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エピローグ 終幕、第1章完結
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扉の先へ足を踏み入れてからのことは覚えていない。
ただ、この状況を見て、僕は思った。
「どうして、裸なんだ、アルス」
「う…………ん?起きたの?」
僕の胸の中で眠そうに眼をこするアルスと同じベットで寝ている。
しかも、アルスは裸っ!!
まさか、やってしまったのか?やってしまったのか!?
心の中でごちゃごちゃにかき混ぜられた気分に襲われる中、アルスはポンポンっと頭を撫でた。
「大丈夫だよ」
「アルス…………頼みから、服を着てくれ」
扉の先へ踏み入れた後、僕はばたりと倒れたらしい。
それでアルスが風呂に入れたり、ベットに寝かせつけてくれたり、いろいろしてくれたとのことだ。
「それにしても、いろいろあるんだな」
「ベットや食事に、大きなお風呂、何でもあったんだよ。大きな図書館もあったりしてっ!すっごく広い!」
「こんなに整っているのを見ると、誰かが暮らすことを想定していたのか?」
「わからない。でも、ここら辺一通り調べて、出口らしき場所を見つけたよ」
アルスの案内で出口らしき場所へと移動した。
そこはまるでエレベータのような円柱のような形をしていて、床には魔法陣らしきものが刻まれていた。
「たしかに、出口っぽいな」
近づいてみると、壁に文字が刻まれていた。
「なになに…………魔力を注げ。さすれば、扉は開かれん。なるほどな」
つまり、魔力を注げば、出られるってわけか。
ここまで本当に長かったようで、短かったような…………。
「ヒナタ、このあとどうする?」
「そうだな。しばらく、ここに居座ろうかなって思っている。外に出た出たらで、ボロボロな状態だと、死にかけないしな。今は存分に体を癒すことにする」
「じゃあ、私はヒナタが癒されるために頑張るね」
「いや、アルスもだぞ。僕にとって、最高相棒なんだ。一緒に癒されよう」
「…………うんっ!!」
しばらく、ここで暮らすことにした僕とアルスはとにかく、満喫した。
この場所を探索したり、なぜか一緒にお風呂に入ることになったり、おいしいご飯を一緒に食べたり、笑って、遊んで、僕がいた世界とは比べ物にならないほど楽しい日々を過ごした。
「ヒナタは、外に出た後どうするの?」
「…………そうだな」
とにかく、外に出て安全を確保するのが目的でもがきながら頑張ってきたわけだけど、今思うと特にこれと言ってやりたいことはない。
いや、ひとつだけある。
ルクスニア王国のせいでこんなめにあったわけだし、ほかの勇者たち4人が心配だ。特に結奈さんが。
彼女はある意味で心の支えにもなっていたわけだし、安全だけは確認しておきたいかも。
それに勇者や魔王、そして魔女のこともきになるところがいくつかある。
それこそ、アルスの正体が傲慢の魔女だったことや、今思うと、ここまできて特に分かったことなんて何一つない。
なら、僕が外に出てやるべきことは。
「ダンジョンに行こうと思う」
「また試練に挑むの?」
「ああ、東條サチさんは結局何も聞けなかったけど、きっとほかのダンジョンにも東條サチさんのようなダンジョンの管理者がいるはずだし」
「ヒナタが決めたなら、私は止めないよ」
アルスが少し大人っぽく見えた。
なんか、見守る母親みたいだ。
「アルスにそう言われると、調子が狂うな」
「今の私は一つ大人だからね。でも、ヒナタに対する思いは変わらないよ」
「思いってそれだったら、僕だって変わらないし、むしろ大きい!」
「それなら、私はヒナタ以上に大きいね」
「いや、ぼくのほうが大きいっ!」
「私のほうが大きいっ!」
バチバチになったと、腹抱えて笑った。
「お互い同じぐらいってことで手を打とう」
「そうだね」
そして、日々が淡々と過ぎていき、ついに外に出る時が来た。
準備を整え、食料や水、装備品を整えて、魔法陣の前に立った。
「この魔法ポケット、すごく便利だよな」
