45 / 48
再会編
逆転
しおりを挟む
紅炎に少しでも触れてしまえば、その部分は跡形もなく消え去り、40分の1の体積で灰になってしまう。そんな破壊力の炎が、ユラシアたちの目の前まで迫っていた。
しかし、その炎は当たらなかった。
太陽王はさぞかし驚いた様子で言った。
「な! 紅炎がねじ曲がった!? 」
ユラシアたちに直撃するはずだった炎は、その場で蛇のようにくねくねとねじ曲がり、やがて消えてしまった。
それをした張本人は、太陽王の側にいた。
「時空スキル、湾曲だ」
そう、定仙だった。
「貴様......グハァッ!! 」
次の瞬間、太陽王の胸から一本の剣が出てきた。正確に心臓を貫いているであろうそれは、定仙がしたものだった。
「定仙、お前裏切ったんじゃ......」
ユラシアがそういうと定仙はニヤリと笑った。
「敵を騙すにはまず味方から、だぜ」
定仙は剣を引き抜き、倒れた太陽王の頭を踏みつけた。そして、手に持っていた剣を今度は首にあてがった。
「あんたのスキルは調べがついていた。まさか、スキルを使えなくするスキルとはな。国の民ではなかった俺は、怪しまれることなくあんたの信者になることができた。そして前の国王と親しかった冒険者と仲良くなり、排除する作戦を提案した」
「貴様、それで自分だけスキル封印から逃れたのか......」
定仙はあてがった剣を太陽王から離し、スキルを使った。
「密閉空間」
すると太陽王は、空間の歪みに巻き込まれ、跡形もなく消えた。
「裏側の空間に閉じ込めた。これでもう悪事は働けない。俺らの勝ちだ! 」
そういうと、周りにいた信者たちは、手に持っていた剣を手から離し、降伏を証明した。
-数日後-
かつての活気と明るさを取り戻した城にて、国を救った英雄として、ユラシアたちへ称号を授与する式典がとり行われた。
王は書状を広げ、直々に読み上げた
「ユラシア殿、シオネ殿、ラエル殿、リナ殿......おや? もう一人のお方が見えぬが」
正装をしたユラシアは王に答えた。
「堅苦しいのはゴメンだと」
「は、はぁ。では......今回国を救っていただいた5名の方に、名誉騎士の称号を与えます」
こうして、1名を除いた4名に、黄金が使われた剣が王から渡された。
そして
名誉騎士になってからというもの、ギルドには凄まじい量の依頼が舞い込んだ。そのほとんどが、名誉騎士である4名、特にユラシアを希望していた。
定仙はというと......
「もう、行くのか」
「ああ、世界を見て回りたいからな。せっかく会えたが、これでお別れだ」
定仙は大きな船に乗り、そこからユラシアに話していた。
「また、世界のどこかで会おうな!! 」
「ああ! 絶対にだ!! 」
船は、風を帆に受けて出港した。その風は、二人の男の別れとはつゆ知らず、力強く吹き通っていった。
しかし、その炎は当たらなかった。
太陽王はさぞかし驚いた様子で言った。
「な! 紅炎がねじ曲がった!? 」
ユラシアたちに直撃するはずだった炎は、その場で蛇のようにくねくねとねじ曲がり、やがて消えてしまった。
それをした張本人は、太陽王の側にいた。
「時空スキル、湾曲だ」
そう、定仙だった。
「貴様......グハァッ!! 」
次の瞬間、太陽王の胸から一本の剣が出てきた。正確に心臓を貫いているであろうそれは、定仙がしたものだった。
「定仙、お前裏切ったんじゃ......」
ユラシアがそういうと定仙はニヤリと笑った。
「敵を騙すにはまず味方から、だぜ」
定仙は剣を引き抜き、倒れた太陽王の頭を踏みつけた。そして、手に持っていた剣を今度は首にあてがった。
「あんたのスキルは調べがついていた。まさか、スキルを使えなくするスキルとはな。国の民ではなかった俺は、怪しまれることなくあんたの信者になることができた。そして前の国王と親しかった冒険者と仲良くなり、排除する作戦を提案した」
「貴様、それで自分だけスキル封印から逃れたのか......」
定仙はあてがった剣を太陽王から離し、スキルを使った。
「密閉空間」
すると太陽王は、空間の歪みに巻き込まれ、跡形もなく消えた。
「裏側の空間に閉じ込めた。これでもう悪事は働けない。俺らの勝ちだ! 」
そういうと、周りにいた信者たちは、手に持っていた剣を手から離し、降伏を証明した。
-数日後-
かつての活気と明るさを取り戻した城にて、国を救った英雄として、ユラシアたちへ称号を授与する式典がとり行われた。
王は書状を広げ、直々に読み上げた
「ユラシア殿、シオネ殿、ラエル殿、リナ殿......おや? もう一人のお方が見えぬが」
正装をしたユラシアは王に答えた。
「堅苦しいのはゴメンだと」
「は、はぁ。では......今回国を救っていただいた5名の方に、名誉騎士の称号を与えます」
こうして、1名を除いた4名に、黄金が使われた剣が王から渡された。
そして
名誉騎士になってからというもの、ギルドには凄まじい量の依頼が舞い込んだ。そのほとんどが、名誉騎士である4名、特にユラシアを希望していた。
定仙はというと......
「もう、行くのか」
「ああ、世界を見て回りたいからな。せっかく会えたが、これでお別れだ」
定仙は大きな船に乗り、そこからユラシアに話していた。
「また、世界のどこかで会おうな!! 」
「ああ! 絶対にだ!! 」
船は、風を帆に受けて出港した。その風は、二人の男の別れとはつゆ知らず、力強く吹き通っていった。
20
お気に入りに追加
370
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない
兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる