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第3章『冒険者の街アーバン』
急襲
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取り敢えず一時しのぎになるだろうけど、[下級守護結界]を使っておくか。
スキルを使うと俺達を囲むように、ガラスの様な半球状の結界が出現した。
こんなに広い範囲で使ったのは初めてだ。このペースでMPを消費すればこの結界は数分と保たないし、蜘蛛に攻撃されてしまったらより短い時間しか防いでおけないだろう。
「きゃっ!?何よこの膜は!」
『俺のスキルだ!少しの時間稼ぎにしかならないだろうけど、この時間で魔法を使ってくれ』
「……後でステータスを洗いざらい白状して貰うからね。ネラが稼いでくれた時間で融合魔法の詠唱をするわよ!ターニャが水でソフィーが風をお願い!!」
「分かりました。『水の精霊よ霧を』ディープミスト」
「……『風の精霊よ北風を』ノースウィンド」
ターニャとソフィーが魔法を唱えると、魔の森に漂っていた薄い霧は一寸先も見通せない濃霧に変わり、冷たい風が結界を包み込んだ。
修復にMPを注ぎ込んでいるが、結界は至る所がひび割れてもう保ちそうにない。
『アーシャ!結界はもう壊れそうだ!!』
「大丈夫よ、私に任せなさい!『大いなる精霊王よその威光を以って調和を齎し給え』ハモリア・スピリット!!」
アーシャの魔法でターニャとソフィーの魔法は混ざり合って吹雪となり、結界の外は白銀に染まった。そして、結界の外で地面を這い回っていた蜘蛛は全て凍てついた。
ちょっと量の多さにビビったけど、アーシャ達の魔法はしっかり効いたみたいだな。……それにしても寒い、ソフィーの魔法では少し涼しく感じる程度だったが、今は結界の中なのにまるで真冬のようだ。
凍死した蜘蛛は少し時間が経つと空気に溶けるようにして消えていき、魔石を残して消滅した。
「倒し終わったわね!……寒いから早くここを離れてダンジョンに入りたいわ」
「そうですね、魔石の回収が終わったらそうしましょう。だからアーシャも手伝って下さい」
アーシャ達が作業をしている間、俺は周囲の木を食べ続ける。結界の維持でかなり消耗してしまったSPとMPを回復する必要があるのだ。今まではエルフの森だったから遠慮して土を食べていたが、ここなら別に食べても問題ないだろう。
「……やっと終わったわ。魔石を拾う方が大変だったかもしれないわね!」
「流石にそれは言い過ぎ。それにネラの結界が無かったら、もっと苦戦していた筈」
「私もそう思います。それにしてもネラがどんなスキルを持っているのか気になりますね」
……別に隠すつもりはないが、こんな場所でのんびり説明していたらまた魔物に襲われるかもしれない。
『月鹿亭に戻ったら説明する』
「じゃあダンジョンに入るわよ!」
トサッ!
「くっ!?なん……な……の?」
「「『アーシャ!!』」」
目を閉じたアーシャは返事を返さない。
ダンジョンに入ろうとしたアーシャの無防備な首筋に、木の上から飛び掛かった蜘蛛が咬みついたのだ。
――――――――――――――――――――――――
【ステータス】
ランク:C-
種族名:クピドゥス・ドロフォノス
個体名:未獲得
レベル:24/30
状態:正常
能力値
HP:517/541
SP:297/409
MP:485/547
攻撃力:193
防御力:153
素早さ:211
魔法力:128
魔防力:134
パッシブスキル
[猛毒耐性Lv6][探索Lv3][俊足Lv3][無音Lv4][暗殺Lv5]
アクティブスキル
[隠密Lv7][猛毒咬みLv4][操糸術Lv4][死の微睡Lv4][粘糸Lv5][跳躍Lv5]
称号
[強欲の残滓][暗殺者]
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
【スキル】
[死の微睡]
体内に入ると眠りに落ちて衰弱していき、やがて死に至る。適切な処置が遅れると手遅れになるが、ただ眠っているようにしか見えないので対応がとても難しい。SPを消費する。
――――――――――――――――――――――――
このままアーシャが寝ていたら死ぬって事か?ヤバッ!?早く起こさないと!
