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64話〜最近来客が多い気がする〜

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「何の用だよ」
「……」
「用が無いなら帰ってくれないか?」
「……」
「……聞こえてるか?」

 昼過ぎに来た来客。
 教国のパーティーであるバイオレンススレイブのメンバーのバリーナ・ヘンリー。
 来たは良いが、何を聞いてもダンマリの彼にハヤテは困っていた。
 目を開けて寝ているのではないかと思う程に彼は無反応だった。が……

「っ!? ……来た」
「何が!? 何か来たの!?」

 そう言って彼は紙人形を一体、テーブルの上にそっと置いた。

「これは?」
「俺のリーダーに繋がっている……話しを聞いて欲しい」
「……分かったよ」
「助かる。ガーラッド、話を聞いてくれるそうだ」

 バリーナの言葉を聞いてから紙人形は一人でに立ち上がると俺を見上げる。

「急な来訪済まない」
「いや……別に」
「それと、先日の田舎者発言も申し訳なかった」
「それは許さねぇからな」
「済まない……」

 俺の言葉を受けて頭を下げる紙人形。

「んな事は直接会って言う事だろ。んで話ってのは?」
「もっともだな……我々を助けてくれないだろうか」
「は? 助けるって……」
「正確には、我々の王を助けて欲しい」
「……どう言う事だよ。詳しく話せ」
「まず、我らの王が現在病に伏せている事は知っているか?」
「あぁ。そのせいで息子に代理をさせているんだろ?」
「あぁ。その息子……第一王子のルクスィギスとは友人でな……」
「自慢か? なら話を切るけど」
「済まない……王の病にルクスィギスが関わっている可能性があるんだ」
「……何?」
「ルクスィギスを止めねば、国が滅ぶ。それは止めねばならないんだ」
「だから、力を貸せと?」
「一言で言うならそうなる」
「……断っても良いんだよな?」
「断られても、責める事はできない。だが」
「こちらが受ければ教国への貸しにはなるって所か」
「ロウエン?」
「話は聞かせてもらったが、そのぐらいしか旨味がないな。おまけにお前は俺達のリーダーを田舎者呼ばわりした、いわば敵だ」
「それは……」
「ま、だいたいの予想はつきますね」
「エンシさん?」

 ロウエンに次いでエンシさんも会話に加わって来る。

「あぁいったパーティーに名字無しが来る事は珍しい事。先に他の貴族に弄られる前に貴方の様な方が弄り、誰かに助けさせる事が目的だった……違いますか?」
「それは……」
「まぁ噂はかねがね聞いてますからね。良かれと思ってやった事が裏目に出て怒られ、逆ギレする事に定評があると」
「うぐっ……」
「そして視野も狭いと」
「それは……」
「おまけに女癖と悪く、現在交際中のマッターダーク姉妹には時折り叱られている」
「えっと」
「一言で言うなら、ダメ男ですね」
「もうやめて下さい……俺でも分かっているんですけど」
「そして現在は、ルクスィギスの言う事を聞くしかできない。いわば手綱を握られている関係」
「……それは」
「エンシさん、知っているの?」
「はい。ですがその事は本人から聞いた方がよろしいかと」
「……嘘を吐く可能性は?」
「我々の間では有名ですので、嘘を吐かれた場合はすぐに分かります」
「そんなに有名なのか」
「はい」

