12 / 47
エルフ編
リザードマン
しおりを挟む
-リザードマンのアジト-
山岳地帯に面した海岸にて、リザードマンのアジトを見つけたユラシア。
「岩穴にアジトを作っているんだな。見張りは......12か」
リザードマンは、堂々と歩いてきたユラシアに気付き、剣を抜いた。
「クソッ!! またエルフか!? 勘弁してくれ!! 」
「いや、人間が一人だ......」
そんなリザードマンを気にも止めず、ユラシアはどんどんアジトの入り口へと近付いていった。
「待ちやがれ!! 」
岩穴の上、茂みから一斉に攻撃を仕掛けてきたリザードマン。しかし、ユラシアにとって、それはあくびをするにも長すぎる時間であった。
「加速」
ユラシアのスピードは、普段の10倍ほどになり、一瞬でリザードマンたちをなぎ払った。たったそれだけで、リザードマンたちは気絶してしまった。
-アジト内部-
アジトは案外簡単な造りになっていて、一つの空洞があるだけだった。そこに、手練れそうなリザードマンが数体と、明らかに他のリザードマンとは違うオーラを放っているリザードマンがいた。その奥には、誘拐されたエルフの娘であろう人物が、檻に入れられていた。
「......お前は、エルフか? 」
一番手練れそうなリザードマンが話しかけてきた。声からしてメス、いや女性なのだろうか。
「違う。エルフの依頼で来たしがない冒険者だ。その娘を解放してもらおう」
岩穴の中は薄暗く、リザードマンたちの容姿まで細かくは見ることができなかった。が、リザードマンが歩み寄ってくる音で分かる。怪我をしているのだ。
「......他の者たちには手を出すな。私が相手になろう」
「そんな状態でか? 」
「......我々はもう、エルフたちの襲撃でボロボロなのだ。できればこのまま帰ってもらいたい」
「入り口のリザードマンがすぐに気絶したのはそのせいか」
「ああ......誰か心優しい者が、ポーションでも持ってきてくれればいいのだが、こんな悪党に情けをかけるものなどいないだろう」
ユラシアの近くまで歩いてくると、限界がきたのか、リザードマンは抜いた剣を地面に突き刺して膝をついた。
「森エルフめ......弓矢に吸力の魔法をかけていたのか......くそ......」
リザードマンが苦しそうにしていると、前でガラスがぶつかる音がした。見てみると、地面に大量のポーションが落ちているのだ。突然のことで、リザードマンはとても驚いていた。
「......こんな瀕死の状態のやつらを放っておけるほど、ベテランじゃないんでな」
しかし、リザードマンはそのポーションに手をつけなかった。むしろ、無理やり目を背けていた。
「どうしたんだ? 」
「......受け取れない......私はあなたのことを敵だと信じこんで、既に抜刀していた。しかし、こんな無様な私たちにポーションを与えてくれる方だとは、微塵も思っていなかった。だから、受け取れない......」
ユラシアはそんなリザードマンの目線に合わせ、しゃがんだ。そして、ポーションを握って差し出した。
「自分が死にたいんだったら、好きにすればいい。だが、仲間を道連れにするようなやつは、俺は絶対に許さない」
「......ッ!! 」
それを聞くと、リザードマンは急いでポーションを受け取り、仲間のところへ急いだ。
ユラシアは、檻をスキルで破壊し、娘を救出した。娘は疲れていたのか、眠っていた。
-数分後-
リザードマンたちとエルフを抱き抱えたユラシアは、岩穴の中で焚き火を囲んで、今後を話していた。
「俺はもう娘を救出できたからいい。問題はお前らだ。これからどうするんだ? 」
リザードマンたちは、一斉にあのリザードマンのほうに顔を向けた。
「......森エルフに謝りに行く。そして、あなたにも。いや、謝るというのは、少し変な話かもしれない」
「俺に? 」
「ああ、騙していてすまなかった」
するとリザードマンたちは顔を合わせて、変身を解除した。
「私たちは海エルフ。森エルフと対を成す、敵対勢力なんだ」
変身を解除すると、涼しそうな格好をした女エルフたちが姿を現した。
「......リザードマンに変身していたのは、素性をばらさないため。そして人質をとったのは、森エルフに敵対しているからってところか? 」
「ああ......我々としても、その子を殺すだけの度胸はなかった。それを知っていて、森エルフは積極的に襲撃してきたのだ」
リザードマン改め、海エルフは、一斉に顔をおろした。エルフに襲撃されたことがトラウマとなっているんだろう。
「......俺はこのまま森エルフの里に行く。お前もついてこい」
「ああ......この長い戦いを、もう終わらせたい」
山岳地帯に面した海岸にて、リザードマンのアジトを見つけたユラシア。
「岩穴にアジトを作っているんだな。見張りは......12か」
リザードマンは、堂々と歩いてきたユラシアに気付き、剣を抜いた。
「クソッ!! またエルフか!? 勘弁してくれ!! 」
「いや、人間が一人だ......」
そんなリザードマンを気にも止めず、ユラシアはどんどんアジトの入り口へと近付いていった。
「待ちやがれ!! 」
岩穴の上、茂みから一斉に攻撃を仕掛けてきたリザードマン。しかし、ユラシアにとって、それはあくびをするにも長すぎる時間であった。
「加速」
ユラシアのスピードは、普段の10倍ほどになり、一瞬でリザードマンたちをなぎ払った。たったそれだけで、リザードマンたちは気絶してしまった。
-アジト内部-
