『毒蛾転生〜仲間と共に異世界巡り〜』

ユーキ

文字の大きさ
上 下
18 / 51
第2章『エルフの里編』

作戦会議

しおりを挟む
 ………アーシャ達が広場へ着くと、20人程の若者が集まっていた。

「やっと来ましたか………はぁ、ではこれから今日の目標と作戦を説明します!」

 リーダーらしき青年が半ば諦めた様な顔をしながら声を上げた。

 ………苦労してるんだな、その様子からは中間管理職の様な哀愁が見てとれた。

「今回の目標はこの里の周囲に出来たゴブリンの村を壊滅させる事です」

「斥候からの情報によるとこの里から北西の位置にゴブリンの村があり、櫓や物見台は無いが村の周りは丸太の柵で覆われているようです」

 …………まだ2匹しか見ていないが、ゴブリンに村を作れる様な知性と仲間意識がある様には思えなかったが………。

「村が出来ている以上、ゴブリンキングとゴブリンの上位個体が発生しているでしょう、十分に注意して任務に就いて下さい」

 なるほど………、ゴブリンキングやゴブリンの上位個体の様な群れを統率する個体がいるのか。

「次に作戦の大まかな流れについての説明をします、各員はゴブリンに気付かれない程度の距離まで村に近寄り、僕の合図で一斉に各々の得意な精霊魔法を放って貰います」

「ゴブリンが混乱している隙にゴブリンキングと上位個体を攻撃する事で、ゴブリン達の統率を取らせないようにして下さい」

 ……エルフ達は静かにしているがあまり真剣味は感じられない、だが不思議と頼もしさを感じるな。

 ………この作戦は昔から変わらない決まりきった物なのだろう。

「作戦の決行は太陽が沈んでからです、各自装備を整えて戦いに備えておいて下さい」

 今からじゃ無いのかよ、もう既に戦う気持ちでいたのにな………。

「一応聞いておきますが、質問のある方ははいますか?……いませんね、ではこれをもってゴブリン討伐の事前会議を終了します」

 …………もう終わりなのか、一人一人に作戦が割り振られる感じじゃ無いんだな。

「やっと終わったわね!ターニャとソフィーも一緒に身体を動かしにいくわよ!!」

「そうね、………じゃあ今日の晩御飯を狩りに行きましょうか」

「アーシャが今日はやけに張り切ってる………」

「ソフィー?私はいつもと変わらないわ!」

「まあまあ、それぐらいにして装備を取りに一旦家へ戻りましょう」

「わかったわ!ネラ、行くわよ!」

 アーシャが小走りで走り出したので、俺は遅れないようについていくのだった。

「ただいま!今から狩に行ってくるわ!!」

「あら……アーシャおかえりなさい、討伐に遅れないようにするのよ」

「分かっているわ!」

「じゃあ、行ってきます!」

「はいはい、いってらっしゃい」

 ……先程の広場に戻ると2人は既に来ていた。

「皆んな集まったから行きましょ!」

 ………里から10数分移動した所に4メートル程の大きな猪がいた、こちらにはまだ気がついていないのか木の根本を掘っている。

「よしっ!ちょうどいいのがいるわね、私が後衛でターニャが前衛、ソフィーは撹乱よ!!」

 ………今からあの大きな猪を狩るみたいだな、その前に大きな猪のステータスを確認しておくか、鑑定。


――――――――――――――――――――――――

【ステータス】
ランク:D+
種族名:ラッシュボア
個体名:未獲得
レベル:17/35
状態:正常

能力値
HP:238/495
SP:134/455
MP:79/256
攻撃力:134
防御力:112
素早さ:138
魔法力:75
魔防力:83

パッシブスキル
[硬毛Lv4][毒耐性Lv4][気絶耐性Lv3][麻痺耐性Lv2]

アクティブスキル
[突進Lv5][土魔法Lv2][噛み付きLv3][探知Lv1][身体強化Lv1]

称号
[大食い][狂乱猪][当たり屋]

――――――――――――――――――――――――


 ………かなり強いんじゃないか?[突進]には要注意だ。

「くらいなさいっ!『火の精霊よ槍を』フレイムジャベリン!」

 アーシャの放った火の槍が当たるとともに戦闘が始まった。

「ブギイィ!」

「……こっちを見なさいブタ、[挑発]」

 怒った猪はアーシャの方へ行こうとしたが、ソフィーに[挑発]され方向を変える

「隙ありですね、『スラッシュ』!」

「シャーッ!」

「グルルゥアォ!」

 ヨルが水魔法を放ち、ルリは無防備な横腹に噛み付く。

「これでおしまいよ!………『火と風の精霊よ炙り刻め』バーニングトルネード!!」

【経験値23を獲得しました】

【レベルが上がりました】

 大猪は黒焦げになってその場に倒れ込んだ………、あんな攻撃絶対に喰らいたくないな。

 このレベルの魔物を一瞬で倒してしまうなんて…、かなりいい連携だったんじゃないか?

「あっ………アーシャ、そんな魔法を使ったから毛皮が黒焦げで使い物にならなくなっちゃったじゃん」

「………里に持って帰りましょ」

「アーシャ……、露骨に話題を変えましたね」

「ターニャ、肉は多分無事だから……許してちょうだい」

「はー仕方ないわね……、安全に狩れる相手にはその魔法使うの禁止」

 ソフィーが冷たい表情をしたままそう言った。

「えぇー!あの魔法…派手だから気に入ってたのに、
…………分かった、分かったからナイフをコッチに向けないで!

 ………無表情になってナイフを取り出したソフィーにアーシャは降参したのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~

北きつね
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。  ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。  一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。  ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。  おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。  女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。

転生したら人間じゃなくて魔物、それもSSSランクの天狐だったんですが?

きのこすーぷ
ファンタジー
何時もと変わらないはずの日常。 だけれど、この日は違った。教室の床は光り始め、目が覚めるとそこは洞窟の中。 主人公のコハクは頭の中で響く不思議な声と共に、新たな世界を生き抜いていく。 「ん? 殺傷した相手のスキルが吸収できるの?」授かったスキルは強力で、ステータスの上昇値も新たな世界ではトップクラス。 でもでも、魔物だし人間に討伐対象にされたらどうしよう……ふえぇ。 RPGみたいな感じです。 クラス転移も入っています。 感想は基本的に、全て承認いたします。禁止なのは、他サイトのURLや相応目的の感想となっております。 全てに返信させていただくので、暇なときにでも書いてくださると嬉しいです! 小説家になろう様でも掲載を始めました。小説家になろう様では先行で更新しております。 応援してくれるとうれしいです。https://ncode.syosetu.com/n5415ev/

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました

璃音
ファンタジー
 主人公の音無 優はごく普通の高校生だった。ある日を境に優の人生が大きく変わることになる。なんと、優たちのクラスが異世界召喚されたのだ。だが、何故か優だけか違う場所にいた。その場所はなんと神界だった。優は神界で少しの間修行をすることに決めその後にクラスのみんなと合流することにした。 果たして優は地球ではない世界でどのように生きていくのか!?  これは、主人公の優が人間を辞め召喚された世界で出会う人達と問題を解決しつつ自由気ままに生活して行くお話。  

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

処理中です...