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再会編
最初の再会
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「......」
ユラシアが教会にて行方不明になり、五日が経った。探そうにも場所の検討もつかず、自分の無力感を噛み締めることとなっていたシオネ。都カルーデを外れた砂利道を、下を向きながら歩いていた。見つけた小石を蹴り続け、随分と遠くまできた。
ラエルと共に、ユラシアの名義を使ってギルドの依頼をこなしてきた。それもこれも、ユラシアが戻ってきてからがっかりさせない為である。
「......どこ、行っちゃったの」
小石を蹴るのをやめ、その場に立ち尽くしたシオネ。唇を固く結び我慢をしていたが、どうしても出てしまう。なにもできない。情けない自分の嗚咽が。
「うわぁあああん! ユラシアさぁああん!! どこ行っちゃったのぉ!!! 」
子供のように泣きじゃくり、その度に手の甲や平で涙を拭う。しかし、拭っても拭っても出てきてしまうのだ。挙げ句の果てには服で涙を抑える。帰る頃にはもちろん、ビシャビシャである。
しかし、その涙はある人物によって一時的に止まった。
「悪いな、待たせた」
ハッとして前を見ると、そこには自分が追い続けたユラシアの姿があった。
「......うう」
するとシオネは唇を震わせ、再び泣き始めた。今度の涙は自分の服ではなく、ユラシアの服に染み込むことになるのだ。
シオネはユラシアに、これ以上ないほどの力で精一杯に抱きついた。
「ユラシアさぁあああん!! 」
-数時間後 酒場オズニーニャにて-
「ムスー......」
先程とは打って変わって、口をとがらせたシオネと、ラエルはテーブルを挟み、ユラシアと向き合っていた。当のユラシアの隣には、見知らぬ女がいた。
「それで、ユラシア殿......」
「あ、ああ......」
「誰ですかその人!! ねぇユラシアさん!! 」
ラエルが質問をしていたのにシオネは耐えきれず、机を叩いて前のめりでユラシアに聞いた。
「その、知り合ったんだあの、彼女は竜人で......」
「まあ落ち着いてくれユラシア殿。その方とはど」
「同棲するつもりなんですか!? ラエルさんはいいですけど、これ以上増えたらユラシアさんが私に構ってくれなくなるじゃないですか! 」
再びラエルの話を遮るシオネ。
「まあ、同棲はするつもりだな......大丈夫、大人しい子だ」
「そういう問題じゃ......!! 」
すると、テーブルを叩いていたシオネの手は、リナによって優しく握られた。そして、女神のような包容力のある笑顔を見せ、言った。
「これからよろしくお願いします。シオネお姉さん」
「はううッ!! 」
かわいい......!!
「ま、まあ、ちょっとぐらいなら......いいんじゃないでしょうか」
「やったー! やりましたよユラシアさん! 」
酒場の客全員が見惚れるほど、リナの頬笑みは凄まじい威力を誇っていた。どんなに無愛想な輩も、リナの前ではデレデレすること間違いなしである。
ユラシアが教会にて行方不明になり、五日が経った。探そうにも場所の検討もつかず、自分の無力感を噛み締めることとなっていたシオネ。都カルーデを外れた砂利道を、下を向きながら歩いていた。見つけた小石を蹴り続け、随分と遠くまできた。
ラエルと共に、ユラシアの名義を使ってギルドの依頼をこなしてきた。それもこれも、ユラシアが戻ってきてからがっかりさせない為である。
「......どこ、行っちゃったの」
小石を蹴るのをやめ、その場に立ち尽くしたシオネ。唇を固く結び我慢をしていたが、どうしても出てしまう。なにもできない。情けない自分の嗚咽が。
「うわぁあああん! ユラシアさぁああん!! どこ行っちゃったのぉ!!! 」
子供のように泣きじゃくり、その度に手の甲や平で涙を拭う。しかし、拭っても拭っても出てきてしまうのだ。挙げ句の果てには服で涙を抑える。帰る頃にはもちろん、ビシャビシャである。
しかし、その涙はある人物によって一時的に止まった。
「悪いな、待たせた」
ハッとして前を見ると、そこには自分が追い続けたユラシアの姿があった。
「......うう」
するとシオネは唇を震わせ、再び泣き始めた。今度の涙は自分の服ではなく、ユラシアの服に染み込むことになるのだ。
シオネはユラシアに、これ以上ないほどの力で精一杯に抱きついた。
「ユラシアさぁあああん!! 」
-数時間後 酒場オズニーニャにて-
「ムスー......」
先程とは打って変わって、口をとがらせたシオネと、ラエルはテーブルを挟み、ユラシアと向き合っていた。当のユラシアの隣には、見知らぬ女がいた。
「それで、ユラシア殿......」
「あ、ああ......」
「誰ですかその人!! ねぇユラシアさん!! 」
ラエルが質問をしていたのにシオネは耐えきれず、机を叩いて前のめりでユラシアに聞いた。
「その、知り合ったんだあの、彼女は竜人で......」
「まあ落ち着いてくれユラシア殿。その方とはど」
「同棲するつもりなんですか!? ラエルさんはいいですけど、これ以上増えたらユラシアさんが私に構ってくれなくなるじゃないですか! 」
再びラエルの話を遮るシオネ。
「まあ、同棲はするつもりだな......大丈夫、大人しい子だ」
「そういう問題じゃ......!! 」
すると、テーブルを叩いていたシオネの手は、リナによって優しく握られた。そして、女神のような包容力のある笑顔を見せ、言った。
「これからよろしくお願いします。シオネお姉さん」
「はううッ!! 」
かわいい......!!
「ま、まあ、ちょっとぐらいなら......いいんじゃないでしょうか」
「やったー! やりましたよユラシアさん! 」
酒場の客全員が見惚れるほど、リナの頬笑みは凄まじい威力を誇っていた。どんなに無愛想な輩も、リナの前ではデレデレすること間違いなしである。
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