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私からのプレゼントだ。大事にするんだぞ
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勢いにませてそう言って、彼女はポケットに手を突っ込む。取り出したのは自分の財布だった。その中から一万円札を取り出し、テーブルの上に置く。そして、それを手で握ると指を開き、
「ほら見ろ! 私は科学者だぞ!」
月詠は新庄の肩に手を置いた。そして、
「新庄、貴様、先ほどの私の言葉を疑っていたな」
月詠は新庄の頭に手を置く。そして、
「大丈夫だ新庄。貴様にもちゃんと科学的根拠がある。貴様のY染色体は腐っている。貴様は最初から女に生まれてきたのだ。証拠を見せてやる」
言って、彼女はポケットに手を突っ込んだ。取り出したのは自分の財布だった。その中から一万円札を取り出し、テーブルに置く。そして、それを手で握ると指を開く。月詠の手の中にあった一万円札は消え、代わりに、一枚の小さな紙片があった。そこには『お年玉』と書かれている。
新庄はそれを受け取った。そして、舞に見せる。
「ほほう、お年玉と来たか。お金玉ではないのか。やっぱり私は女なのかも知れんね」
月詠は新庄からそれを奪い取った。そして、開いた中身を見る。中に書かれていた内容を見た瞬間、彼女の目が光った。
○ 新庄は月詠から渡されたものを手に持ったまま動けなかった。
月詠は新庄からそれを取り返す。そして、中に書かれた内容を新庄に見せつける。
「これでも私は一応女だからな。こういうものを用意出来る。媚薬を食らえ!……というわけだ新庄、お前にこれをやろう。ありがたく受け取れよ」
月詠はそれを折りたたんで新庄に渡す。受け取って広げてみると、そこには細かい文字がびっしりと書かれていた。
月詠は新庄からそれを奪い取る。そして、開かれたそれを見て、ふっと笑う。
○ 月詠は新庄からそれを奪い取る。そして、中に書かれた見て( ノД`)シクシク…と泣く。そして、その紙片を畳むと新庄に渡した。
「これは私からのプレゼントだ。大事にするんだぞ」
月詠は新庄の頭を撫でた。そして、
「さぁ、そろそろ帰らないとまずいんじゃないか? 早く家に帰るといい。お父さんとお母さんが待っているだろうからな」
○ 新庄は紙片を開いた。中は異次元につながっていた。新庄は吸い込まれた。そして、見たことのない世界にたどり着いた。
そこは雪の世界だった。
空は暗く、月が一つだけ浮いている。白い大地はどこを見ても同じように見える。風は冷たかった。吐く息は白く、新庄は自分が今どこにいるのかわからなくなった。
ただ、足下の感触だけがここが自分の知っている世界だと告げていた。しかし、それでも新庄は不安になった。
自分は本当にここにいていいのだろうか? ここは自分の居場所なのだろうか? そんなことを思った時だった。
背後で声が聞こえた。振り向くとそこに人影がいた。黒いコートを着た女性だ。背は新庄より少し高い。顔はフードに隠れて見えず、ただ、その手に何かを持っていることはわかった。
女性は言った。
「君は誰?」
○新庄は女の声で答えた。「あたし新庄っていうんですけど、あなたこそどちらさまですか?」
すると、女性が一歩前に出た。
「新庄? ああ、君が新庄か」
女性の手が動いた。そして、彼女は新庄の目の前まで来て止まる。
新庄は彼女の持つものに気づいた。それはナイフだった。刃渡り二十センチほどの肉厚の刀身を持つものだ。
新庄は聞いた。「あの……なんでしょう?」女性が言う。「君の胸を切り開いてもいいかな」
新庄は答える。「えーと、ダメです」
○ 新庄は目の前に立つ女を見た。彼女は手に大きな刃物を持っていた。
新庄は彼女が持つそれに気づく。それが何であるか、理解する。
包丁だ。彼女は包丁を握っていた。
「ちょっと待って下さいよ! どうして僕を切る必要があるんですか!?僕は男ですよ!」
