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エルフ編

リザードマン

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-リザードマンのアジト-

山岳地帯に面した海岸にて、リザードマンのアジトを見つけたユラシア。

「岩穴にアジトを作っているんだな。見張りは......12か」

リザードマンは、堂々と歩いてきたユラシアに気付き、剣を抜いた。

「クソッ!! またエルフか!? 勘弁してくれ!! 」

「いや、人間が一人だ......」

そんなリザードマンを気にも止めず、ユラシアはどんどんアジトの入り口へと近付いていった。

「待ちやがれ!! 」

岩穴の上、茂みから一斉に攻撃を仕掛けてきたリザードマン。しかし、ユラシアにとって、それはあくびをするにも長すぎる時間であった。

加速アクセル

ユラシアのスピードは、普段の10倍ほどになり、一瞬でリザードマンたちをなぎ払った。たったそれだけで、リザードマンたちは気絶してしまった。

-アジト内部-

アジトは案外簡単な造りになっていて、一つの空洞があるだけだった。そこに、手練れそうなリザードマンが数体と、明らかに他のリザードマンとは違うオーラを放っているリザードマンがいた。その奥には、誘拐されたエルフの娘であろう人物が、檻に入れられていた。

「......お前は、エルフか? 」

一番手練れそうなリザードマンが話しかけてきた。声からしてメス、いや女性なのだろうか。

「違う。エルフの依頼で来たしがない冒険者だ。その娘を解放してもらおう」

岩穴の中は薄暗く、リザードマンたちの容姿まで細かくは見ることができなかった。が、リザードマンが歩み寄ってくる音で分かる。怪我をしているのだ。

「......他の者たちには手を出すな。私が相手になろう」

「そんな状態でか? 」

「......我々はもう、エルフたちの襲撃でボロボロなのだ。できればこのまま帰ってもらいたい」

「入り口のリザードマンがすぐに気絶したのはそのせいか」

「ああ......誰か心優しい者が、ポーションでも持ってきてくれればいいのだが、こんな悪党に情けをかけるものなどいないだろう」

ユラシアの近くまで歩いてくると、限界がきたのか、リザードマンは抜いた剣を地面に突き刺して膝をついた。

「森エルフめ......弓矢に吸力の魔法をかけていたのか......くそ......」

リザードマンが苦しそうにしていると、前でガラスがぶつかる音がした。見てみると、地面に大量のポーションが落ちているのだ。突然のことで、リザードマンはとても驚いていた。

「......こんな瀕死の状態のやつらを放っておけるほど、ベテランじゃないんでな」

しかし、リザードマンはそのポーションに手をつけなかった。むしろ、無理やり目を背けていた。

「どうしたんだ? 」

「......受け取れない......私はあなたのことを敵だと信じこんで、既に抜刀していた。しかし、こんな無様な私たちにポーションを与えてくれる方だとは、微塵も思っていなかった。だから、受け取れない......」

ユラシアはそんなリザードマンの目線に合わせ、しゃがんだ。そして、ポーションを握って差し出した。

「自分が死にたいんだったら、好きにすればいい。だが、を道連れにするようなやつは、俺は絶対に許さない」

「......ッ!! 」

それを聞くと、リザードマンは急いでポーションを受け取り、仲間のところへ急いだ。

ユラシアは、檻をスキルで破壊し、娘を救出した。娘は疲れていたのか、眠っていた。

-数分後-

リザードマンたちとエルフを抱き抱えたユラシアは、岩穴の中で焚き火を囲んで、今後を話していた。

「俺はもう娘を救出できたからいい。問題はお前らだ。これからどうするんだ? 」

リザードマンたちは、一斉にあのリザードマンのほうに顔を向けた。

「......森エルフに謝りに行く。そして、あなたにも。いや、謝るというのは、少し変な話かもしれない」

「俺に? 」

「ああ、騙していてすまなかった」

するとリザードマンたちは顔を合わせて、を解除した。

「私たちは海エルフ。森エルフと対を成す、敵対勢力なんだ」

変身を解除すると、涼しそうな格好をした女エルフたちが姿を現した。

「......リザードマンに変身していたのは、素性をばらさないため。そして人質をとったのは、森エルフに敵対しているからってところか? 」

「ああ......我々としても、その子を殺すだけの度胸はなかった。それを知っていて、森エルフは積極的に襲撃してきたのだ」

リザードマン改め、海エルフは、一斉に顔をおろした。エルフに襲撃されたことがトラウマとなっているんだろう。

「......俺はこのまま森エルフの里に行く。お前もついてこい」

「ああ......この長い戦いを、もう終わらせたい」
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