 エンシさんの言葉を受け、紙人形を通してガーラッドは話し始める。

「俺が幼い頃……ルクスィギスと一緒に庭で遊んでいたんだ」

 重い口を開く様な話し方で彼は話す。

「その時の俺はもっとぶっ飛んでいてさ……俺達は騎士が連れていた馬を驚かせて遊んでいたんだ」
「危ねぇ事するなぁ」
「信じられませんね」
「全くだな。リーダーの事ではあるが恥ずかしくて顔から火が出そうだ」
「すまん……ルクスィギスも一緒になってやっていたから俺達はたいして怒られなかったんだけどな……その日だけは違った」
「……」
「その時脅かした馬は特別暴馬でな……騎士達を振り払って俺達の方にに突っ込んで来てよ。ルクスィギスは咄嗟に逃げたんだけど俺は逃げ遅れて……」
「踏まれたのか?」
「それでしたら大怪我をしたはずでは」
「俺は踏まれずに済んだんだ……ルクスィギスの身の回りの世話をしていたメイドが俺を突き飛ばしてくれたおかげでな。だから……」
「代わりにそのメイドが踏まれたのか」
「……そうだ。そのメイドは、ルクスィギスの初恋の相手でな。相当恨まれたよ」
「おいおい、一緒に馬脅かして遊んでいたんだそいつも同罪だろ」
「そうですね……庇う訳ではありませんが、ロウエンの言う通りかと」
「……それでも、当時の俺は負い目に思ってな……それから俺は奴の腰巾着っていうか」
「勇者の子孫と親友である王子という立場を利用された……という所か」
「……そうだ。それで、ある日の事だった。ルクスィギスは、俺がパーティーを組んで仲間にした奴を……」
「……まさか、魂を縛ったのか?」
「……」

 ロウエンの言葉に頷く紙人形。

「魂を縛り、アイツ等を人質にしたんだ」
「そんな……」
「そんな事がバレれば、王族といえど大罪ですよ」
「あぁ。だから奴は、それに気付いた父親のさかずきに毒を」
「成程。一気に死なねぇのは親父さんの意地かスキルって所か」
「あぁ。王は先代に言われて対毒スキルをかなり身に付けていたからな。だから、まだ死なずに済んでいる」
「なら……」
「あぁ。だが」
「王様のスキルでの回復が難しいという事は、ただの毒ではないな」
「……」
「成程。そこで外に助けを求めたか」
「そうか。自分達でどうにかしようとしても魂を縛られている以上下手に動けば」
「そう、命が危ないからな……だが何故バリーナをよこした? バレたらヤバいんじゃないか?」
「……それは」
「あぁ、それは……」

 ブブッとバリーナの姿がブレる。

「こういう」
「こと」
「なんだよ」

 次の瞬間、新しく三人のバリーナが現れた。

「分身……いや違うな。複製か」
「あぁ。そのおかげで今、別の俺は教国にちゃんといる」
「それなら安心……ですね」
「それで話を戻すが、協力ってのは何だ?」
「ルクスィギスを城から出したい。できる事なら、ルクスィギスに与する者達を」
「……成程。その間に親父さんの治療をって事か」
「だがただの毒じゃないんだろ? どうやって」
「俺の所のクリスリルがそっち方面の心得があったはずだ」
「私も解毒系はある程度は……」
「なら二人を城に忍び込ませて治療をして、親父さんに真相を話してもらえれば」
「ガーラッドのパーティーの皆の魂も解放される。そうすれば万々歳って事か」
「更に上手くいけば王族に借りも作れる……」
「どうする、ハヤテ」
「……まぁ、良いんじゃないか?」

 借りがどうとかではない。
 自らの悪行を隠し、その真相に気付いた者を手にかけようとするのが気に入らない。
 だから、そんな俺本意な理由で力を貸してやる。

「で、どうするつもりだ?」
「邪魔をされないように、ルクスィギスが確実に城から出るようにしたいからな……」
「なら、俺達とお前達で試合でもするか?」
「勇者の子孫のパーティーと聖装に選ばれた者が率いるパーティーの試合か……成程。それなら奴も見に来そうだ」
「確実に城から出したいならこちらで開催をとも思ったが、流石にそれは難しいだろう。こちらのツテを使ってそちらに申し込ませてもらおう」
「分かった」
「にしてもアンタ」
「何だ?」
「……思ったよりしっかりしてたんだな」
「……あの日の事は本当に済まなかったと思っている。謝って許されるとは思っていないが」
「まぁ良いさ。アンタも色々あったみたいだし、俺にした事を思い返して改めてくれれば、それで良いよ」
「……ありがとうな。な、なぁ」
「何だ?」
「……知っているか分らねぇけど、ラギルって奴知っているか? 王国を追放されたとか言って来たんだが」
「何!?」

 思わずガタッと音を立てて立ち上がる俺達。

「な、なんだよ……」

 それを見て思わずバリーナが口を開く。

「まさかラギルが教国に逃げていたとは……」
「マズいのか?」
「咎人だ……脱獄したがな」
「そ、そうなのか……」
「下手に探らなくて良い。奴は面倒だからな」
「そ、そうか……分かったよ。あとそれと、女も一緒だったぞ」
「女? ……名前は?」
「確か、サラって言っていた。知っているか?」
「……いや、知らん」
「そうか……済まない、そろそろ時間だ。急に悪かったな」
「いや、気にするな。またな」
「あぁ。またな」