スキルを使うと俺達を囲むように、ガラスの様な半球状の結界が出現した。
こんなに広い範囲で使ったのは初めてだ。このペースでMPを消費すればこの結界は数分と保たないし、蜘蛛に攻撃されてしまったらより短い時間しか防いでおけないだろう。
「きゃっ!?何よこの膜は!」
『俺のスキルだ!少しの時間稼ぎにしかならないだろうけど、この時間で魔法を使ってくれ』
「……後でステータスを洗いざらい白状して貰うからね。ネラが稼いでくれた時間で融合魔法の詠唱をするわよ!ターニャが水でソフィーが風をお願い!!」
「分かりました。『水の精霊よ霧を』ディープミスト」
「……『風の精霊よ北風を』ノースウィンド」
ターニャとソフィーが魔法を唱えると、魔の森に漂っていた薄い霧は一寸先も見通せない濃霧に変わり、冷たい風が結界を包み込んだ。
修復にMPを注ぎ込んでいるが、結界は至る所がひび割れてもう保ちそうにない。
『アーシャ!結界はもう壊れそうだ!!』
「大丈夫よ、私に任せなさい!『大いなる精霊王よその威光を以って調和を齎し給え』ハモリア・スピリット!!」
アーシャの魔法でターニャとソフィーの魔法は混ざり合って吹雪となり、結界の外は白銀に染まった。そして、結界の外で地面を這い回っていた蜘蛛は全て凍てついた。
ちょっと量の多さにビビったけど、アーシャ達の魔法はしっかり効いたみたいだな。……それにしても寒い、ソフィーの魔法では少し涼しく感じる程度だったが、今は結界の中なのにまるで真冬のようだ。
凍死した蜘蛛は少し時間が経つと空気に溶けるようにして消えていき、魔石を残して消滅した。
「倒し終わったわね!……寒いから早くここを離れてダンジョンに入りたいわ」
「そうですね、魔石の回収が終わったらそうしましょう。だからアーシャも手伝って下さい」
アーシャ達が作業をしている間、俺は周囲の木を食べ続ける。結界の維持でかなり消耗してしまったSPとMPを回復する必要があるのだ。今まではエルフの森だったから遠慮して土を食べていたが、ここなら別に食べても問題ないだろう。
「……やっと終わったわ。魔石を拾う方が大変だったかもしれないわね!」
「流石にそれは言い過ぎ。それにネラの結界が無かったら、もっと苦戦していた筈」
「私もそう思います。それにしてもネラがどんなスキルを持っているのか気になりますね」
……別に隠すつもりはないが、こんな場所でのんびり説明していたらまた魔物に襲われるかもしれない。
『月鹿亭に戻ったら説明する』
「じゃあダンジョンに入るわよ!」
トサッ!
「くっ!?なん……な……の?」
「「『アーシャ!!』」」
目を閉じたアーシャは返事を返さない。
ダンジョンに入ろうとしたアーシャの無防備な首筋に、木の上から飛び掛かった蜘蛛が咬みついたのだ。
――――――――――――――――――――――――
【ステータス】
ランク:C-
種族名:クピドゥス・ドロフォノス
個体名:未獲得
レベル:24/30
状態:正常
能力値
HP:517/541
SP:297/409
MP:485/547
攻撃力:193
防御力:153
素早さ:211
魔法力:128
魔防力:134
パッシブスキル
[猛毒耐性Lv6][探索Lv3][俊足Lv3][無音Lv4][暗殺Lv5]
アクティブスキル
[隠密Lv7][猛毒咬みLv4][操糸術Lv4][死の微睡Lv4][粘糸Lv5][跳躍Lv5]
称号
[強欲の残滓][暗殺者]
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
【スキル】
[死の微睡]
体内に入ると眠りに落ちて衰弱していき、やがて死に至る。適切な処置が遅れると手遅れになるが、ただ眠っているようにしか見えないので対応がとても難しい。SPを消費する。
――――――――――――――――――――――――
このままアーシャが寝ていたら死ぬって事か?ヤバッ!?早く起こさないと!
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