『毒蛾転生〜仲間と共に異世界巡り〜』

ユーキ

文字の大きさ
上 下
41 / 51
第3章『冒険者の街アーバン』

遭遇

しおりを挟む
 ……旅に出て今日で3日目だ。期待していたイベントもなく、俺達はひたすら草原を歩き続けていた。

 時々見かける魔物も、兎や牛といったこちらから攻撃しなければ害のない魔物ばかりだ。食料は十分にあるのでそれらは無視し、移動する時間に回した。

 そして俺はというと、[状態異常耐性]のレベル上げを続けていた。あぁそういえば、1つだけ変わったことがある。【下級】の状態異常を引き起こす薬が効かなくなったことだ。仕方がないので、今は【中級】の[石化薬]を使っている。

「あっ、狼の群れよ!……こっちに向かってくるみだわ。囲まれる前に倒すわ!!」

 15匹ほどだろうか、狼の群れが包囲するように散らばりながらこちらに近付いてきた。他は灰色だが、1匹だけ黒い毛皮で体が一回り大きな狼がいる。おそらくあれが群れのリーダーだろう、……ステータスは。


――――――――――――――――――――――――

【ステータス】
ランク:D+
種族名:ブラックウルフ
個体名:未獲得
レベル:28/35
状態:正常

能力値
HP:694/785
SP:387/534
MP:243/283
攻撃力:177
防御力:128
素早さ:174
魔法力:99
魔防力:96

パッシブスキル
[硬毛Lv4][搾取Lv4][威厳Lv2][毒耐性Lv4][麻痺耐性Lv4]

アクティブスキル
[噛み付きLv4][爪撃Lv3][統率Lv2][咆哮Lv3][身体強化Lv4][風魔法Lv2]

称号
[群れの長]

――――――――――――――――――――――――


 ……まあまあ強い。だが、ホブゴブリンの群れを倒したアーシャ達には敵わないだろう。ついでに他の狼も確認しておこう。


――――――――――――――――――――――――

【ステータス】
ランク:D
種族名:グレイウルフ
個体名:未獲得
レベル:21/30
状態:正常

能力値
HP:421/537
SP:218/472
MP:157/191
攻撃力:123
防御力:114
素早さ:137
魔法力:67
魔防力:79

パッシブスキル
[硬毛Lv3][献上Lv4][連携Lv2][毒耐性Lv4][麻痺耐性Lv3]

アクティブスキル
[爪撃Lv3][噛み付きLv3][追跡Lv4][身体強化Lv2][風魔法Lv1]

称号
[手下]

――――――――――――――――――――――――


 ……特に変わったスキルもないし、これはただの消化試合だな。傍から見れば3人の少女は、絶体絶命の状況といえる。……しかし内情を知れば、全く逆のことを思うだろう『狼さん逃げてー!』と。だが俺はアーシャに牙を剥いた奴らを許すつもりはないけどな。

 狼からすれば、3人の少女と1匹の狼しかいないように見える筈だ。しかしその実、ここにいるのは無力な少女なんかではない。むしろ狼の方が狩られる側だ。

「『風の精霊よ切り刻め』シャープトルネード!大きいのが避けたわ!ターニャっ!」

「了解!……くっ、ソフィー援護お願いします!」

 竜巻を避けて飛びかかってきたブラックウルフをターニャが押さえ込む。しかし、鋭い爪で引っ掻かれ足に怪我を負ってしまった。

「分かった。……こっちを見なさい駄犬、[挑発]」

 [挑発]されたブラックウルフは注意をソフィーに向けてしまう。その瞬間、ズバッと首をターニャに切りつけられた……致命傷だな。

 アーシャは、魔法が直撃し虫の息になった狼にトドメを刺している。[回復薬]の出番だな。……え?いや、狼に掛けて何度も痛ぶるつもりはない。『そんなこと思ってない』だって?疑ってすまないな、[回復薬]はターニャに使うつもりだ。

 俺はアーシャの腕を離れ、ターニャの方に向かっていく。

『ターニャ、ちょっといいか?』

 急に[回復薬]を掛けたらビックリしてしまうだろうから、事前に声を掛けておく。

「はい?なんでしょうか?」

 ……ピュー

「痛っ……くない?」

『怪我は治っているか?まだ治ってなかったら言ってくれ』

 傷を放っておいたら傷跡が残ってしまう。せっかくの綺麗な肌に傷跡が残ったら大問題だからな。遠慮なく言ってくれ。

「ネラ、ありがとうございます。足にできた傷なので旅に支障が出ると思ったのですが、お陰で変わらず歩けそうです」

『どういたしまして』

 そういうつもりではなかったが、役に立てて何よりだ。俺も目的は果たせたしこれでいい。……今回は軽い怪我で済んだが、深い傷だったら治せなかったかもしれない。……早く強くなって、仲間を護れるようになりたい。

 俺達は狼の死骸がアンデッドにならないように処理した後、また目的地へ歩き出した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~

平尾正和/ほーち
ファンタジー
引きこもりニート山岡勝介は、しょーもないバチ当たり行為が原因で異世界に飛ばされ、その世界を救うことを義務付けられる。罰として異世界勇者的な人外チートはないものの、死んだらステータスを維持したままスタート地点(セーブポイント)からやり直しとなる”死に戻り”と、異世界の住人には使えないステータス機能、成長チートとも呼べる成長補正を駆使し、世界を救うため、ポンコツ貧乳エルフとともにマイペースで冒険する。 ※『死に戻り』と『成長チート』で異世界救済 ~バチ当たりヒキニートの異世界冒険譚~から改題しました

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...