アジトは案外簡単な造りになっていて、一つの空洞があるだけだった。そこに、手練れそうなリザードマンが数体と、明らかに他のリザードマンとは違うオーラを放っているリザードマンがいた。その奥には、誘拐されたエルフの娘であろう人物が、檻に入れられていた。
「......お前は、エルフか? 」
一番手練れそうなリザードマンが話しかけてきた。声からしてメス、いや女性なのだろうか。
「違う。エルフの依頼で来たしがない冒険者だ。その娘を解放してもらおう」
岩穴の中は薄暗く、リザードマンたちの容姿まで細かくは見ることができなかった。が、リザードマンが歩み寄ってくる音で分かる。怪我をしているのだ。
「......他の者たちには手を出すな。私が相手になろう」
「そんな状態でか? 」
「......我々はもう、エルフたちの襲撃でボロボロなのだ。できればこのまま帰ってもらいたい」
「入り口のリザードマンがすぐに気絶したのはそのせいか」
「ああ......誰か心優しい者が、ポーションでも持ってきてくれればいいのだが、こんな悪党に情けをかけるものなどいないだろう」
ユラシアの近くまで歩いてくると、限界がきたのか、リザードマンは抜いた剣を地面に突き刺して膝をついた。
「森エルフめ......弓矢に吸力の魔法をかけていたのか......くそ......」
リザードマンが苦しそうにしていると、前でガラスがぶつかる音がした。見てみると、地面に大量のポーションが落ちているのだ。突然のことで、リザードマンはとても驚いていた。
「......こんな瀕死の状態のやつらを放っておけるほど、ベテランじゃないんでな」
しかし、リザードマンはそのポーションに手をつけなかった。むしろ、無理やり目を背けていた。
「どうしたんだ? 」
「......受け取れない......私はあなたのことを敵だと信じこんで、既に抜刀していた。しかし、こんな無様な私たちにポーションを与えてくれる方だとは、微塵も思っていなかった。だから、受け取れない......」
ユラシアはそんなリザードマンの目線に合わせ、しゃがんだ。そして、ポーションを握って差し出した。
「自分が死にたいんだったら、好きにすればいい。だが、仲間を道連れにするようなやつは、俺は絶対に許さない」
「......ッ!! 」
それを聞くと、リザードマンは急いでポーションを受け取り、仲間のところへ急いだ。
ユラシアは、檻をスキルで破壊し、娘を救出した。娘は疲れていたのか、眠っていた。
-数分後-
リザードマンたちとエルフを抱き抱えたユラシアは、岩穴の中で焚き火を囲んで、今後を話していた。
「俺はもう娘を救出できたからいい。問題はお前らだ。これからどうするんだ? 」
リザードマンたちは、一斉にあのリザードマンのほうに顔を向けた。
「......森エルフに謝りに行く。そして、あなたにも。いや、謝るというのは、少し変な話かもしれない」
「俺に? 」
「ああ、騙していてすまなかった」
するとリザードマンたちは顔を合わせて、変身を解除した。
「私たちは海エルフ。森エルフと対を成す、敵対勢力なんだ」
変身を解除すると、涼しそうな格好をした女エルフたちが姿を現した。
「......リザードマンに変身していたのは、素性をばらさないため。そして人質をとったのは、森エルフに敵対しているからってところか? 」
「ああ......我々としても、その子を殺すだけの度胸はなかった。それを知っていて、森エルフは積極的に襲撃してきたのだ」
リザードマン改め、海エルフは、一斉に顔をおろした。エルフに襲撃されたことがトラウマとなっているんだろう。
「......俺はこのまま森エルフの里に行く。お前もついてこい」
「ああ......この長い戦いを、もう終わらせたい」
22
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
Switch jobs ~転移先で自由気ままな転職生活~
天秤兎
ファンタジー
突然、何故か異世界でチート能力と不老不死を手に入れてしまったアラフォー38歳独身ライフ満喫中だったサラリーマン 主人公 神代 紫(かみしろ ゆかり)。
現実世界と同様、異世界でも仕事をしなければ生きて行けないのは変わりなく、突然身に付いた自分の能力や異世界文化に戸惑いながら自由きままに転職しながら生活する行き当たりばったりの異世界放浪記です。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道~悪いな勇者、この物語の主役は俺なんだ~
萩鵜アキ
ファンタジー
主人公はプロミネント・デスティニーという名作ゲームを完全攻略した途端に絶命。気がつくとゲームの中の悪役貴族エルヴィン・ファンケルベルクに転移していた。
エルヴィンは勇者を追い詰め、亡き者にしようと画策したことがバレ、処刑を命じられた。
享年16才。ゲームの中ではわりと序盤に死ぬ役割だ。
そんなエルヴィンに転生?
ふざけるな!
せっかく大好きなプロデニの世界に転移したんだから、寿命までこの世界を全力で楽しんでやる!
エルヴィンの中に転移したのは丁度初等部三年生の春のこと。今から処刑までは7年の猶予がある。
それまでに、ゲームの知識を駆使してデッドエンドを回避する!
こうして始まった処刑回避作戦であるが、エルヴィンの行動が静かな波紋となって広がっていく。
無自覚な行動により、いくつものフラグが立ったり折れたり、家臣の心を掌握したり過大な評価を受けたりしながら、ついに勇者と相まみえる。
果たしてエルヴィン・ファンケルベルクはバッドエンドを回避出来るのか……?
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる