正義を捕まえた正義

朝香 龍太郎

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ストーカーが恐れるもの

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 警察官は,金髪の女性を署に連れて行くパトカーの中で考えていた。
「あの,すいません。あなたともう1人の方は仲が良かったんですよね?」
「はい。同じ大学で,ほぼ毎日,顔を合わせています。」
「あなたは,彼女がストーカーにあっていたことを知っていたんですか?」
「いえ,今日初めて知りましたよ。」
「彼女に最近,変わった点はありましたか?」
「いえ,いつもどうりですよ」
警察官は不思議に思った。なぜ彼女は,友達であるその女性にそのことを相談しなかったのだろうか。心配させたくなかったから?それとも・・。

そうこう考えている間に,警察署に到着した。

警察官は,ストーカーの男の取り調べの担当になった。
男の様子を伺うと,まだ訳のわからないことを言っている。しかも大声で。
しばらくして,男と取調室で対面した。
警察官が部屋に入ってくるなり,男は席を離れ,警察官に詰め寄った。
「俺を今すぐここから出してくれ。でないとあいつが・・・。」
「いい加減にしなさい! あなたは,ストーカーの容疑でここにいます。あなたが言いたいことがあるのなら聞きます。まずは席につきなさい!」
警察官は一喝した。
男は落ち着きを取り戻し,そのまま席に着いた。
「ではまず,あなたはストーカーの容疑で・・」
「刑事さん!」
男の声が,警察官の発言を遮った。
「あいつは。あのセーターの女はここにいるのか?」
男は少し慌てた様子で警察官に尋ねた。
「いや,いない。彼女は用事があるそうで,後日改めてここに来て話を聞くつもりだ。でも,あんたはおそらく留置所行き。会えないよ?」
これを聞いた瞬間,男は真っ青になり,再び警察官に詰め寄った。
「なんだって・・・!おい,アイツの住所は聞いたのか?聞いているなら,すぐにでもアイツの家に行け!」
警察官は訳がわからず,男に聞いた。
「何故,彼女をそんなにも心配している。彼女の家に我々が向かったとして,何があるんだ?」
男は答えた。
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