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社会病理の対流圏(ヘヴンズドア・インサフェイス・オンフットルース)⑬ ロングビーチの乱
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■ ニューローマ
夏の日差しが溢れる世界有数の首都、ニューローマ。神殿と見まごうような摩天楼は昼夜を問わず輝いているが、この日の午後は特に白熱していた。照り付ける陽光すらも陰る強大なエントロピー。
人類の爛熟をここぞとばかりに誇示せんと、大量の熱を輻射していた。水銀柱は摂氏40度を優に超え、街頭のアスファルトが溶けかかっている。
人口比率の九割を超える女性陣は涼やかなサマードレスすら脱ぎ捨てて、裸に近い服装で闊歩している。
ニューローマ市民の関心は熱波の原因ではなく、もはや元凶の行く末に移っている。この暑さは壁のせいだ。熱力学第二法則の壁、大西洋上に横たわるリンドバーグ・ウォールがメキシコ湾流を遮って、滞留させている、それだけでは解明できない何かがニューローマのみならず、北米全土を焙っている。人々は説明不足を大統領の失政で補おうとした。
「ローズバードが死にかかっているって本当なの?」
一週間前の朝、地下鉄の通勤客が漏らした何気ない一言がたちまち懐疑の連鎖を巻き起こした。フランチェスカ・エフゲニー・ローズバードの健康不安は何度もゴシップサイトを賑わせてきたが、そのたびに大統領自らが健在ぶりをアピールして沈静化してきた。
だが、今回ばかりはさすがに火消し役が機能しなかった。
ヴァイアーン幻想教団――ソースコード1986ではバイエルン州と呼ばれている地区に端を発した魔女カルト集団――が、病状を喧伝して回ったのだ。
元来、女性は心配性な生き物である。つい見落としがちな些末事から不安の兆候を感じ取じとる。
じっさい、ダイマー進化生命体/登録番号UC7301535とその系列が行った工作は目立たないものだった。ニューローマじゅうに掲げてある大統領の肖像画に泥を塗っただけだ。明るく柔和な表情でほほ笑むフランチェスカを顔料でほんの少しだけ汚した。
色素沈着を思わせるかのような黒ずみや、逆に黒みがかった部分を脱色させたり、至近距離でなければわからないような加工だ。マンハッタンの人込みで、そんなことをすればたちまち通報される。だが、鷹どもはお得意の二量体能力で太陽光を歪め、背景に擬態して看板に近づいた。はた目には知らない間にゴミがついたようようにしか見えない。
フィニストどもの付着物は、慢性ヒ素中毒の症状そのものだ。見る人が見れば一目瞭然。通りすがりの看護婦や女医が気づき、更衣室で囁きあった。やがて話題が共有される間に、単なる嫌がらせ行為ではなく、伝えたい真意があるとの解釈が広まった。憶測ではなく、医学的見地から、大統領が本当に毒されているのだとしたら、物言わぬ犯人の意図はどこにあるのか。
とある、大学の研究室。ちょうど大掛かりな実験が終わったところで研究員たちが一息ついている。珈琲を飲みながら誰もとなく大統領の噂を口にした。
「中世の宮廷じゃあるまいし、共和制の指導者にじわじわ毒を盛ってどうするんだよ。デカい醜聞一つで瞬殺できるだろ」
「確かにな。世襲の王族なら真綿で首を締める殺りかたもあるだろうが、政治家には任期がある」
若い学生が訝しんでいると教授らしき中年が嘴を挟んだ。
「逆に考えるんだ。砒素を蔓延させなければならない理由を」
「理由ですか。さぁ。砒素といえば、砒化ガリウムなんか有害ですよ。発がん物質だ。まさか、ガリウムと一緒に摂取させてるわけじゃないでしょうね。一国の指導者を発病させるなんて、ソースコードの諜報部員じゃあるまいし」
噂を話題にあげた学生は教授に笑いながら反論した。
するともう一人の学生が何か気づいたらしい。
「そういえば、就任後にガンを患って死んだ大統領は本初始祖世界に一人いましたっけね。ベネズエラ人だ。しかし、ローズバードは独裁者じゃありませんよ。確かに就任期間が長すぎた。それでも公平に再選されている」
「ちょっと、待ってくれ。さっきガリウムと言ったな。ガリウムは炎症を起こした腫瘍の検査に用いる。その際にいくらでも注入できる」
二人のやり取りを聞いていた教授がヒントを出した。
「そうだ。諸君。砒素化ガリウムは確かに人体に有害だ。しかし、電子回路にとっては有益な素子である。それこそが我々の研究課題じゃないかね」
彼の助言に刺激されたらしく、先ほどの男は背後の端末に向かった。猛烈な勢いでキーを叩いて、理論モデルを汲み上げる。
