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ガチ筆闘(ふぁいと)! カミュVSサンテグジュペリ 三 幽霊船の攻略法
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■ 三文作家
その頃、慈姑姫麾下のウルトラファイト部隊はビートラクティブの波に乗って世界線を遡っていた。ぼやけた視界が澄み渡ると青白い彗星が見えてきた。長い尾を突き抜けて、中心核がぐんぐんと迫ってくる。
慈姑姫は時間経過を調整して、古ぼけた集合住宅の前に着地した。無用な騒動を起こさないため、隊員たちをスローモーションで降ろす。彼女たちはたちまち周囲の木々に同化した。開け放しの窓から煌々と灯りが漏れている。
売れないラノベ作家は今夜もご機嫌ナナメのようだ。
コヨーテ・枕崎は一升瓶を枕にしてあられもない格好で泥酔していた。ここは飲んだくれの魔窟だ。育ちのいい慈姑姫の知らない世界だ。彼女は段ボール箱の上に積み重ねてある紙屑の所有者にたずねた。
「ここで何をしているの?」
売れない作家は空の瓶を並べながら答えた。
「飲んでいるんだ」
彼女は飲む理由を知りたくて尋ねた。
「ストレスの原因はなあに?」
「本が売れないからさ」
小説家は悲しそうにボツ原稿の山を指した。
「どんな本を書けば売れるのかしら?」
姫は三文作家の力になろうと売れ筋を尋ねた。
「怠け者が勇者に生まれ変わって何の苦労もせずに金と女を得る話さ」
コヨーテは文才のなさを嘆いた。
「努力すれば願いはかなうわ」
彼女は月並みなだが単純で力強い真理を説いた。
「報われないから、空しくって飲むんだ」
ダメな物書きは酒瓶を逆さに振ってしずくをなめた。
慈姑姫はさりげなくビートラクティブをつぎ足した。
「なんだ。酒を持っているのなら最初から出してくれ」
あわれな男はボトルごと一気飲みした。
「ダメだ。こりゃ」
高貴な姫君は呆れ果てて時間軸を後にした。ざっと時間線を追ってみたが枕崎がこの先、見込みは薄いだろう。
「こちら慈姑姫。特権者を轟沈せり」
一行がレッドマーズ号に戻るとリヴィエールが狂喜乱舞していた。モニターには黒歴史に苛まれるコヨーテがいた。
「うわあああああああん」
「しっかりしろ! コヨーテ!! 昔の話だろうが!」
カミュの励ましも響かないようだ。ヴァレンシア陣営は司令塔を潰された。
「やられた! 見事な戦闘世界文学だ! サピア=ウォーフの仮説に被爆した! 世界の多様性は音声や文字で記述できない」
「ペンの力は無力だとおっしゃるのですか?」
アンジェラはカミュの泣き言を聞きたくなかった。
「いいや! 小説はイメージ化された哲学だ。君も哲学者になりたいのなら小説を書きたまえ!」
うろたえる文豪のメッキがはがれたような気がして、アンジェラは静かにその場を去った。
■ バラ星雲 タッシーマ星間帝国辺境空域
ライブシップ艦隊と暗黒天体の激闘はこう着状態に陥った。両者の戦力は伯仲しており、消耗戦の様相を呈している。一隻の航空戦艦が全力を振り絞って暗黒天体を猛攻撃する。パッと爆炎が広がった。その後には何も残らない。
「このままじゃ、共倒れになる」
ハッシェは疲れた顔をして艦隊の指揮を遼子に委ねた。
「決め手に欠ける。何か無いか?」
「こっちが聞きたいわよ! 男なら喧嘩は得意でしょ。自分で考えなよ!」
気疲れしている上に、頼られたハッシェは当然のことながら声を荒げた。
「戦争は喧嘩じゃねぇ! ……まてよ?」
遼子は彼女の言葉にヒントを見出したようだ。
「喧嘩の方法か。なかなかいいこと言うじゃねえか。これで勝てるぞ」
シトラス・ジュノン号が戦線を離脱した。
「ちょっと! どこへ行くのよ?」
「木星だ。サジタリアはブラック・ポロサスを使って銀河にウルトラファイトの種を撒こうとしていたよな」
「まさか、貴女!?」
「その『まさか』さ!」
遼子は口ごもりながら具体策を述べた。
「貴女、女の子でしょう? デリカシーってものはないの?」
「やつらは鎖国した地球で暮らそうとしてるんだろう。だったら対抗策は一つだ」
ハッシェの非難を背にシトラスはワープデバイスを起動した。
「援軍が足りないからって、それはないんじゃない?」
ハッシェはげんなりしながら見送った。
■ 幽霊船スティックス
歴然とした戦闘世界文学の実力差を見せつけらて、カミュは狼狽した。しかし、不条理を超越した幽霊船スティックスが奮闘しているさまをみて、自信を取り戻した。
ウルトラファイトたちは幽霊船サンダーソニアを停船させたあと、褒め言葉を浴びせつつ、嬲り殺していた。
「真帆ちゃん、誘導弾の受け方、上手ね」
サンダーソニアにつぎつぎとミサイルが着弾し、右翼がぽっきりと折れる。
「ほんとぉ♡ 潔い負けっぷりにほれぼれしちゃうわぁ」
レーザーブレードを構えた部隊が防御盾を切り裂いていく。
「好き勝手するんじゃねえぇええええ!」
調子をこいていたウルトラファイトたちに鉄槌が下った。がら空きになった頭上にスティックスが急降下爆撃をお見舞いする。
劣化ウラン弾が植物兵器をたちまち焼き滅ぼす。
暗澹たる状況に希望の灯をともすように、スティックスはウルトラファイトを粉砕していく。それでも増援が続々と送り込まれてきた。
シアはふと疑問に思った。不毛な戦いは泥沼化する一方で、まったく見通しがたたない。終わりの見えない破壊と殺戮はまったく生産的ではない。それでも一筋の光明で希望の筋道をつけることは、戦争行為より遥かに有意義だと信じている。
「敵兵を一人殺すってことは、味方が一人生き延びるってこと。その人が新しい命を宿すなら、こんなに素敵なことはない」
シアはキラキラと目を輝かせながら、ウルトラファイトを撃ち殺していった。
「撃って撃って撃ちまくるの!」
オットー・メララ近接量子艦砲が女子高生をなぎ倒す。
「殺って殺って殺りまくるの!」
ミューニュートリノ・レーザー砲が遺体の山に火を放つ。
「こんにちわは♡」
ヘッドアップディスプレイの視界がスカートで塞がれた。
「ちょっ、誰なの?」
崇高な作業に水を差されてシアは憤慨した。
いつの間にか慈姑小町が後部座席に腰かけている。
「貴女ねぇ! 勝手にあがりこまないでよ」
シアは蟻の子一匹入る隙のない艦内を見回して訝しんだ。
「えへへ☆彡 ひ・み・つ」
「秘密ってねぇ! どっから入り込んだか言いなさいよッ」
馬鹿にされたシアは対物狙撃銃を小町に突きつけた。
「人間は未知のことに関して沈黙すべきである るーとびひ・びとげんしゅたいん」
慈姑姫の妹が戦闘世界文学を行使した。警戒センサーやレーダーが一斉にシャットダウンする。
「戦闘世界文学 論理哲学論考の第七章だとぉ?」
カミュはまたしても意表を突かれた。コヨーテ亡き今、スティックスが本丸である。その外堀がいとも簡単に埋められた。
「ねぇ。どうしてこんな戦いを続けているの?」
慈姑小町は任務の是非を問うた。以前のシア・フレイアスターなら信念を淀みなく答えるだろう。だが――。
「殺れと言われているから殺しているのよ」
シアは馬鹿正直に答えた。
「まずい。小町のペースに乗るな!」
カミュは量子回線で彼女に作戦中止を命じた。スティックスの砲撃がたちどころに止んだ。
「今、停戦したわね。どうしてなの?」
小町はわざと意地悪な質問をした。
カミュはスティックスに忍び寄る敵意を察知して迎撃を指示した。
ギャッと悲鳴が聞こえて、バラバラになった臓物がメインディスプレイをかすめた。
「言いつけに従っているだけよ」
シアは機械的に答える。彼女はとうとう指示待ち人間に成り果てた。
「貴女が何のために戦っているのかわからない」
小町が堕天使の愚かさを憐れんだ。
「うるさいわね。任務は任務よ!」
彼女は帰ってくれと言わんばかりに操作卓を叩いた。対人殺傷白燐弾がVLSから射出された。丘の向こうがパッと燃え上がる。
「こんな酷い闘いはないわ! 昔は血を血で洗う戦いの後につかの間の平和があった。あたしにはあたしの。自分なりの生活があった。今は戦闘ばっかり!」
シアが自分のおかれた環境に悲鳴を上げはじめた。
