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蛇足
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「兄上の命を守ってくれてありがとう、テレンス伯爵」
その日、妹の見舞いもかねて王宮を訪れたテレンス伯爵は、王宮の侍従に密かに東棟の奥庭へと通された。
王宮の東棟には側妃と第二王子が住んでいる。
「私の甥の事ですので」
奥庭で貴人にまみえたテレンス伯爵は、寸暇も躊躇わずに跪いた。
そして第二王子もそれを受け入れた。
「兄上が、自分から毒杯を呑む覚悟を決めなければ、兄上の事は助けられなかった」
第二王子がぽつりと一人ごちる。
第二王子は第一王子と違い側妃ゆずりの白銀の髪を持つ。まだ十五歳と幼いが、貴婦人の胸をざわつかせる端正な面持ちは、若い頃の王にそっくりだ。
だがその気性は、王や第一王子とはだいぶ違うようだ。
王宮では前から、優秀な王子である、と噂されている。
「それは陛下が説得なさったからでしょう」
「父上か」
第二王子が堅く拳を握る様が、跪いたテレンス伯爵の視界の隅に映った。
「父上ではダメだ。父上には、命を狙われる恐ろしさがまるで分かっていない。だから兄上を強く育てる事も、逃がす事もできず、中途半端にしてしまったんだ」
しばらく激情に耐えるように、乱れた呼気が聞こえたが、第二王子は激情を抑えた。
「兄上は、優しい人だった」
誰に言うでもない独白。幼いころ、母親の目を盗んで遊んでいた二人。
「伯爵の忠節は忘れない」
貴人が立ち去るのを、伯爵は跪いたまま見送った。
「これで良かったんですか?」
伯爵が王宮を出ると、糸目の従者が馬車の傍らに控えていた。
「なにがだ」
「実の甥の心を折る仕事を依頼されるとは思いませんでした」
テレンス伯爵は自嘲気味にふっと笑い、
「イソベルは、王子でいてもなんの役にも立たない。それが第二王子との縁を繋いでくれたのだと思えば安い投資だ」
馬車に乗り込んだ。
「天邪鬼ですね、あなた」
馬車は糸目の従者を置いて王宮を去っていった。
その日、妹の見舞いもかねて王宮を訪れたテレンス伯爵は、王宮の侍従に密かに東棟の奥庭へと通された。
王宮の東棟には側妃と第二王子が住んでいる。
「私の甥の事ですので」
奥庭で貴人にまみえたテレンス伯爵は、寸暇も躊躇わずに跪いた。
そして第二王子もそれを受け入れた。
「兄上が、自分から毒杯を呑む覚悟を決めなければ、兄上の事は助けられなかった」
第二王子がぽつりと一人ごちる。
第二王子は第一王子と違い側妃ゆずりの白銀の髪を持つ。まだ十五歳と幼いが、貴婦人の胸をざわつかせる端正な面持ちは、若い頃の王にそっくりだ。
だがその気性は、王や第一王子とはだいぶ違うようだ。
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「父上か」
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「父上ではダメだ。父上には、命を狙われる恐ろしさがまるで分かっていない。だから兄上を強く育てる事も、逃がす事もできず、中途半端にしてしまったんだ」
しばらく激情に耐えるように、乱れた呼気が聞こえたが、第二王子は激情を抑えた。
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テレンス伯爵は自嘲気味にふっと笑い、
「イソベルは、王子でいてもなんの役にも立たない。それが第二王子との縁を繋いでくれたのだと思えば安い投資だ」
馬車に乗り込んだ。
「天邪鬼ですね、あなた」
馬車は糸目の従者を置いて王宮を去っていった。
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第二王子が即位した時、側妃達からその復讐?をされないの? 殺されるまでなくとも、社会的になんらかの報復されそうな気が。
王が止めても、止め切らないだろうし、小さく色々ありそうで怖いですよ?
最後まで読んでくださり、ありがとうございます(^ ^)
なるほど!
公爵家かなり強いので、全然考えていませんでした(^_^;)
派閥争いその他いろいろあると思いますが、第二王子=側妃ではない事と、側妃が実権握ってやりたい事が、腐敗した貴族を薙ぎ払って国を建て直す事なので、公爵家とはあまり絡まないかと思います。
側妃の事情まで広げると、話が長くなってしまうので、割愛してしまいました。
申し訳ありませんm(__)m
まさかの血の繋がった身内が糸目さんのお頭でしたか!
しかも心折れって(笑)
まぁ身内から見ても役立たずな第一王子より第二王子の方が使えるぞってなったらそっち選ぶか。
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普通より早く譲位させそう。
あ、いや、王妃と第一王子が絡まなきゃ愚王とまではいかないのか。
最後マトモに説教してたもんな。
てことはやっぱ王子の理解力がなかった、が一番の問題だったか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます(^ ^)
はい。糸目は伯爵に依頼されて、第一王子を護衛しつつ、心を折るために暗躍していました。
第一王子が死んでしまうと、民衆とか騒がしくなってしまうので、第二王子の立太子にもケチがついてしまうので。
第二王子がまだ15歳なので、すぐではありませんが、国王と王妃も早目に引退する事になると思います。