魔力量に合わせて、持ち込める量が変わる魔法ポケット。
僕が使うと家一軒ぐらい入るぐらいの容量になるため、旅ですごく役立ちそうだ。
ついでに、この魔法ポケットはこの部屋にあった道具の一つ。
その他にもアルス用に魔法杖や僕用の超頑丈な剣だったり、いろいろ頂戴した。
「振り返ると本当にいろいろあった」
「そうだね」
「でも、アルスに出会えて、僕は変われた…………と思う、たぶんっ!」
「…………変わってないと思う」
「え?マジで」
「マジで…………」
「じゃあ、変わってないわ。でも、前向きにはなれた気がする」
「そんなことより、早くいこう」
「おい、せっかく、懐かしみながら、アルスとの思い出をかみしめようとしたのに」
「思い出はこれから作れるでしょ」
「それもそうだな、それじゃあ…………」
僕は魔法陣に魔力を流し込んだ。
すると、まほうじんがかがやきだし、僕たちを包み込んだ。
「やっと、やっと、外に…………」
光に包み込まれ、自然と瞼が落ちる。
そして、目を見開けば、そこには桜舞い散る木々に囲まれた場所にいた。
「ここは…………」
上を見上げれば、真っ暗な星空が輝いている。
「本当に、出られたんだな」
「ねぇ、ヒナタ」
「どうした?」
「あれ、見て」
アルスが指さした先は、小さなお墓だった。
お墓に近づくと、東條サチと彫られていた。
「これって」
東條サチのお墓。つまり、ここにダンジョンがあったってことだ。
もしかして、これで攻略ってことになるのかな。
少しだけ悲しい気持ちになり、胸を締め上げた。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。さぁ、やっと出られたんだし、いこう、アルスっ!」
「うん、ヒナタっ!」
二人の旅は始まったばかりだ。
残り六つのダンジョンという名の試練やルクスニア王国の魔法使いジェルマンのたくらみ、結奈さんたちのこと。
たくさんの不安がまだ残っている。
やることは多いけど、目的には十分だし、それに今は最高の相棒、アルスがいる。
こうして、二人の本当の旅が始まった。
□■□
これにて第1章完結です。
ここまで読んでくださりありがとうの気持ちでいっぱいです。
ただ、この状況を見て、僕は思った。
「どうして、裸なんだ、アルス」
「う…………ん?起きたの?」
僕の胸の中で眠そうに眼をこするアルスと同じベットで寝ている。
しかも、アルスは裸っ!!
まさか、やってしまったのか?やってしまったのか!?
心の中でごちゃごちゃにかき混ぜられた気分に襲われる中、アルスはポンポンっと頭を撫でた。
「大丈夫だよ」
「アルス…………頼みから、服を着てくれ」
扉の先へ踏み入れた後、僕はばたりと倒れたらしい。
それでアルスが風呂に入れたり、ベットに寝かせつけてくれたり、いろいろしてくれたとのことだ。
「それにしても、いろいろあるんだな」
「ベットや食事に、大きなお風呂、何でもあったんだよ。大きな図書館もあったりしてっ!すっごく広い!」
「こんなに整っているのを見ると、誰かが暮らすことを想定していたのか?」
「わからない。でも、ここら辺一通り調べて、出口らしき場所を見つけたよ」
アルスの案内で出口らしき場所へと移動した。
そこはまるでエレベータのような円柱のような形をしていて、床には魔法陣らしきものが刻まれていた。
「たしかに、出口っぽいな」
近づいてみると、壁に文字が刻まれていた。
「なになに…………魔力を注げ。さすれば、扉は開かれん。なるほどな」
つまり、魔力を注げば、出られるってわけか。
ここまで本当に長かったようで、短かったような…………。
「ヒナタ、このあとどうする?」
「そうだな。しばらく、ここに居座ろうかなって思っている。外に出た出たらで、ボロボロな状態だと、死にかけないしな。今は存分に体を癒すことにする」
「じゃあ、私はヒナタが癒されるために頑張るね」
「いや、アルスもだぞ。僕にとって、最高相棒なんだ。一緒に癒されよう」
「…………うんっ!!」
しばらく、ここで暮らすことにした僕とアルスはとにかく、満喫した。
