死刑になったら転生しました ~しかもチートスキル付きだとぉ?~

まこる

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獣人裁判編

シオネと二人で

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「被告、ユラシア・アナガデロ。貴様の罪状を読み上げる」

「......」

このような結果になってしまった事のてんまつは、数時間前に遡る......

-市場-

この日、ユラシアはシオネと、ギルドがある町とは別の町に買い出しに来ていた。

「ユラシアさんとお買い物ー。二人でお買い物ー」

シオネは、ルンルンでスキップまでしていた。

「やけに上機嫌だな」

「当たり前じゃないですかぁ」

シオネはユラシアの顔を、ニコニコの笑顔で覗き込みながらいった。

「最近、ユラシアさんたらあのエルフの人と訓練ばっかりなんですもん。二人っきりだったら上機嫌にもなりますよ」

「フッ。かまってやれなくて、悪かったな」

ユラシアは、拗ね気味なシオネの頭を撫でた。耳以外は人間の構造なので、嬉しい時は耳で分かる。ピョコンとはねるのだ。

「んふふーん、もっともっとですー」

自身の頭に乗っていた手に押しつけるように、シオネは背伸びをした。それに加えて、ユラシアに寄りかかった。

しかし、周りから見ると、それはあまりいい光景ではなかった。イチャイチャしているからという訳ではない。シオネの、獣人という種族の問題なのだ。

「お! お二人さん熱いねぇ! どうだい? この果物買って......いかな......いか......」

八百屋の主人は、シオネの耳を見て顔色を変えた。すると、慌てて顔を伏せた。その様子が、ユラシアにも見えていた。

「おい主人。なぜこいつを見て顔を反らすんだ? 」

「いや、それは......」

「答えろ」

ユラシアの威圧感に負けて、主人は思っていることを口にしてしまった。

「......じゅ、獣人を連れて歩くな! ノミが跳ねるんだ! 」

その言葉は、ユラシアの怒りを奮い立たせるのに十分な材料であった。

「おい、もう一度言ってみろクソジジイ。次に言ったときには、苦しむ間も与えずに殺す」

「うぐ......」

そんなやり取りをしていると、横から声が聞こえてきた。やけに、しゃくにさわる声だった。

「やめないか見苦しい。獣人を連れているお前が悪いだろう」

「あ? 」

声の主は、騎士の格好をした金髪の男であった。剣を帯刀していて、わきに部下を連れていた。

「獣人は重罪だぞ。それを保護するお前も勿論、極刑に処されるだろう」

ユラシアを見下すような目線は、ユラシア自身だけでなく、シオネの怒りのツボも刺激した。

「ちょっと、酷いんじゃないですか? 」

ユラシアとその騎士の間に割って入ったシオネ。しかし、すぐに騎士に頬を叩かれ、地面に倒れてしまった。そして、次の一言が、ユラシアの決心を促進するものとなる。

「おい、替えの手袋を持ってこい。汚ならしい獣人の頬に触ってしまった」

次の瞬間、ユラシアの口は勝手に動いていた。

「......殺人鬼キラースキル」

しかしその言葉を制するように、シオネがユラシアの服の裾を引っ張った。

「シオネ......! 」

「ダメ......です。ユラシアさん。私のために、怒らないでください」

シオネの言葉は、ユラシアの体へ直接響き、スキルの発動を制御した。

「さて......この罪人たちを連行しろ。地下牢に閉じ込めておけ」

シオネの言葉を深く頭に刻み、ユラシアは大人しく連行された。
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