「GAGS――砒化ガリウムはウイグナー結晶を作り出します。周知のとおり、電子の結晶化です。通常、じゅうぶんな量子ゆらぎを持つ自由電子は束縛することができません。しかし、外部から必要十分条件を満たす確率変動――電子エネルギーでもカロリーでも構いません――を注いでやると、結晶化します」
ようやく答えを見つけた学生を教授が褒めた。
「そうだ! よく気が付いたな。教えただろう。ウィグナー結晶は量子細線を励起する。三次元方向に運動可能な電子を二次元平面に抑制するとどうなる?」
最初の男が雷撃を受けたように椅子から立ち上がった。
「量子力ゆらぎが顕著になって――」
「ただでさえ、大分裂後の諸世界は不安定になっているんだ。人間が観測効果を操れる世界じたいが尋常でないんだ。地上最大の超大国。民主主義のゆらぎが生み出した頂点に立つ女に確率変動を与える。いや、彼女じしんが膨大な確率振幅源となったら、どうなるとおもう?」
教授はみずからの仮説から導かれた結果に蒼白した。
「わかりません。わかりませんが、少なくとも、民主主義の金字塔が確率変動のあおりで分解するでしょう」
キーボードに向かった男は冷や汗をかきながら、懸命に構文を入力した。西海岸産軍学共同体のスーパーコンピューターOTHELOが瞬時にシミュレーションを完了した。
「ロースバード大統領の全身に広がった癌細胞はGAGSの助けを借りてウィグナー結晶を生成します。いや、もっと恐ろしい結果が待っています」
余りの恐怖にもったいぶった言い方をする学生。彼の血圧は200をゆうに超えている。教授をおもんばかっているのだ。
「いいたまえ。私も同じ結論に達している」
「いいですか――ウィグナー結晶の塊。全身が癌化された彼女自身、ローズバード自身がリンド……」
彼はその答えを最後まで告げることはなかった。
教授の耳にも届かなかった。
なぜなら、その時刻にカルフォレックスと、そこに通じていたすべての端末が素粒子に帰したからだ。
■ ネブラスカ州ノースブラッド ベイリー操車場
連合軍専用急行ALX427が北米最大の列車基地を後にした。
「量子テレポーテーション爆発ですって?!」
邨埜純色はベイリー連合軍列車総合運転本部から緊急要請を受けた。カリフォルニア州サンノゼを地図上から消し去った巨大爆発はカルフォレックスが爆心地だというのだ。そこには邨埜純色の肝いりで建設中のQCD並列処理量子電算システムがある。そこから北米各地の端末を、量子もつれ(エンタングル)によって運用している。
「ええ。『組み合わせ爆発』が起きたそうです。門外漢のあたしにゃサッパリですが」
ジョリー列車長が首をひねりながら状況を伝えた。
「組合せ爆発というのは、文字通り、チェスの先手を読むとか、そういう途方もない組み合わせが爆発的に増えることよ。計算機は情報のエントロピーを熱で排出するから、冷却が追い付かないと本当にぶっ飛ぶわよ」
「でも、先生のクォニアックはヤワなスペックじゃないでしょう」と、アネット。
「そうよ。並列処理しきれないほどの過負荷がどこから来たのかしら」
「どうでもいい話ですが、運航順序がめちゃくちゃですよ。クォニアック運航管理センターが本番稼働したばかりだってのに」
アネットはぶうぶう言いながら線区のダイヤを確認している。
■ カルフォルニア州ロングビーチ
嚮導駆逐艦バーニジアはロングビーチを母港とする駆逐艦である。駆逐艦隊を引きつれて空母を護衛する。その動力は禁忌技術の粋を集めた熱核反応炉であり、ワールドノイズをまき散らす危険極まりないものだ。アメリカ皇帝ノートン七世は、これをみごとに調教せしめた。船体そのものはもちろん、コード2027世界の産物ではない。異世界掘削機を用いて本初始祖世界から鹵獲したものだ。
廃炉処理がやっかいなため、ブレマートンの海軍工廠に長期保存されていたベインブリッジも随伴している。
連合国太平洋艦隊が異常を察知し、所属する航空戦力が直ちに駆けつけた。アウトレンジから超音速空対艦ミサイルが発射された。敵は飽和攻撃で沈める気だ。
いくつものミサイルが同時に複合的な軌道を描いて襲い掛かる。フェーズドアレイレーダーは水も漏らさぬ体制で敵弾を追いかける。
「フン。こちとらイージスシステム改良済みよ。SeaRAM対艦ミサイル防御システムで殺ちゃえ!」
彼女は余裕でRAMブロック2超音速ミサイルの発射を命じた。
もくろみ通り、ミサイルが四散する。だが、敵はなおもしつこく投降をもとめてきた。弾薬庫が尽きるまで抵抗する気か、と脅す。
「ローズバード大統領はすでに掌握済みよ。勝ち目があると思うの?」
アメリカ皇帝率いる反乱軍は鬼の金棒を獲ている。艦隊を先導するマーサズ・ビニャード。その船内には彼女が喉から手が出るほどほしがった特殊能力者がひしめている。