別の時間軸上では、似たような境遇の二人が所属する組織のブラックぶりに苦しんでいた。そのうちの一人は彼女の元雇用主である。
そして、両者の世界線はどこかしらで共鳴しつつあった。
その頃、慈姑姫麾下のウルトラファイト部隊はビートラクティブの波に乗って世界線を遡っていた。ぼやけた視界が澄み渡ると青白い彗星が見えてきた。長い尾を突き抜けて、中心核がぐんぐんと迫ってくる。
慈姑姫は時間経過を調整して、古ぼけた集合住宅の前に着地した。無用な騒動を起こさないため、隊員たちをスローモーションで降ろす。彼女たちはたちまち周囲の木々に同化した。開け放しの窓から煌々と灯りが漏れている。
売れないラノベ作家は今夜もご機嫌ナナメのようだ。
コヨーテ・枕崎は一升瓶を枕にしてあられもない格好で泥酔していた。ここは飲んだくれの魔窟だ。育ちのいい慈姑姫の知らない世界だ。彼女は段ボール箱の上に積み重ねてある紙屑の所有者にたずねた。
「ここで何をしているの?」
売れない作家は空の瓶を並べながら答えた。
「飲んでいるんだ」
彼女は飲む理由を知りたくて尋ねた。
「ストレスの原因はなあに?」
「本が売れないからさ」
小説家は悲しそうにボツ原稿の山を指した。
「どんな本を書けば売れるのかしら?」
姫は三文作家の力になろうと売れ筋を尋ねた。
「怠け者が勇者に生まれ変わって何の苦労もせずに金と女を得る話さ」
コヨーテは文才のなさを嘆いた。
「努力すれば願いはかなうわ」
彼女は月並みなだが単純で力強い真理を説いた。
「報われないから、空しくって飲むんだ」
ダメな物書きは酒瓶を逆さに振ってしずくをなめた。
慈姑姫はさりげなくビートラクティブをつぎ足した。
「なんだ。酒を持っているのなら最初から出してくれ」
あわれな男はボトルごと一気飲みした。
「ダメだ。こりゃ」
高貴な姫君は呆れ果てて時間軸を後にした。ざっと時間線を追ってみたが枕崎がこの先、見込みは薄いだろう。
「こちら慈姑姫。特権者を轟沈せり」
一行がレッドマーズ号に戻るとリヴィエールが狂喜乱舞していた。モニターには黒歴史に苛まれるコヨーテがいた。
「うわあああああああん」
「しっかりしろ! コヨーテ!! 昔の話だろうが!」
カミュの励ましも響かないようだ。ヴァレンシア陣営は司令塔を潰された。
「やられた! 見事な戦闘世界文学だ! サピア=ウォーフの仮説に被爆した! 世界の多様性は音声や文字で記述できない」
「ペンの力は無力だとおっしゃるのですか?」
アンジェラはカミュの泣き言を聞きたくなかった。
「いいや! 小説はイメージ化された哲学だ。君も哲学者になりたいのなら小説を書きたまえ!」
うろたえる文豪のメッキがはがれたような気がして、アンジェラは静かにその場を去った。
■ バラ星雲 タッシーマ星間帝国辺境空域
ライブシップ艦隊と暗黒天体の激闘はこう着状態に陥った。両者の戦力は伯仲しており、消耗戦の様相を呈している。一隻の航空戦艦が全力を振り絞って暗黒天体を猛攻撃する。パッと爆炎が広がった。その後には何も残らない。
「このままじゃ、共倒れになる」
ハッシェは疲れた顔をして艦隊の指揮を遼子に委ねた。
「決め手に欠ける。何か無いか?」
「こっちが聞きたいわよ! 男なら喧嘩は得意でしょ。自分で考えなよ!」
気疲れしている上に、頼られたハッシェは当然のことながら声を荒げた。
「戦争は喧嘩じゃねぇ! ……まてよ?」
遼子は彼女の言葉にヒントを見出したようだ。
「喧嘩の方法か。なかなかいいこと言うじゃねえか。これで勝てるぞ」
シトラス・ジュノン号が戦線を離脱した。
「ちょっと! どこへ行くのよ?」
「木星だ。サジタリアはブラック・ポロサスを使って銀河にウルトラファイトの種を撒こうとしていたよな」
「まさか、貴女!?」
「その『まさか』さ!」
遼子は口ごもりながら具体策を述べた。
「貴女、女の子でしょう? デリカシーってものはないの?」
「やつらは鎖国した地球で暮らそうとしてるんだろう。だったら対抗策は一つだ」
ハッシェの非難を背にシトラスはワープデバイスを起動した。
「援軍が足りないからって、それはないんじゃない?」
