上 下
43 / 48
再会編

作戦

しおりを挟む
5人は宮殿の前へとやってきた。前まで明るい雰囲気漂っていたそこは、今では陰湿な空気が流れていた。

「さて、みんな作戦通りに」

「おうよ」

「任せて下さい」

「承知した」

「頑張ります」

ユラシアと定仙以外の3人は、宮殿の外側からこっそり回りこんでいった。対して2人はというと。

「おっじゃましまーす! 」

「太陽王を出せ! 」

正面突破。その一言である。

「な! 不届き者め! ここで切り捨ててくれる! 太陽に死ね!! 」

ユラシアに向かってくる3人の太陽教信者。相手が創造神の力を持っているとも知らずに。

創造主クラフタースキル、創造クラフト! 」

殺人鬼キラースキル改め創造主クラフタースキルを使ったユラシアの手には、切れ味のよい鋼の剣が握られていた。

ユラシアの鮮やかなる剣術。それは、信者3人の腹を一瞬にして裂いてしまった。

「やってしまえ! 」

ユラシアよりも圧倒的に多い人数を相手にしている定仙。しかし、定仙のスキルが相手となると、敵側に同情してしまう。

時空タイムアンドスペーススキル、鈍化スローダウン! 」

飛びかかってきた信者たちは剣を持ったまま空中で停止した。詳しく言えば、ゆっくりと動いている。しかし、全く抵抗も出来ない速度である。

「ほんじゃ、ストレス発散だぜ」

抵抗ができない信者の顔面を力一杯殴りつける。時間を停止しているのと違うのは、鋭い痛みがじっくり、時間をかけて顔に浸透するという点だ。逃げようにも遅すぎる。

「へへ、俺ら最強タッグに挑むたぁ、いい度胸だな! 」

二人は信者たちをバッタバッタとなぎ倒し、着々と宮殿の奥に向かっていった。

その頃他の三人はというと。

「ここが地下牢ですか。しばらく使われていませんね」

「前の王を囚えたのがだいぶ久しぶりだったようだな」

「ふえぇ、クモの巣が顔に......」

少しぐずるリナを見てシオネは思った。

かわいい......

「な! 貴様らいつからここにいた!! 」

そうこうしている内に、牢の見張りの信者に見つかってしまった。松明を持っている手とは逆の手で、剣を抜いた。

「まずい、バレたぞ......」

「よーっし! 私がが人肌脱いで」

「私がやります! シオネお姉さんは休んでいて下さい」

シオネはこんな状況にも関わらず、リナにお姉さんと呼ばれたことに対してデレデレしていた。

「は、はいぃ。お姉さん休んでまーす」

少し引いているラエルと共に待つシオネ。するとリナは、自身のスキル名を唱えた。

ドラゴンスキル......吐息ブレス!! 」

そういうとリナの顔は、徐々に鱗が覆い、限りなくドラゴンに近づいた。そして、目一杯空気を吸い込むと、それに比例してとてつもない量の炎を吐き出した。

「うぐわぁあ!! 」

当然、信者は一瞬で消し炭になってしまった。

「......」

「それじゃあ、進みましょう? 」

地下牢が明るくなるほどの笑顔を見せたリナだったが、あのような技を披露したあとでは、あまり効果がなかった。

その頃すでに、二人は太陽王がいる謁見の間へ到着していた。

「お前が、太陽王だな? 」

肘掛けに肘をつき、片手に顎を乗せている形で、太陽王はいた。自分よりも下にいる二人を見下すような笑みを浮かべていた。

「そうだが? なんのようだね? 」

「死ね」

「ふむ......君は自分が置かれている状況が分かっているのかな? これは私、君の順番でいうと......」

太陽王は手に持っていたワインをグイと飲み干し、言った。

「ニ対一だよ? 」

するとユラシアの側にいた定仙は、不敵に笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。 しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。 だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。 そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

処理中です...