死刑になったら転生しました ~しかもチートスキル付きだとぉ？~

学園生活編

編入初日

「ミツル・オガミノだ。よろしく頼む」

偽名を使って学校への編入に成功したユラシア。話に聞いていた通り、見て分かるくらいの貧富の差だ。

「ミツルくんはあまりここのことを知らない。仲良くしてやってくれ。それでは、最初の授業だ」

ユラシアが席に着くと、その直後に、小さな声で横の席から声をかけられた。この件の依頼主だ。

「よく来てくれた。相手にもされてないかと思ったぜ......一応、俺なりに悪い奴らをリストアップしてみた。ほれ」

ユラシアは、それが書いてある紙を受け取った。書かれている人数は四人。それぞれの名前と特徴が細かく書き込まれていた。そして、一番大きな文字で『金持ち四天王』と皮肉たっぷりに書かれていた。

「......やらせてもらう」

-授業後-

支給された教科書を片付けていると、前に大柄の男が立っていた。リストNo.3のイガロスである。情報通り、目の色が深く、吸い込まれそうだ。

「ちょっと来やがれ」

「断る」

そんな言葉が出てくるとは思っていなかったイガロス。ユラシアの方を向いた。

「あ？ 」

「大体、なぜ俺がお前に指図されなくちゃいけないんだ？ 正当な理由があるなら、検討する」

ユラシアの発言に苛立ちを覚えたイガロスは、その感情に任せてユラシアを力一杯殴ろうとした。しかし、常に無敵インビンシブルを発動させているユラシアにとって、それは身体に何の影響も及ぼさない。

「このやろォ！ 」

「待ちなさい！ 」

イガロスを止めたのは、リストNo.4のアリス・グレーシアであった。代々、強大な魔力を持った人間が生まれる、神に恵まれた貴族の家系である。依頼主の情報によれば、四天王の中でも一番傲慢で、何でも自分が望んだ結果にならないと機嫌を損ねるらしい。

「ああ？ グレーシア家のお嬢様が何の用だ？ お茶にでも誘うのか？ 」

「その男に興味が湧いたの。寄越してちょうだい！ 」

「興味だと？ お前が男に？ 」

イガロスの発言に違和感を感じたが、それ以前に二人の威圧感に飲まれそうだった。腐っても貴族であり相当の猛者。その二人の衝突は、周囲の空間を歪めるほどだった。

「......貴族らしく、決闘で勝負する？ 」

イガロスは威圧をやめ、アリスに提案をした。

「いい考えだな。ブスの顔面みたくボコボコにしてやるぜ」

思いもしなかった。イガロスはそれを承諾し、二人は教室を出ていった。

「あんた、勝負の景品にされちまったぜ」

依頼主がユラシアに話しかけた。

「何かまずいのか？ 」

「いや、まずくはねぇが......前例がほとんどねぇもんでよ。この話はあっという間に学校中に広まるぜ」

「ふん......」

こうしてユラシアは、二人の貴族の景品となってしまった。これがあのような結果になるとは、この時点では誰も想像すらしていなかった。