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学園生活編
仲間との共闘
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ユラシアは、アリスを助けに行く前に、あいつにお願いをしていた。
「お前の能力、遠くから敵を攻撃することはできるか? 」
「ああ、できる......でも殺せとはいうなよ? 」
「ああ、俺の今のスキルじゃやつを殺しきれない。トドメは俺がさす。だから、お前がなるべく大きな攻撃を仕掛けてくれ」
ユラシアが使えるスキルは、例の手錠によって制限されていた。その具合を確認した上で、ユラシアはギャンガに願った。
命を受け、ギャンガは闘技場の上部、傍聴席へと向かった。
「距離96m。風無し。気分は上々......狙撃手スキル......」
ギャンガがスキル名を言うと、現代のスナイパーライフルにかなり似た形の銃がギャンガに抱かれていた。
席の窓から銃口を出し、狙いを定めた。
「......望遠鏡」
的確な狙撃をするため、このスキルは欠かせない。裸眼の倍率を増やしていき、より精密な一撃を食らわせる。
「......的中! 」
放たれた魔力の塊は、ユラシアを捕えることで頭がいっぱいになっている魔物に向かっていった。
弾は魔物と触れた瞬間爆発し、その魔物に致命傷を与えた。
「グオオオオ!! 」
「......ギャンガ、案外やれるやつじゃないか」
ユラシアは、魔力弾が撃たれた方を見た。目線の先に、ギャンガが親指を立てている姿が見えた。
「ぐおおおお! なんだこれは!! 」
「お前には聞きたいことがあるが、せっかくあいつがくれたチャンス。逃すわけにはいかない」
ユラシアは、手錠によって妨害されなかったスキルを使って、目一杯魔物を殺した。
「加速! 」
何度も何度も切り裂いた。人間と急所が同じとは限らないので、様々な場所をだ。
やがて魔物は息絶えた。
「......大丈夫か? アリス」
「う、うん......」
全身の力が抜け、倒れそうになったところを、アリスはユラシアに助けられた。まるで姫のように抱き抱えられて。
「魔物はもう消滅するだろう。それに伴って、俺の手錠も外れてくれるはずだ......しかし、制限された戦いは初めてだった」
「あんた、あの強さで制限されてたっていうの!? 」
「ああ......本来なら、3秒もかからずに済ませていたはずなのにな」
アリスは唖然としていた。自分が従わされていたあの魔物を、3秒以下で。
「ウガアアアアアア!! あの魔物どこ行きやがった!! 」
ガレキの中で気絶していたイガロスが起き上がった。そして、アリスとユラシアの元へ近付いてきた。
「あの魔物は!!? 」
「もう倒したわ。こいつが」
「いや、俺だけじゃ」
「テメェ!! 勝負しろ!! 」
「な、なぜだ......」
「最初からテメェの強さには気付いてた。だからあの時ついてこいっていったんだよ!! テメェと喧嘩するためにな! 」
怒りの表情でユラシアに迫るイガロス。彼はただ純粋に、強さを求めてユラシアと戦いたいだけだったのだ。
「俺と......戦うためだけだったのか」
「そうだ!! この試合は無効! 問答無用で俺がぶん殴る!! 」
こうして、闘技場での魔物発生事件は終わりを向かえた。死亡者はゼロ。ユラシアがいたからである。後から来た制服姿のシオネとラエルは、ユラシアを守れなかったことを悔しがっていた。
イガロスは、この後ユラシアに挑んで敗北を喫することになった。
そしてアリスはというと、自分の中でふつふつと湧いているユラシアへの感情に、薄々気付いていた。
-寮-
「サキ様! 」
寮の一室、四天王のために特別に用意された大きな部屋に、男子生徒一人と、大人数の女子生徒がいた。ソファの真ん中に座っている男子生徒、サキは、急いで部屋に入ってきた女子生徒の話を聞いた。
「どうしたのかしら? 」
「最近気にくわない新入りが入ってきたんです。しかも三人も」
「......私も知ってるわよ。ミツル、シオネ、ラエル。シオネちゃんとラエルちゃんは、女の子なのに私に挨拶に来ない。それはまだいいわ。問題はミツルくんね。一部では、ギャンガとかいうおバカさんが雇った冒険者だとかいう噂。四天王を更正させるらしいわね」
サキは、自慢の情報網を頼りに、つらつらとユラシアたちの噂や悪口を言っていった。ユラシアが特にまずいようだ。
