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第2章『エルフの里編』

帰還と出発

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 ………里へと戻った俺達は、皆んなでアーシャの家に立ち寄った。

「ただいまー!猪を狩ってきたわ!!」

「お帰りなさい、あら……ターニャちゃんにソフィーちゃんも一緒ね」

「……それで、猪はどこかしら?」

「ネラの[アイテムボックス]の中」

「ソフィー!?私が言おうと思ってたのに………」

 サラッと言ってしまったソフィーにアーシャは少し拗ねた様な表情で文句を言う。

「まあっ![アイテムボックス]まで使えるなんてネラは凄いのね」

「そうよ母さん!私のネラは凄いんだから!!」

 俺が褒められると、アーシャは先程までの不満を忘れてしまったかの様に笑顔になった。

 ………そんなに喜ばれると逆に気恥ずかしくなってしまうな。

「ネラ![アイテムボックス]から猪を出して!!」

『分かった』

 俺が猪を出すと直ぐに解体を始めた。

「かなり大きな猪でしたから解体も大変ですね」

 1時間程度作業を続けると猪はバラバラに解体されてしまった、……段々辺りが暗くなってきたな。

「ふう、やっと終わったわ!」

「そろそろ広場に行った方が良さそうですね、猪の肉を家に持ち帰ったらそのまま広場に集合しましょう」

「分かった……アーシャは先に行って待ってて、今度は呼びに行きたくないから」

 2人はそれぞれの家に戻っていった………、ソフィーは正直なだけじゃなくて毒舌も入っているのか?

「いってらっしゃい、帰って来るまでに美味しい料理を作っておくから、怪我をしない様に気を付けて」

 ……美味しい料理ってなんだろうか?焼いた肉に香辛料を掛けただけの簡単な物でも、舌が蕩けるほど美味しかったからとても楽しみだ。

「分かったわ!ゴブリンなんて蹴散らしてやるんだから!!」

 そう言ってアーシャは意気揚々と広場に向かっていった。

 ………広場に着いたが、まだ5人ほどしか来ていなかった。

 アーシャは真剣な表情になったと思ったら俺に話し掛けてきた。

「ネラ、作戦中は絶対に私から離れてはダメよ!約束だからね!!」

 そうだな、アーシャから離れたら守ってくれる人はいないだろうし、……………何よりアーシャに心配させたくない。

『………分かった、約束する』

「もうっ!不安にならないでちょうだい、私が絶対に守ってみせるわ!!」

 ………そんな事を話しているうちに段々人が広場に集まってきた。

「アーシャ待たせましたね、作戦中は私達3人で行動しましょう」

「よかった……、もしかしたらアーシャ来てないかと思ってた」

「ちょっとソフィー!?」

アーシャが文句を言おうとしたところで、その言葉を遮るかのようにリーダーの青年が話し出した。

「はいっ!静かに注目して下さい、全員集合したので今からゴブリン討伐作戦を開始します」

「攻撃の合図は空に火球を放つので、いつでも魔法を放てるように準備しておいて下さい、………では出発しましょう」

 ………辺りは既に闇に閉ざされている、どのように視界を確保するのだろうか?

「あっ、まだ暗視の魔法を掛けて無かったわ……『光の精霊よ瞳に宿れ』ナイトビジョン!」

 おぉー………これは凄いな、周囲が鮮明に見える。

 精霊魔法ってかなり万能なのか……羨ましい、俺も使えるようにならないだろうか?アーシャはエルフとドワーフにしか使えないとか言っていたが。

「………さっきも言ったけど、絶対に私から離れちゃダメよ!」

『分かってるって』

「よしっ!それじゃあ出発よ!!」

 そんなやり取りを交わしながら、既に闇に閉ざされた森の中を進んでいった。
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