、溢れてくる蜜を味わう。稔はまるで自分がそういう虫になったように感じていた。その甘露の虜になった稔は限界を迎えた璃子の脚がぴくぴくと震えるまで、その場所を舐め続けた。
「だめ、も……また、イッちゃう……」
「いいよ、璃子。もっと気持ちよくなって」
璃子の性器に中指を入れる。ひくひくと蠢く肉の洞が稔の指を締め付けた。時折指を曲げながら動かしていくと、璃子の腰が跳ねる一点を見つけた。その場所を指の腹で擦り続けると、璃子の声が甘く甲高いものに変わっていく。
「っ、あ……! ああ……ん、ぃ、はぁ……あッ……イく、ぅ……あああ……ッ!」
絶頂した璃子は、肩で息をしている。稔は璃子の性器から指を抜き、璃子の首筋に軽くキスをした。
「璃子、ちょっと四つん這いになれる?」
「ん……大丈夫……」
璃子はゆっくりと体を起こし、ベッドの上に四つん這いになった。稔は後ろから璃子の蜜壺に手を伸ばす。今度は人差し指と中指を挿入した。そこは少し狭く感じられはしたが、稔の指を難なく呑み込んでいった。
「んん、っ、ぁ……あっ、あ……!」
水音を響かせながら璃子の膣内を掻き回す。璃子はシーツを掴みながら悶ていた。腰の力が抜けて体勢が崩れそうになるのを片手で支えながら、稔は璃子のなかに埋める指の数を増やした。自分のものを挿れても璃子が痛みを感じないように、少しずつ慣らしていかなければならない。
「痛くない?」
「っ、大丈夫……ッ、ぁ、きもちい……っ、」
手を前後させる度に愛液が溢れ、シーツの色が変わっていく。快楽を享受している璃子の姿は美しかった。璃子の声が響く度に、指を締め付けられる度に、稔の下半身にも熱が集まっていく。
稔は璃子の膣内が十分柔らかくなったことを確認してから指を抜いた。締め付けるものを失った媚肉が蠢いているのが見える。稔はすっかり勃ち上がったものを露出させ、その割れ目に擦り付けるようにした。体を支えている璃子の腕が震える。
「璃子……いい?」
「いいよ、稔……私の、中に……っ!」
稔は璃子の性器に自分のものを押し付けた。璃子のものが熱くなった楔を徐々に呑み込んでいく。稔は璃子の様子を確認しながら腰を進め、とうとうその最奥に到達した。動かさずとも、璃子が息をする度に締め付けられ、稔は背中が痺れるような快楽を感じていた。
「っ、はい、った……?」
「うん。全部入ったよ」
すると璃子はどこか嬉しそうな笑みをこぼした。稔にはその顔を見ることはできない。けれど笑っているのは伝わってきた。
「大丈夫だよ、動いても……」
「もし痛かったりしたら、すぐに言ってくれよ」
稔はゆっくり腰を動かし始めた。少し抜くと、ずるずると肉が追い縋ってくる。再び深く突き入れるときは、それを押し開けていく感覚だ。言ってしまえばその繰り返しだというのに、それは大きな快楽を稔に与える。璃子も同じように快感を覚え、高く響く嬌声を漏らしていた。
「っ、あ……ッ、あんっ、みのる……ッ、あああ……ぁ!」
「璃子……っ、リコ……!」
互いの名前を呼びながら、二人はただ夢中になっていく。今自分たちが置かれている状況や、大人たちが血眼になって探している憂花や和紗の居場所のことなどはすっかり頭の隅に追いやられていた。
緩急をつけながら何度も腰を打ち付けているうちに、稔にも限界が迫ってきた。全身の血が体の中心に集まり、熱が出口を探している。その頃にはもう腰の動きを止めることはできなくなっていた。
「っ、璃子……! もう出そ……っ、ぅ……!」
「いいよ、稔……私の中に……っ、ああ、ん……ッ!」
璃子の性器の奥の方が少し膨らんだように感じられた。同時に限界を迎えた稔は、最後に深く楔を打ち込みながら、その奥へと白濁を放つ。
「っ、はぁ……ぁ……きもち、よかった……」
乱れた呼吸とともに吐き出された言葉を聞きながら、稔は欲望を吐き出しきって萎えた自分のものをゆっくりと抜いた。繋がっていた部分から白いものが垂れていく。璃子は自分が汚れるのも構わずに体の力を抜き、ベッドに横たわった。稔はベッドサイドにあったティッシュを手に取り、璃子の体を拭いていく。
「ねぇ、稔……これはいけないことだって、わかってるの。でも……どうしてかな、今……すごく幸せ」
稔は璃子の体をそっと抱きしめた。稔も璃子と同じ気持ちだった。何も知らない頃だって十分に幸せで、満たされていた。けれどこれも幸せのひとつの形だったのかもしれない。
「ごめん、なんだか……ちょっと眠くなってきちゃった……」
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