「……」
「ねぇ! どうして黙るんですか!」
「……」
「聞いてます!?」
「うるさい!」
「はいぃっ!!」
○ 月詠は新庄の前に立った。彼女の目には、新庄の胸に下げられたペンダントが映っている。
「それでは、改めて自己紹介しようじゃないか」
月詠は新庄に向かって手を広げる。そして、
「私は新庄と同じクラスの同級生でありクラスメイトでもある者だ。名前は月詠という。よろしくな」
○ 月詠は新庄に近づいた。そして、彼の頬に手を当てる。新庄は思わず体を震わせる。
月詠は自分の手を新庄の首へと回し、抱きしめるようにして新庄の顔を覗き込む。その距離はわずか十センチメートルほどしかない。お互いの鼻と鼻がくっつきそうだ。
月詠は新庄の顔を見つめながら言う。
「私は新庄が好きなんだ」
「へぇ、そうなん……」
「だが、新庄は私のことなんか好きじゃない」
「そ、そうなんだ」
「新庄は佐山先輩が好きで好きで仕方ないのだ」
「ち、違うよ! あれはそういうんじゃなくて、あの先輩は僕の女装趣味を知っていてそれをネタにしてからかっているだけで……」
「いいや新庄。私は知っているぞ。新庄が毎朝、先輩の部屋に忍び込んでベッドに潜り込んでいることも、夜、寮の部屋に戻ってからいつものように自分を慰めている事も、新庄が昨日、深夜にこっそりと部屋を抜け出して、男子トイレの個室に籠もって、下着を脱いでスカートをめくった後、パンツに顔を埋めて匂いを嗅いでいたことも、新庄が最近、体育の授業の時に、自分の着替えをロッカーに入れておいて、教室に誰もいない時に体操着を着て更衣室を抜け出て女子の校舎に行って、誰もいなくなった保健室で一人、机の上に寝転んで足を開脚させて、その状態で上履きを舐め回していたことも、新庄が……新庄が……」
○ 月詠は新庄を抱き寄せた。そして、耳元でささやくように言った。
「新庄が私に惚れていない理由を教えてやるよ」
月詠は新庄に言う。
「お前が好きなのは男装した女の子だからだよ」
○ 新庄は月詠の言葉に目を大きく見開いた。そして、月詠の目を見る。月詠の目はまっすぐに新庄に向けられていた。
月詠は続ける。
「ほら見ろ! 私は科学者だぞ!」
月詠は新庄の肩に手を置いた。そして、
「新庄、貴様、先ほどの私の言葉を疑っていたな」
月詠は新庄の頭に手を置く。そして、
「大丈夫だ新庄。貴様にもちゃんと科学的根拠がある。貴様のY染色体は腐っている。貴様は最初から女に生まれてきたのだ。証拠を見せてやる」
言って、彼女はポケットに手を突っ込んだ。取り出したのは自分の財布だった。その中から一万円札を取り出し、テーブルに置く。そして、それを手で握ると指を開く。月詠の手の中にあった一万円札は消え、代わりに、一枚の小さな紙片があった。そこには『お年玉』と書かれている。
新庄はそれを受け取った。そして、舞に見せる。
「ほほう、お年玉と来たか。お金玉ではないのか。やっぱり私は女なのかも知れんね」
月詠は新庄からそれを奪い取った。そして、開いた中身を見る。中に書かれていた内容を見た瞬間、彼女の目が光った。
○ 新庄は月詠から渡されたものを手に持ったまま動けなかった。
月詠は新庄からそれを取り返す。そして、中に書かれた内容を新庄に見せつける。
「これでも私は一応女だからな。こういうものを用意出来る。媚薬を食らえ!……というわけだ新庄、お前にこれをやろう。ありがたく受け取れよ」
月詠はそれを折りたたんで新庄に渡す。受け取って広げてみると、そこには細かい文字がびっしりと書かれていた。
月詠は新庄からそれを奪い取る。そして、開かれたそれを見て、ふっと笑う。
○ 月詠は新庄からそれを奪い取る。そして、中に書かれた見て( ノД`)シクシク…と泣く。そして、その紙片を畳むと新庄に渡した。
「これは私からのプレゼントだ。大事にするんだぞ」
月詠は新庄の頭を撫でた。そして、
「さぁ、そろそろ帰らないとまずいんじゃないか? 早く家に帰るといい。お父さんとお母さんが待っているだろうからな」
