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再会編
裏切り
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「定仙、お前!! 」
太陽王の方へ歩み寄っていく定仙。玉座の少々後ろ側に位置を置いた。その顔は、かつての親友を嘲るように笑っていた。
「悪いな小神野。俺はこっちなんだ」
「そういうことだよ。大人しく降参したほうが、身のためだね」
うつむきながら拳を握るユラシア。彼は今、怒りに満ちていた。
「するわけ、ないだろ!! 創造!! 」
ユラシアは今一度、剣を作り出した。そして太陽王の元へ走っていき、切りつけようとした。しかし。
「太陽スキル、紅炎」
次の瞬間、ユラシアの視界は真っ白になっていた。何も見えない。明る過ぎるのだ。
目が慣れてきてやっと周囲を確認することができたが、そこには衝撃の景色が広がっていた。
太陽王の前方には、何もなかった。そう、正真正銘、何も。正面の壁も、飾ってあったタペストリーもすべて、恐らく焼けてなくなってしまったのだ。
手元を見ると、作ったはずの剣は真っ赤になりながらトロトロに溶けてしまっていた。恐ろしい、熱だ。
「驚いたね。君生きている」
「......無敵がなければ、確実に死んでいた」
「なるほど、スキルか。じゃあ、次は必ず死ぬね」
「あ? 」
太陽王はまた、スキルを発動させる素振りを見せた。
「太陽スキル、太陽風」
次の瞬間、太陽王の方から少し暖かい風が吹いてきた。何も辛くはない。攻撃にもなってはいない。
「何? ふざけているのか? 」
「ふざけてないよ。ほら、その傷なに? 」
太陽王が指し示した箇所、太ももには、見に覚えのない切り傷がついていた。かなり浅いが、血は出ている。
「どう分かった? 今の太陽風はあらゆる能力をしばらく使えなくする。次に紅炎を出してしまえば終わりってわけ」
「......この傷は定仙が時を止めてつけたってとこか」
「御名答だな小神野」
定仙はふざけ気味に拍手をした。絶対安全な領域から他者をあざ笑う、最低な男であった。
「さて、それじゃあ君を排除......と言いたいところだけど、君のお仲間が来るらしいよ」
後方の扉がガチャと開いた。そして入ってきたのは、体中傷だらけのシオネたちであった。地下牢の看守に背中を蹴押され、床にドタドタと倒れ込んだ。
「ユラシア、さん......」
「いやぁ実に愉快だね。信者たちに私のスキルでエンハンスをかけておいて正解だった」
笑うのをやめると、太陽王はユラシアたちに向かって手をかざした。
「それじゃあ、これで最後だね......紅炎」
太陽王の手が火を吹く。それはとてつもないスピードでユラシアたちに迫りくる。もう終わりだ。打つ手も無し。希望はない。まさに
絶対絶命
太陽王の方へ歩み寄っていく定仙。玉座の少々後ろ側に位置を置いた。その顔は、かつての親友を嘲るように笑っていた。
「悪いな小神野。俺はこっちなんだ」
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「するわけ、ないだろ!! 創造!! 」
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手元を見ると、作ったはずの剣は真っ赤になりながらトロトロに溶けてしまっていた。恐ろしい、熱だ。
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「あ? 」
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次の瞬間、太陽王の方から少し暖かい風が吹いてきた。何も辛くはない。攻撃にもなってはいない。
「何? ふざけているのか? 」
「ふざけてないよ。ほら、その傷なに? 」
太陽王が指し示した箇所、太ももには、見に覚えのない切り傷がついていた。かなり浅いが、血は出ている。
「どう分かった? 今の太陽風はあらゆる能力をしばらく使えなくする。次に紅炎を出してしまえば終わりってわけ」
「......この傷は定仙が時を止めてつけたってとこか」
「御名答だな小神野」
定仙はふざけ気味に拍手をした。絶対安全な領域から他者をあざ笑う、最低な男であった。
「さて、それじゃあ君を排除......と言いたいところだけど、君のお仲間が来るらしいよ」
後方の扉がガチャと開いた。そして入ってきたのは、体中傷だらけのシオネたちであった。地下牢の看守に背中を蹴押され、床にドタドタと倒れ込んだ。
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笑うのをやめると、太陽王はユラシアたちに向かって手をかざした。
「それじゃあ、これで最後だね......紅炎」
太陽王の手が火を吹く。それはとてつもないスピードでユラシアたちに迫りくる。もう終わりだ。打つ手も無し。希望はない。まさに
絶対絶命
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