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1 俺が開拓村の村長ですか
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「俺が、開拓村の村長ですか」
侯爵家の七男に生まれ、母は愛人、はなから期待されない生まれだった。
なにもなく生まれ、何もなく幼少期を過ごし、何もなく学院時代を過ごし、上位貴族との繋がりもなく、実家の領地で文官をして過ごした半生。
良い事もしていないが、悪い事もしていない。
なのに何故、魔物が闊歩する開拓村に追放されるんだ。
「なぜ俺なんです」
「お前は領官になってからなにをした。成功もしないが失敗もしない。これはすごい事だぞ。現実が見えているからバランスが取れている。いまのままでは、領官に埋もれて何もなく生きていくだろう」
父であり上司でもある侯爵は大きく息をついた。
「だが、それでいいのか。いいや、いけない」
え。全然いいですよ。むしろ最高です。何事もない平穏無事な人生を目指して生きてきたんですから。
「お前の力を使って、辺境を開拓し、いまこそお前の力を見せつけてやるんだ」
「嫌です。俺じゃ力不足です」
「『賢者』と『剣聖』のスキルがあって、なーにが力不足だ。いままで目をつぶってやったんだ。領地替えで、領地の半分が魔物が闊歩する不毛の大地になった侯爵領を盛り立てようとせんかい」
「領地替えって、単に領地が増えただけでしょう」
「まるまる辺境な。領地といっても町どころか村もない。魔物が野生している辺境地だ。加増で税金が増えるってのに、あんな広い土地使えねえままにしたら、増税するしかないだろ。お前は、増税で激怒した領民に反乱を起こされてもいいっていうのか。ああん?」
ああん?って、父よ。なんでそんなに口が悪いんだ。
社交界ではちょい悪親父として人気があるらしいが、侯爵としてそれでいいのか。
もっと品を大事にした方がいいんじゃないか。正妻は元王女だろ。嫌われるぞ。
「うるせぇな。俺はこれでいいんだよ。こういう俺がいい、ってあいつが言うんだからな」
ごちそうさまでした。
「とやかく言わず、剣聖のスキルで魔物を狩尽くして土地を平らにして、賢者のスキルで大穀倉地帯でも作ってこい。土地だけは余ってるんだ」
「無茶言わないでください。開拓できないほど不毛の大地だから、いままで余ってたんでしょう」
「そこをなんとかするのが賢者だろ」
「過労死します。ノーブラック。労働者の権利を行使します」
「お前は役員で労働者じゃねえよ」
「初めて聞きました」
「家族会議の面子だろ」
侯爵家って、家族経営でしたね。そうですか、そうですか。
「一人じゃ無理です」
「人が住めるようになったら、誰か派遣する。がんばれ」
いい笑顔で親指立てるな、ダメ親父。
はぁ、マジか。ほんとに一人で辺境の開拓村の村長になるのか。
ていうか、俺一人じゃ村にもならないよな。
せめて開拓団か村人ください。
「死んだらどうする。足手まとい連れて魔物と戦うのか。
そう後ろ向きになるな。前を向け。
お前が、さくっと魔物を根絶やしにすりゃあ、開拓団も村人も送ってやるよ」
無理ーーーーーーーーー。
侯爵家の七男に生まれ、母は愛人、はなから期待されない生まれだった。
なにもなく生まれ、何もなく幼少期を過ごし、何もなく学院時代を過ごし、上位貴族との繋がりもなく、実家の領地で文官をして過ごした半生。
良い事もしていないが、悪い事もしていない。
なのに何故、魔物が闊歩する開拓村に追放されるんだ。
「なぜ俺なんです」
「お前は領官になってからなにをした。成功もしないが失敗もしない。これはすごい事だぞ。現実が見えているからバランスが取れている。いまのままでは、領官に埋もれて何もなく生きていくだろう」
父であり上司でもある侯爵は大きく息をついた。
「だが、それでいいのか。いいや、いけない」
え。全然いいですよ。むしろ最高です。何事もない平穏無事な人生を目指して生きてきたんですから。
「お前の力を使って、辺境を開拓し、いまこそお前の力を見せつけてやるんだ」
「嫌です。俺じゃ力不足です」
「『賢者』と『剣聖』のスキルがあって、なーにが力不足だ。いままで目をつぶってやったんだ。領地替えで、領地の半分が魔物が闊歩する不毛の大地になった侯爵領を盛り立てようとせんかい」
「領地替えって、単に領地が増えただけでしょう」
「まるまる辺境な。領地といっても町どころか村もない。魔物が野生している辺境地だ。加増で税金が増えるってのに、あんな広い土地使えねえままにしたら、増税するしかないだろ。お前は、増税で激怒した領民に反乱を起こされてもいいっていうのか。ああん?」
ああん?って、父よ。なんでそんなに口が悪いんだ。
社交界ではちょい悪親父として人気があるらしいが、侯爵としてそれでいいのか。
もっと品を大事にした方がいいんじゃないか。正妻は元王女だろ。嫌われるぞ。
「うるせぇな。俺はこれでいいんだよ。こういう俺がいい、ってあいつが言うんだからな」
ごちそうさまでした。
「とやかく言わず、剣聖のスキルで魔物を狩尽くして土地を平らにして、賢者のスキルで大穀倉地帯でも作ってこい。土地だけは余ってるんだ」
「無茶言わないでください。開拓できないほど不毛の大地だから、いままで余ってたんでしょう」
「そこをなんとかするのが賢者だろ」
「過労死します。ノーブラック。労働者の権利を行使します」
「お前は役員で労働者じゃねえよ」
「初めて聞きました」
「家族会議の面子だろ」
侯爵家って、家族経営でしたね。そうですか、そうですか。
「一人じゃ無理です」
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いい笑顔で親指立てるな、ダメ親父。
はぁ、マジか。ほんとに一人で辺境の開拓村の村長になるのか。
ていうか、俺一人じゃ村にもならないよな。
せめて開拓団か村人ください。
「死んだらどうする。足手まとい連れて魔物と戦うのか。
そう後ろ向きになるな。前を向け。
お前が、さくっと魔物を根絶やしにすりゃあ、開拓団も村人も送ってやるよ」
無理ーーーーーーーーー。
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