○ 新庄は紙片を開いた。中は異次元につながっていた。新庄は吸い込まれた。そして、見たことのない世界にたどり着いた。
そこは雪の世界だった。
空は暗く、月が一つだけ浮いている。白い大地はどこを見ても同じように見える。風は冷たかった。吐く息は白く、新庄は自分が今どこにいるのかわからなくなった。
ただ、足下の感触だけがここが自分の知っている世界だと告げていた。しかし、それでも新庄は不安になった。
自分は本当にここにいていいのだろうか? ここは自分の居場所なのだろうか? そんなことを思った時だった。
背後で声が聞こえた。振り向くとそこに人影がいた。黒いコートを着た女性だ。背は新庄より少し高い。顔はフードに隠れて見えず、ただ、その手に何かを持っていることはわかった。
女性は言った。
「君は誰?」
○新庄は女の声で答えた。「あたし新庄っていうんですけど、あなたこそどちらさまですか?」
すると、女性が一歩前に出た。
「新庄? ああ、君が新庄か」
女性の手が動いた。そして、彼女は新庄の目の前まで来て止まる。
新庄は彼女の持つものに気づいた。それはナイフだった。刃渡り二十センチほどの肉厚の刀身を持つものだ。
新庄は聞いた。「あの……なんでしょう?」女性が言う。「君の胸を切り開いてもいいかな」
新庄は答える。「えーと、ダメです」
○ 新庄は目の前に立つ女を見た。彼女は手に大きな刃物を持っていた。
新庄は彼女が持つそれに気づく。それが何であるか、理解する。
包丁だ。彼女は包丁を握っていた。
「ちょっと待って下さいよ! どうして僕を切る必要があるんですか!?僕は男ですよ!」
「……」
「ねぇ! どうして黙るんですか!」
「……」
「聞いてます!?」
「うるさい!」
「はいぃっ!!」
○ 月詠は新庄の前に立った。彼女の目には、新庄の胸に下げられたペンダントが映っている。
「それでは、改めて自己紹介しようじゃないか」
月詠は新庄に向かって手を広げる。そして、
「私は新庄と同じクラスの同級生でありクラスメイトでもある者だ。名前は月詠という。よろしくな」
○ 月詠は新庄に近づいた。そして、彼の頬に手を当てる。新庄は思わず体を震わせる。
月詠は自分の手を新庄の首へと回し、抱きしめるようにして新庄の顔を覗き込む。その距離はわずか十センチメートルほどしかない。お互いの鼻と鼻がくっつきそうだ。
月詠は新庄の顔を見つめながら言う。
「私は新庄が好きなんだ」
「へぇ、そうなん……」
「だが、新庄は私のことなんか好きじゃない」
「そ、そうなんだ」
「新庄は佐山先輩が好きで好きで仕方ないのだ」
「ち、違うよ! あれはそういうんじゃなくて、あの先輩は僕の女装趣味を知っていてそれをネタにしてからかっているだけで……」
「いいや新庄。私は知っているぞ。新庄が毎朝、先輩の部屋に忍び込んでベッドに潜り込んでいることも、夜、寮の部屋に戻ってからいつものように自分を慰めている事も、新庄が昨日、深夜にこっそりと部屋を抜け出して、男子トイレの個室に籠もって、下着を脱いでスカートをめくった後、パンツに顔を埋めて匂いを嗅いでいたことも、新庄が最近、体育の授業の時に、自分の着替えをロッカーに入れておいて、教室に誰もいない時に体操着を着て更衣室を抜け出て女子の校舎に行って、誰もいなくなった保健室で一人、机の上に寝転んで足を開脚させて、その状態で上履きを舐め回していたことも、新庄が……新庄が……」
○ 月詠は新庄を抱き寄せた。そして、耳元でささやくように言った。
「新庄が私に惚れていない理由を教えてやるよ」
月詠は新庄に言う。
「お前が好きなのは男装した女の子だからだよ」
○ 新庄は月詠の言葉に目を大きく見開いた。そして、月詠の目を見る。月詠の目はまっすぐに新庄に向けられていた。
月詠は続ける。
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