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第3章『冒険者の街アーバン』

審査の結果

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 ……流石だな、これが元Aランク冒険者の強さだという事か。しかしこんなに強いんだったら、まだまだ現役で活動できるんじゃないのか?

「うむ、これぐらいでよかろう。それでは次の者にしようかのう」

 アーシャはかなり消耗しているように見えるが、この老人からは疲れた素振りを伺えない。

「では私が行かせていただきますね、よろしくお願いします」

「では始めようかのう」



 ターニャとソフィーも全力で戦っていたが、爺さんには手も足も出なかった。え?戦闘シーンは……だって?残念ながら無い、理由は俺がアーシャ以外の人に殆ど興味が持てないからだ。転生する前も他人に余り関心が湧かなかったが、この世界に来てからよりその傾向が顕著になったと自分でも自覚している。それに結果は殆どアーシャと同じだったしな。

「これで審査は終了じゃ、中々良かったぞ。流石はエルフといったところかのう。お主らは……そうじゃのう、Dランクといったところじゃな」

 ……アーシャ達でさえ、まだDランクなのか。まだまだ先は長いという事だろう。それにしても今回の件で、相手のステータスが分からない事がこんなに怖いと分かったのも1つの収穫だと思う。

 まあ[鑑定]が通じない相手の時点で、格上の可能性が高い事は一応分かる。それでも[鑑定]のレベルを上げておいて損は無い筈だ。それにせっかくSPとMPをほぼ無限に使えるのだから、スキルレベルを上げないのは勿体ない。

「「「ありがとうございました!」」」

「よいよい、これが儂の仕事じゃからのう。このまま精進すれば、お主らならすぐに儂に追いついてしまうかもしれんのう」

「本当っ!?」

「ほっほ、本当じゃよ」

 ……どのくらい本気で言っているのだろうか?

「そろそろ、報告しに戻るとしようかのう」

 俺は本当に最強になれるのか?最強とは、この老人よりも遥かに強いという事だ。この老人でさえ今の俺とは大きな隔たりがあるというのに。……いや弱気でいてはダメだな。目標が果てしなく遠かったとして、その事を嘆いても時間の無駄だし、諦めるなんて俺にはできない。だとしたら一歩でも目標に進んで行くしかないのだ。

 そんな事を考えているうちに、受付へと戻ってきていた。

「審査は無事に終わったぞ。この嬢ちゃん達はDランクじゃ、もう少しでCランクといったところかのう」

「はい了解です。では冒険者タグを渡していただけますか?」

「これよね?」

「そうです。では交換しますので、暫くお待ち下さい。……こちらがDランクの冒険者タグになります」

 最初に渡された冒険者タグは鉄製だったが、今は銀製に変わっていた。ランクが上がるにつれ、タグの素材も価値の高い物に変わるのだろう。

「よしっ、これで魔の森に行けるのね!早く行きましょ!!」

「……やっぱり忘れてるじゃんアーシャ。まだこの辺りの地図を確認してないでしょ?しっかりしてよ」

「うっ……、次は気をつけるわ」

「すみません、地図を確認させていただけますか?魔の森とダンジョンの場所を知りたいのですが」

「勿論です、……こちらが地図になります。もしよろしければここにある、繁猿のダンジョンはどうでしょうか?このダンジョンなら1時間ほどで行けますし、出てくる魔物も適正な強さですので」

 繁猿のダンジョンか、名前からして猿の魔物が出るのだろう。……そういえば、猿って意外と凶暴なんだよな。

「ありがと!今日はこのダンジョンにするわ!!……地図を確認したから、もう出発して良いわよね?」

「もう、アーシャはせっかちですね。そんなに急がなくても、ダンジョンは逃げませんよ?今日はまだまだ時間に余裕があるのですから」

「……それもそうね、じゃあ少し休憩してからにするわ!」

 これから魔の森、そしてダンジョンにも行くのか。どんな場所だろうか?……名前からして不穏な感じがするんだけど。
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