「ミツルくん。話によると、弱点は女の子らしいわね。なら」
そっちの方向でいたぶればいい。
「お前の能力、遠くから敵を攻撃することはできるか? 」
「ああ、できる......でも殺せとはいうなよ? 」
「ああ、俺の今のスキルじゃやつを殺しきれない。トドメは俺がさす。だから、お前がなるべく大きな攻撃を仕掛けてくれ」
ユラシアが使えるスキルは、例の手錠によって制限されていた。その具合を確認した上で、ユラシアはギャンガに願った。
命を受け、ギャンガは闘技場の上部、傍聴席へと向かった。
「距離96m。風無し。気分は上々......狙撃手スキル......」
ギャンガがスキル名を言うと、現代のスナイパーライフルにかなり似た形の銃がギャンガに抱かれていた。
席の窓から銃口を出し、狙いを定めた。
「......望遠鏡」
的確な狙撃をするため、このスキルは欠かせない。裸眼の倍率を増やしていき、より精密な一撃を食らわせる。
「......的中! 」
放たれた魔力の塊は、ユラシアを捕えることで頭がいっぱいになっている魔物に向かっていった。
弾は魔物と触れた瞬間爆発し、その魔物に致命傷を与えた。
「グオオオオ!! 」
「......ギャンガ、案外やれるやつじゃないか」
ユラシアは、魔力弾が撃たれた方を見た。目線の先に、ギャンガが親指を立てている姿が見えた。
「ぐおおおお! なんだこれは!! 」
「お前には聞きたいことがあるが、せっかくあいつがくれたチャンス。逃すわけにはいかない」
ユラシアは、手錠によって妨害されなかったスキルを使って、目一杯魔物を殺した。
「加速! 」
何度も何度も切り裂いた。人間と急所が同じとは限らないので、様々な場所をだ。
やがて魔物は息絶えた。
「......大丈夫か? アリス」
「う、うん......」
全身の力が抜け、倒れそうになったところを、アリスはユラシアに助けられた。まるで姫のように抱き抱えられて。
「魔物はもう消滅するだろう。それに伴って、俺の手錠も外れてくれるはずだ......しかし、制限された戦いは初めてだった」
「あんた、あの強さで制限されてたっていうの!? 」
「ああ......本来なら、3秒もかからずに済ませていたはずなのにな」
アリスは唖然としていた。自分が従わされていたあの魔物を、3秒以下で。
「ウガアアアアアア!! あの魔物どこ行きやがった!! 」
ガレキの中で気絶していたイガロスが起き上がった。そして、アリスとユラシアの元へ近付いてきた。
「あの魔物は!!? 」
「もう倒したわ。こいつが」
「いや、俺だけじゃ」
「テメェ!! 勝負しろ!! 」
「な、なぜだ......」
「最初からテメェの強さには気付いてた。だからあの時ついてこいっていったんだよ!! テメェと喧嘩するためにな! 」
怒りの表情でユラシアに迫るイガロス。彼はただ純粋に、強さを求めてユラシアと戦いたいだけだったのだ。
「俺と......戦うためだけだったのか」
「そうだ!! この試合は無効! 問答無用で俺がぶん殴る!! 」
こうして、闘技場での魔物発生事件は終わりを向かえた。死亡者はゼロ。ユラシアがいたからである。後から来た制服姿のシオネとラエルは、ユラシアを守れなかったことを悔しがっていた。
イガロスは、この後ユラシアに挑んで敗北を喫することになった。
そしてアリスはというと、自分の中でふつふつと湧いているユラシアへの感情に、薄々気付いていた。
-寮-
「サキ様! 」
寮の一室、四天王のために特別に用意された大きな部屋に、男子生徒一人と、大人数の女子生徒がいた。ソファの真ん中に座っている男子生徒、サキは、急いで部屋に入ってきた女子生徒の話を聞いた。
「どうしたのかしら? 」
「最近気にくわない新入りが入ってきたんです。しかも三人も」
「......私も知ってるわよ。ミツル、シオネ、ラエル。シオネちゃんとラエルちゃんは、女の子なのに私に挨拶に来ない。それはまだいいわ。問題はミツルくんね。一部では、ギャンガとかいうおバカさんが雇った冒険者だとかいう噂。四天王を更正させるらしいわね」
サキは、自慢の情報網を頼りに、つらつらとユラシアたちの噂や悪口を言っていった。ユラシアが特にまずいようだ。
「ミツルくん。話によると、弱点は女の子らしいわね。なら」
そっちの方向でいたぶればいい。
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