 そう言って、紙人形はクタッと倒れた。

「では俺も帰るよ」
「あぁ、じゃあな」

 続くようにバリーナの姿がスゥッと溶けるように消える。
 どうやらここに来ていたバリーナは複製の方だったようだ。

「良かったのか?」
「あぁ。売れる恩は売っておかないとな」
「怖いぞ、ハヤテ」
「そうか? ……まぁそれに、いつまでも気にしていられるかって事だ。上手くいけば、俺が縛れるかもしれないしな」
「……うん、やっぱお前怖いぞ」
「ははっ。冗談だよ」
「本当に、……冗談さ」

 そう。
 確かに冗談だ。
 でも、使える物は使う。
 信じたくは無いが、この世界にはクズみたいな人間が少なからずいる。
 そいつからから大切な仲間を、家族を守るためには力が必要という事を俺は知った。

 今回の件。
 上手く事を運べればガーラッドだけでなく、今の教王に恩を売る事もできるだろう。
 群狼のリーダーである俺には、この群れのメンバーを守る義務がある。
 ならば、武力だけじゃない。
 見えない力も付けなければならない。
 そのための力を得るのに、今回の件は利用させてもらおう。

「……おぉ、怖い怖い」

 俺の隣で肩を竦めるロウエン。

「ま、手紙が来ていたんだカラトの奴、じきに帰って来れるそうだ。にしてもラギルが教国に行っているとはな……ついでに捕まえるか」
「そうだな。それに一緒にいるサラって女も気になる……彼女が強国に招いたか?」
「可能性はあるだろうな。まぁ全部は捕まえて縛ってドついて吐かせりゃ良いだろ」
「そこはロウエンに任せるよ」
「承知した」

 俺の言葉に頷くロウエン。
 ただ俺の考えは甘かった事を、後に知る事になる。



 場所は変わって皇国付近の村にある宿の一室。
 そこをオーブ王国の勇者であるマリナ一行が利用しているのだ。

「……ふぅ。買い出しは無事終わりっと」

 ポーション類を買い出しに行っていたカナトがちょうど帰って来た。
 部屋は四人全員バラバラに取っているので割とゆっくり過ごす事ができる。

「リナシアとガリアさんはまだ買い物から帰って来ていないのか」

 二人のそれぞれ部屋の戸には外出中の札が下げられている。

「ま、俺と違って買う物多かったみたいだし」

 そんな事を呟きながら彼は自分の部屋に入る。
 食事まではまだ時間もあるし、それぞれに渡すポーションを分けよう。
 そう考えながら部屋に入る。

 無人のはずの部屋。

 だったはずなのだが……

「お帰りなさい」
「……なんで勇者様が?」
「あん。そんな固い呼び方はやめて? 私の事はどうかマリナとお呼びください。カナトさん」
「えっと……」

 何故かいる勇者。
 彼女は何故か笑顔でカナトの事を見ている。

「何か用ですか?」
「え、えぇ。その、たいした事ではないのですが」
「何ですか?」
「……そ、その……わ、私、貴方に一目惚れしてしまって……私と交際なさい!! これは、王女としての命令でもありますわ!!」
「え、急ですね」
「ふふん。嬉しすぎて返事を忘れたようですわね!! それで、返事わ?」
「いや、無理っす」
「……え?」
「だから、無理です」
「ど、どうして?」

 信じられない、といって表情でカナトを見るマリナ。

「いやだって俺、リナシアと付き合ってますから」
「……あ」
「なのでごめんなさい」
「そ、そうですの。でしたら仕方ありませんわね……そう……失礼しますわ」

 しつこく言いよる訳でもなく、意外とアッサリ身を引くマリナ。
 ごねられず、分かってくれて良かったと思うカナト。だが、事はそう上手くは行かない。

「……絶対に私のものにしてあげますからね」

 振り返ったマリナは部屋の中のカナトに聞こえないようにそっと、戸に向かって呟いたのだった。
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