死刑になったら転生しました ~しかもチートスキル付きだとぉ?~

まこる

文字の大きさ
上 下
26 / 48
学園生活編

魔王

しおりを挟む
あの試合でアリスたちが来ていたような戦闘服に着替える。ユラシアは、居間までに起きたことを整理し、今の目的を考えた。

アリスを力で従えていたあの魔物の親玉の正体と、ユラシアになんらかの方法で力を与えた存在。特に後者は、強大な存在である可能性が高い。それに加えて、前者は、スキルを一時的に封印する術を持ち合わせている。どちらも侮れない敵である。

「おい、そろそろだぜ......」

ギャンガが呼びに来た。ユラシアは重い腰を持ち上げて、闘技場へと向かった。

-第二闘技場-

「怖じ気付かずに来たわね」

「ああ、これで終わらせる」

張り詰めた空気の中、二人は着実に戦意を高めていった。

「勝負開始!! 」

仕掛けたのはサキだ。スキルの内容はわからない。警戒した上で、ユラシアは無敵インビンシブルを張った。

大地グランドスキル! ナックル! 」

サキのスキル、大地グランドスキルは、読んで字の如く、大地を味方につけるという強力なスキルである。その中のナックルという技は、自身の拳に周辺の岩や土を纏わり付かせ、巨大なメリケンサックを作り出すというものである。闘技場の壁は、元を辿れば大地より生まれたもの。それを引き寄せ、サキは巨大な岩を作り出し、ユラシアを殴った。

「おお! あんな攻撃食らったら、ひとたまりもないだろ! 」

「さすがに死んだな。あいつ」

席からはこのような言葉が降りかかった。しかし、こんなことでやられるユラシアではない。あらかじめスキルで自身を守っていたのだから。

岩は砕け散った。砂ぼこりが晴れる頃にはユラシアの姿が見えていた。そこにいたユラシアの体には、傷一つついてはいなかった。

「今のが限界か? 」

「ふふふ......そんなわけないわよ! 」

先ほどのスキルの応用。サキは砕けた岩をまた集めて一塊にすると、今度は拳につけず、自身の頭上に浮かして見せた。

「はあああ!! 」

想像の通り、サキはそれをユラシアへぶつけた。しかし、攻撃自体はあまり変わっていない。それでユラシアを倒せるはずがなかった。

「ぶつけるだけじゃないわ。この岩は対象を覆い尽くして、潰す! 打撃がダメならこうよ! 」

言った通り、砕けた岩はユラシアの体全体に張り付いて、力を加えていった。しかし、神より授かったこのスキルが破られるはずもなく。

「......退屈だな」

ユラシアは岩をすべて弾き飛ばし、サキに歩み寄っていった。

「この......ツリー!! 」

このスキルは、どこからでも木を生やすことができる技。それで遠距離攻撃を可能にしているのだが、ユラシアには効かなかった。木はユラシアに向かって急速に伸びたが、それがユラシアを吹き飛ばすことはなかった。

「そん......な」

「これで終わりか? 最初の威勢はどこへいった? 」

ユラシアがサキを追い詰めた戦い。決着は既についたように見えた。しかし、サキが驚くべき反応を示した。

「......お前サキ、何を笑っている? 」

「ふふ......アッハッハッハ!! いやぁ、可笑しくて......反則級ね、ミツルくん。もう降参よ」

「信用できないな」

「しなくても、結構よ......もう手が下るわ」

「あ? 」

サキのその言葉を境に、闘技場に重い声が響き渡った。

「人間共。余の名はゼホノゴス。この世を統べる王である......そこの人間、サキよ。その男を捕えよと命じたはずだ」

「魔王様、私じゃ無理よ。ここは引いてもらえないかしら? 」

サキがそういうと、大地が揺れるほどの覇気を纏った、魔王ゼホノゴスの声が流れた。

「ふざけるな! 余にはその男が必要なのだ。余が神となるためには」

それを聞くと、サキは地面に顔をやった。しばらくそうしていると、笑い声が聞こえてきた。サキからだ。

「ふふふ。元々あなたの指示でやろうとしたことじゃないわ。ついでだったよの。だからいつ諦めようと私の勝手」

それを聞くと、ゼホノゴスは急に落ち着きを取り戻した。

「......貴様の体に、余がくれてやったコアがあるはずだ。それを暴走させれば」

「......!! みんな離れて!! 」

サキは叫ぶと、地面に倒れ、うずくまってしまった。とても苦しそうにもがいている。

「おい、サキ」

「ウウ......! 」

ユラシアの方を向いたサキは、サキであってサキではなかった。そして、そのサキから放たれた言葉は、とても強力な魔力が込められていた。

大地グランドスキル......泥巨人ゴーレム!! 」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水
ファンタジー
 クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。  神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。  洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。  彼は喜んだ。  この世界で魔法を扱える事に。  同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。  理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。  その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。  ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。  ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。 「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」  今日も魔法を使います。 ※作者嬉し泣きの情報 3/21 11:00 ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング) 有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。 3/21 HOT男性向けランキングで2位に入れました。 TOP10入り!! 4/7 お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。 応援ありがとうございます。 皆様のおかげです。 これからも上がる様に頑張ります。 ※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz 〜第15回ファンタジー大賞〜 67位でした!! 皆様のおかげですこう言った結果になりました。 5万Ptも貰えたことに感謝します! 改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

処理中です...