上 下
23 / 51
第2章『エルフの里編』

討伐完了

しおりを挟む
 折角の美味しい経験値、もといホブゴブリン達を放っておいて俺達は次の相手を探していた。

 ………本当にトドメを刺さないでいいのか?かつて栄華を極めた平家一門も源頼朝に情けを掛け、殺さなかった事によって源氏に逆襲の余地を与えてしまい滅亡してしまった。

 ホブゴブリン達を放っておくのは情けを掛けた訳では無く、勝手に自滅するだろうからだが………、もし生き残ってしまったら、源頼朝みたいに影で力をつけていつかエルフ達を滅ぼす要因になるのではないか?

 ………何?……経験値が欲しいだけだろ………だって?………ちょっと何を言ってるか分かんない。

 ワタシ、エルフが心配なだけアルヨ?けっ……経験値が欲しいだなんて80パーセントくらいしか考えて無いんだから!ちょっと動揺しただけで勘違いしないでよね!!

「うーん、もう残りカスみたいなのしかいないわ!リーダーがまだゴブリンキングと戦ってるみたいだから見に行きましょ!!」

 ………はっ、あれ?俺……何考えてたんだ?よく思い出せないが、思い出せないって事は重要な事じゃなかったっていう事の筈だから良しとしよう。

「………そうですね、自分達よりも強い者の戦闘を見る事は勉強になりますから良いと思います」

「アーシャ………、戦闘に乱入しないって約束して」

「わ………分かっているわ!私も相手を横取りされたら絶対に許せないもの、そんな奴がいたら………地の果てまで追い詰めて血祭りにしてやるわ!!」

 うわー………アーシャがピンチでも無い限り、助太刀とか考えない方が良さそうだ。

「アーシャ………、それではパーティーを組む意味がありませんよ?」

「…………もしも別のパーティーが相手を横取りしたらって意味よ」

 ターニャの口撃に『ターニャの正論がアーシャの心に突き刺さる、アーシャは80ダメージを喰らった…』って表情をしたアーシャはそう言い直した。

「………行くわよ!ゴブリンキングが私を待っているわ!!」

 ………露骨に話題を変えたアーシャはこの場から逃れるかの様に駆け出した。

「………アーシャが乱入しようとしたら、絶対に私達で止めましょう」

「同感、アーシャの隣で見張っておく」

 ……ゴブリンの村で1番大きな小屋の前に着くと、リーダーは1対1で戦っていた。

 ………あれがゴブリンキングか、ホブゴブリンの倍以上の巨体に鎧の様に厳つい筋肉を纏っている、リーダーも一緒に鑑定してみるか。


――――――――――――――――――――――――

【ステータス】
ランク:C
種族名:ゴブリンキング
個体名:未獲得
レベル:42/50
状態:怒り/興奮

能力値
HP:258/1367
SP:127/786
MP:219/469
攻撃力:319
防御力:229
素早さ:241
魔法力:107
魔防力:178

パッシブスキル
[猛毒耐性Lv2][精神耐性Lv2][気絶耐性Lv5][麻痺耐性Lv4][無慈悲Lv4][悪食Lv6]

アクティブスキル
[棍術Lv6][体術Lv5][雄叫びLv4][身体強化Lv5][土魔法Lv4][狂化Lv4]

称号
[蠱毒][王者]

――――――――――――――――――――――――


 ………満身創痍だな、矢が身体中に刺さっているせいでまるでハリネズミの様に見える。

――――――――――――――――――――――――

【ステータス】
ランク:―
種族名:エルフ
個体名:カルシア・ルシラ
レベル:46/99
状態:集中

能力値
HP:476/735
SP:179/697
MP:294/1043
攻撃力:238
防御力:124
素早さ:287
魔法力:182
魔防力:154

パッシブスキル
[森の加護Lv8][毒耐性Lv7][麻痺耐性Lv7][気絶耐性Lv6][契約Lv7]

アクティブスキル
[弓術Lv8][精霊魔法Lv6][隠密Lv7][探知Lv8][身体強化Lv7]

称号
[森の護り手][狩人][苦労人]

――――――――――――――――――――――――


 ………リーダーの名前はカルシアっていうのか、取り敢えず記憶の片隅に留めておこう、……この森という地形はゴブリンキングにとってリーダーと戦うには相性が悪いみたいだな。

 リーダーはゴブリンキングとほぼ一定の距離を保っており、ゴブリンキングは攻撃しようとしても近付けず、逃げようとしても追い付かれてしまい、矢を撃たれ続けている。

 ………流石にこの状態を戦っているとはいえない、ゴブリンキングの体力が多いせいで嬲っている様に見えてしまうな、リーダーの真剣な顔から見てそのつもりは無いのだろうけど。

「終わったわね!これでやっと帰れるわ!!」

 異常なほどの耐久力をしていたゴブリンキングも遂に地面に崩れ落ちた、……帰ったら美味しいご飯が待っているし、この血生臭い村から早く立ち去りたい。

「そうですね、今日は早く寝て疲れを癒しましょう」

「………アーシャ、乱入しなくて良かった」

「注目して下さい!これにて討伐は完了しました、各自現地解散とします、質問のある方はいますか?…では解散!!」

 ………現地解散か、帰りまで束縛されるのも嫌だがどこか違和感があるな、この世界ではこれが普通なのかもしれないが。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん
ファンタジー
 人族によって滅亡を辿る運命だった魔族を神々からの指名として救った魔王ジークルード・フィーデン。 しかし神々に与えられた恩恵が強力過ぎて神に近しい存在にまでなってしまった。  膨大に膨れ上がる魔力は自分が救った魔族まで傷付けてしまう恐れがあった。 なので魔王は魔力が漏れない様に自身が張った結界の中で一人過ごす事になったのだが、暇潰しに色々やっても尽きる気配の無い寿命を前にすると焼け石に水であった。  暇に耐えられなくなった魔王はその魔王生を終わらせるべく自分を殺そうと召喚魔法によって神を下界に召喚する。 神に自分を殺してくれと魔王は頼んだが条件を出された。  それは神域に至った魔王に神になるか人族として転生するかを選べと言うものだった。 神域に至る程の魂を完全に浄化するのは難しいので、そのまま神になるか人族として大きく力を減らした状態で転生するかしか選択肢が無いらしい。  魔王はもう退屈はうんざりだと言う事で神になって下界の管理をするだけになるのは嫌なので人族を選択した。 そして転生した魔王が今度は人族として2度目の人生を送っていく。  魔王時代に知り合った者達や転生してから出会った者達と共に、元魔王様がセカンドライフを送っていくストーリーです! 元魔王が人族として自由気ままに過ごしていく感じで書いていければと思ってます!  カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております!

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ
ファンタジー
 『温もりが欲しい』  それが死ぬ間際に自然とこぼれ落ちた願いだった…。  そんな願いが通じたのか、彼は転生する。  意識が覚醒すると体中がポカポカと毛布のような物に包まれ…時々顔をザラザラとした物に撫でられる。  周りを確認しようと酷く重い目蓋を上げると、目の前には大きな猫がいた。  俺はどうやら猫に転生したみたいだ…。

処理中です...