この場所を探索したり、なぜか一緒にお風呂に入ることになったり、おいしいご飯を一緒に食べたり、笑って、遊んで、僕がいた世界とは比べ物にならないほど楽しい日々を過ごした。
「ヒナタは、外に出た後どうするの?」
「…………そうだな」
とにかく、外に出て安全を確保するのが目的でもがきながら頑張ってきたわけだけど、今思うと特にこれと言ってやりたいことはない。
いや、ひとつだけある。
ルクスニア王国のせいでこんなめにあったわけだし、ほかの勇者たち4人が心配だ。特に結奈さんが。
彼女はある意味で心の支えにもなっていたわけだし、安全だけは確認しておきたいかも。
それに勇者や魔王、そして魔女のこともきになるところがいくつかある。
それこそ、アルスの正体が傲慢の魔女だったことや、今思うと、ここまできて特に分かったことなんて何一つない。
なら、僕が外に出てやるべきことは。
「ダンジョンに行こうと思う」
「また試練に挑むの?」
「ああ、東條サチさんは結局何も聞けなかったけど、きっとほかのダンジョンにも東條サチさんのようなダンジョンの管理者がいるはずだし」
「ヒナタが決めたなら、私は止めないよ」
アルスが少し大人っぽく見えた。
なんか、見守る母親みたいだ。
「アルスにそう言われると、調子が狂うな」
「今の私は一つ大人だからね。でも、ヒナタに対する思いは変わらないよ」
「思いってそれだったら、僕だって変わらないし、むしろ大きい!」
「それなら、私はヒナタ以上に大きいね」
「いや、ぼくのほうが大きいっ!」
「私のほうが大きいっ!」
バチバチになったと、腹抱えて笑った。
「お互い同じぐらいってことで手を打とう」
「そうだね」
そして、日々が淡々と過ぎていき、ついに外に出る時が来た。
準備を整え、食料や水、装備品を整えて、魔法陣の前に立った。
「この魔法ポケット、すごく便利だよな」
魔力量に合わせて、持ち込める量が変わる魔法ポケット。
僕が使うと家一軒ぐらい入るぐらいの容量になるため、旅ですごく役立ちそうだ。
ついでに、この魔法ポケットはこの部屋にあった道具の一つ。
その他にもアルス用に魔法杖や僕用の超頑丈な剣だったり、いろいろ頂戴した。
「振り返ると本当にいろいろあった」
「そうだね」
「でも、アルスに出会えて、僕は変われた…………と思う、たぶんっ!」
「…………変わってないと思う」
「え?マジで」
「マジで…………」
「じゃあ、変わってないわ。でも、前向きにはなれた気がする」
「そんなことより、早くいこう」
「おい、せっかく、懐かしみながら、アルスとの思い出をかみしめようとしたのに」
「思い出はこれから作れるでしょ」
「それもそうだな、それじゃあ…………」
僕は魔法陣に魔力を流し込んだ。
すると、まほうじんがかがやきだし、僕たちを包み込んだ。
「やっと、やっと、外に…………」
光に包み込まれ、自然と瞼が落ちる。
そして、目を見開けば、そこには桜舞い散る木々に囲まれた場所にいた。
「ここは…………」
上を見上げれば、真っ暗な星空が輝いている。
「本当に、出られたんだな」
「ねぇ、ヒナタ」
「どうした?」
「あれ、見て」
アルスが指さした先は、小さなお墓だった。
お墓に近づくと、東條サチと彫られていた。
「これって」
東條サチのお墓。つまり、ここにダンジョンがあったってことだ。
もしかして、これで攻略ってことになるのかな。
少しだけ悲しい気持ちになり、胸を締め上げた。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。さぁ、やっと出られたんだし、いこう、アルスっ!」
「うん、ヒナタっ!」
二人の旅は始まったばかりだ。
残り六つのダンジョンという名の試練やルクスニア王国の魔法使いジェルマンのたくらみ、結奈さんたちのこと。
たくさんの不安がまだ残っている。
やることは多いけど、目的には十分だし、それに今は最高の相棒、アルスがいる。
こうして、二人の本当の旅が始まった。
□■□
これにて第1章完結です。
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