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始まり
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「被告人、小神野 美千年を、死刑に処す」
裁判官から言い渡された言葉だ。
それなりのことをした。覚悟は元より決まっている。
死刑執行までの時間を、小神野は静かに過ごした。多くを求めず、慎ましく。
そしてついに当日。
小神野には家族はいない。それゆえ、面会には誰もこなかった。
部屋の菓子には手をつけず、そのまま向かった。
「今まで、ありがとうございました」
「ああ、罪を償ってこい」
目隠しがされ、首に輪っかが通るのが分かった。そしてついに、下の床が開き、執行された。
小神野はついに眠った。絶対に起きることのない眠りだ。深く深く、潜っていく。
やがて行き着いた場所は、黄泉の国ではなく、花畑でもなく、質素な部屋だった。
「......ここは」
辺りを見回していると、前から誰かが喋りかけてきた。
「あなたが小神野さんですね」
部屋の真ん中に置かれたテーブルを挟んで、向かいにいたのは、聖なるオーラを発している女性であった。
「俺は死んだんだろ? するとあんたは、女神様ってところか? 」
「察しがよろしくて助かります」
お掛けになって、と女神は、小神野の前に椅子を出現させた。これまた質素な椅子だ。小神野は遠慮なく座った。
「小神野さん。あなたが生前何をしたか、私には分かります」
女神が話し始める。すると小神野は、女神が言ったことに対して腹がたった。
「それは、俺がやつらを殺したことか? 死んでから今さら、そんなことを説教するために現れたのか? 」
小神野は少々キレ気味に言ったが、そこは女神。冷静に対処をした。
「いえ、そんなわけではありません。私は、あなたがなぜ殺しをしたのかも知っています。それを知っているからこそ、私はあなたを助けたい」
小神野は頭を冷やし、椅子に座り直した。
「ほう、助けるっていうのは? 」
「本来、人を殺したあなたは、地獄と呼ばれるところに行かなければなりません。しかし、あなたが住んでいた世界とは違う、異世界にてある目的を達成することにより罪が清められ、あなたを天国へと導くことができます。私はそれをらあなたにしてあげたいのです」
小神野は考えた。このまま地獄へ行くでもよいが、それでは格好がつかない。俺という人間の顔に泥を塗る行為だ。それならいっそ、行ってしまおうか。異世界へと。
「......異世界か、さぞかし楽しいんだろうな」
「無数の冒険と魔法、そして仲間たちが待っています」
「そういう人生も悪くないな......よし、転生させてもらおう」
「そのお言葉を待っていました」
女神は静かに椅子から立ち上がり、その部屋を一瞬にして、何もない暗闇とした。
「小神野 美千年。あなたを異世界へと転生させ、罪を清める助けをすることを私、全能の女神、ゲユイナルは誓います。どうか異世界でも、人を救ってください」
小神野は、体がだんだんと小さくなっていく感覚を覚えた。そして、みるみるうちに見えなくなり、異世界へと旅立った。
裁判官から言い渡された言葉だ。
それなりのことをした。覚悟は元より決まっている。
死刑執行までの時間を、小神野は静かに過ごした。多くを求めず、慎ましく。
そしてついに当日。
小神野には家族はいない。それゆえ、面会には誰もこなかった。
部屋の菓子には手をつけず、そのまま向かった。
「今まで、ありがとうございました」
「ああ、罪を償ってこい」
目隠しがされ、首に輪っかが通るのが分かった。そしてついに、下の床が開き、執行された。
小神野はついに眠った。絶対に起きることのない眠りだ。深く深く、潜っていく。
やがて行き着いた場所は、黄泉の国ではなく、花畑でもなく、質素な部屋だった。
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辺りを見回していると、前から誰かが喋りかけてきた。
「あなたが小神野さんですね」
部屋の真ん中に置かれたテーブルを挟んで、向かいにいたのは、聖なるオーラを発している女性であった。
「俺は死んだんだろ? するとあんたは、女神様ってところか? 」
「察しがよろしくて助かります」
お掛けになって、と女神は、小神野の前に椅子を出現させた。これまた質素な椅子だ。小神野は遠慮なく座った。
「小神野さん。あなたが生前何をしたか、私には分かります」
女神が話し始める。すると小神野は、女神が言ったことに対して腹がたった。
「それは、俺がやつらを殺したことか? 死んでから今さら、そんなことを説教するために現れたのか? 」
小神野は少々キレ気味に言ったが、そこは女神。冷静に対処をした。
「いえ、そんなわけではありません。私は、あなたがなぜ殺しをしたのかも知っています。それを知っているからこそ、私はあなたを助けたい」
小神野は頭を冷やし、椅子に座り直した。
「ほう、助けるっていうのは? 」
「本来、人を殺したあなたは、地獄と呼ばれるところに行かなければなりません。しかし、あなたが住んでいた世界とは違う、異世界にてある目的を達成することにより罪が清められ、あなたを天国へと導くことができます。私はそれをらあなたにしてあげたいのです」
小神野は考えた。このまま地獄へ行くでもよいが、それでは格好がつかない。俺という人間の顔に泥を塗る行為だ。それならいっそ、行ってしまおうか。異世界へと。
「......異世界か、さぞかし楽しいんだろうな」
「無数の冒険と魔法、そして仲間たちが待っています」
「そういう人生も悪くないな......よし、転生させてもらおう」
「そのお言葉を待っていました」
女神は静かに椅子から立ち上がり、その部屋を一瞬にして、何もない暗闇とした。
「小神野 美千年。あなたを異世界へと転生させ、罪を清める助けをすることを私、全能の女神、ゲユイナルは誓います。どうか異世界でも、人を救ってください」
小神野は、体がだんだんと小さくなっていく感覚を覚えた。そして、みるみるうちに見えなくなり、異世界へと旅立った。
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