ハッシェはげんなりしながら見送った。
■ 幽霊船スティックス
歴然とした戦闘世界文学の実力差を見せつけらて、カミュは狼狽した。しかし、不条理を超越した幽霊船スティックスが奮闘しているさまをみて、自信を取り戻した。
ウルトラファイトたちは幽霊船サンダーソニアを停船させたあと、褒め言葉を浴びせつつ、嬲り殺していた。
「真帆ちゃん、誘導弾の受け方、上手ね」
サンダーソニアにつぎつぎとミサイルが着弾し、右翼がぽっきりと折れる。
「ほんとぉ♡ 潔い負けっぷりにほれぼれしちゃうわぁ」
レーザーブレードを構えた部隊が防御盾を切り裂いていく。
「好き勝手するんじゃねえぇええええ!」
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暗澹たる状況に希望の灯をともすように、スティックスはウルトラファイトを粉砕していく。それでも増援が続々と送り込まれてきた。
シアはふと疑問に思った。不毛な戦いは泥沼化する一方で、まったく見通しがたたない。終わりの見えない破壊と殺戮はまったく生産的ではない。それでも一筋の光明で希望の筋道をつけることは、戦争行為より遥かに有意義だと信じている。
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シアはキラキラと目を輝かせながら、ウルトラファイトを撃ち殺していった。
「撃って撃って撃ちまくるの!」
オットー・メララ近接量子艦砲が女子高生をなぎ倒す。
「殺って殺って殺りまくるの!」
ミューニュートリノ・レーザー砲が遺体の山に火を放つ。
「こんにちわは♡」
ヘッドアップディスプレイの視界がスカートで塞がれた。
「ちょっ、誰なの?」
崇高な作業に水を差されてシアは憤慨した。
いつの間にか慈姑小町が後部座席に腰かけている。
「貴女ねぇ! 勝手にあがりこまないでよ」
シアは蟻の子一匹入る隙のない艦内を見回して訝しんだ。
「えへへ☆彡 ひ・み・つ」
「秘密ってねぇ! どっから入り込んだか言いなさいよッ」
馬鹿にされたシアは対物狙撃銃を小町に突きつけた。
「人間は未知のことに関して沈黙すべきである るーとびひ・びとげんしゅたいん」
慈姑姫の妹が戦闘世界文学を行使した。警戒センサーやレーダーが一斉にシャットダウンする。
「戦闘世界文学 論理哲学論考の第七章だとぉ?」
カミュはまたしても意表を突かれた。コヨーテ亡き今、スティックスが本丸である。その外堀がいとも簡単に埋められた。
「ねぇ。どうしてこんな戦いを続けているの?」
慈姑小町は任務の是非を問うた。以前のシア・フレイアスターなら信念を淀みなく答えるだろう。だが――。
「殺れと言われているから殺しているのよ」
シアは馬鹿正直に答えた。
「まずい。小町のペースに乗るな!」
カミュは量子回線で彼女に作戦中止を命じた。スティックスの砲撃がたちどころに止んだ。
「今、停戦したわね。どうしてなの?」
小町はわざと意地悪な質問をした。
カミュはスティックスに忍び寄る敵意を察知して迎撃を指示した。
ギャッと悲鳴が聞こえて、バラバラになった臓物がメインディスプレイをかすめた。
「言いつけに従っているだけよ」
シアは機械的に答える。彼女はとうとう指示待ち人間に成り果てた。
「貴女が何のために戦っているのかわからない」
小町が堕天使の愚かさを憐れんだ。
「うるさいわね。任務は任務よ!」
彼女は帰ってくれと言わんばかりに操作卓を叩いた。対人殺傷白燐弾がVLSから射出された。丘の向こうがパッと燃え上がる。
「こんな酷い闘いはないわ! 昔は血を血で洗う戦いの後につかの間の平和があった。あたしにはあたしの。自分なりの生活があった。今は戦闘ばっかり!」
シアが自分のおかれた環境に悲鳴を上げはじめた。
別の時間軸上では、似たような境遇の二人が所属する組織のブラックぶりに苦しんでいた。そのうちの一人は彼女の元雇用主である。
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