暗黒神ですが人間界に降りてきました

まこる

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「死神......だって? 」

「ええ、生きとし生けるものの魂を奪い『自分のものとする』。この時点で普通の死神ではないことはお分かりで? 」

「......死神は、死期が迫った人間の元に現れて、魂を冥界へと導く。俺らの天界ではこういう役割だった。だがお前は、誰かれ構わず魂を抜き取って魔法に使う......」

「四年も天界にいなかったのに、教養はしっかりと備わっているようですね」

黒田の中で、イヴァルに対する憎悪の感情が、フツフツと湧き出てきた。

「お前は......生き物をなんだと思ってやがる......! 」

イヴァルはまるで、当然だとでもいうように呟いた。

「道具、食い物」

その瞬間、黒田の中で膨れていた感情が爆発し、強力な魔力をイヴァルに放出した。檻と向こう側の壁を挟んだイヴァルの心臓を貫き、殺した。

「はあ、はあ......」

やったと思っていたのも束の間、黒田は魂達に首を締め上げられていた。
殺したと思ったイヴァルも、平然と立ち上がった。

「私の中には無数の魂があるのです。あなたが今殺したのは私であって私ではない」

天界に連れていかれるのだ。このまま。

「させるか!! 」

すると、今まで床に倒れていた水原が、水魔法でイヴァルを吹き飛ばした。それと同時に、黒田の首を絞めていた魂も、イヴァルと同じ方向に吹き飛んでいった。

「貫太郎!! 」

「奇跡!! ここは俺が食い止める。その隙に皆を呼んできてくれ! 」

置いていくのは心苦しいが、友人のせっかくの勇気を無意味にする訳にもいかない。

「分かった! 奴は魂を操る。気づかない内に近付かれてたなんてことがないようにな! 」

「情報、感謝する......さあ行け!! 」

黒田は皆がいる教室へダッシュした。

「手負いの仲間を置いていくとは、暗黒神らしいですね。水神。またの名を『セイレーン』」

「その名前で呼ぶな......! 」

「知っていますよ。冥界にも届いた噂。元々あなたはおん」

「うるさい!! 黙っていろカス女ぁ!! 」
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