「本当に連れてきて下さるとは!」
ヴァイアーン幻想教団の司祭たちは驚きを隠せない様子。
「朝飯前だよ。というか、枢軸が墓穴を掘った。ウランスハイでハイパー核から人造人間を製造する方法を披露してくれたのだからな。とんだ盟(鳴)友だよ」
アメリカ皇帝を僭称する女は気でも違ったように哄笑した。
夏の日差しが溢れる世界有数の首都、ニューローマ。神殿と見まごうような摩天楼は昼夜を問わず輝いているが、この日の午後は特に白熱していた。照り付ける陽光すらも陰る強大なエントロピー。
人類の爛熟をここぞとばかりに誇示せんと、大量の熱を輻射していた。水銀柱は摂氏40度を優に超え、街頭のアスファルトが溶けかかっている。
人口比率の九割を超える女性陣は涼やかなサマードレスすら脱ぎ捨てて、裸に近い服装で闊歩している。
ニューローマ市民の関心は熱波の原因ではなく、もはや元凶の行く末に移っている。この暑さは壁のせいだ。熱力学第二法則の壁、大西洋上に横たわるリンドバーグ・ウォールがメキシコ湾流を遮って、滞留させている、それだけでは解明できない何かがニューローマのみならず、北米全土を焙っている。人々は説明不足を大統領の失政で補おうとした。
「ローズバードが死にかかっているって本当なの?」
一週間前の朝、地下鉄の通勤客が漏らした何気ない一言がたちまち懐疑の連鎖を巻き起こした。フランチェスカ・エフゲニー・ローズバードの健康不安は何度もゴシップサイトを賑わせてきたが、そのたびに大統領自らが健在ぶりをアピールして沈静化してきた。
だが、今回ばかりはさすがに火消し役が機能しなかった。
ヴァイアーン幻想教団――ソースコード1986ではバイエルン州と呼ばれている地区に端を発した魔女カルト集団――が、病状を喧伝して回ったのだ。
元来、女性は心配性な生き物である。つい見落としがちな些末事から不安の兆候を感じ取じとる。
じっさい、ダイマー進化生命体/登録番号UC7301535とその系列が行った工作は目立たないものだった。ニューローマじゅうに掲げてある大統領の肖像画に泥を塗っただけだ。明るく柔和な表情でほほ笑むフランチェスカを顔料でほんの少しだけ汚した。
色素沈着を思わせるかのような黒ずみや、逆に黒みがかった部分を脱色させたり、至近距離でなければわからないような加工だ。マンハッタンの人込みで、そんなことをすればたちまち通報される。だが、鷹どもはお得意の二量体能力で太陽光を歪め、背景に擬態して看板に近づいた。はた目には知らない間にゴミがついたようようにしか見えない。
フィニストどもの付着物は、慢性ヒ素中毒の症状そのものだ。見る人が見れば一目瞭然。通りすがりの看護婦や女医が気づき、更衣室で囁きあった。やがて話題が共有される間に、単なる嫌がらせ行為ではなく、伝えたい真意があるとの解釈が広まった。憶測ではなく、医学的見地から、大統領が本当に毒されているのだとしたら、物言わぬ犯人の意図はどこにあるのか。
とある、大学の研究室。ちょうど大掛かりな実験が終わったところで研究員たちが一息ついている。珈琲を飲みながら誰もとなく大統領の噂を口にした。
「中世の宮廷じゃあるまいし、共和制の指導者にじわじわ毒を盛ってどうするんだよ。デカい醜聞一つで瞬殺できるだろ」
「確かにな。世襲の王族なら真綿で首を締める殺りかたもあるだろうが、政治家には任期がある」
若い学生が訝しんでいると教授らしき中年が嘴を挟んだ。
「逆に考えるんだ。砒素を蔓延させなければならない理由を」
「理由ですか。さぁ。砒素といえば、砒化ガリウムなんか有害ですよ。発がん物質だ。まさか、ガリウムと一緒に摂取させてるわけじゃないでしょうね。一国の指導者を発病させるなんて、ソースコードの諜報部員じゃあるまいし」
噂を話題にあげた学生は教授に笑いながら反論した。
するともう一人の学生が何か気づいたらしい。
「そういえば、就任後にガンを患って死んだ大統領は本初始祖世界に一人いましたっけね。ベネズエラ人だ。しかし、ローズバードは独裁者じゃありませんよ。確かに就任期間が長すぎた。それでも公平に再選されている」
「ちょっと、待ってくれ。さっきガリウムと言ったな。ガリウムは炎症を起こした腫瘍の検査に用いる。その際にいくらでも注入できる」
二人のやり取りを聞いていた教授がヒントを出した。
「そうだ。諸君。砒素化ガリウムは確かに人体に有害だ。しかし、電子回路にとっては有益な素子である。それこそが我々の研究課題じゃないかね」
彼の助言に刺激されたらしく、先ほどの男は背後の端末に向かった。猛烈な勢いでキーを叩いて、理論モデルを汲み上げる。
「GAGS――砒化ガリウムはウイグナー結晶を作り出します。周知のとおり、電子の結晶化です。通常、じゅうぶんな量子ゆらぎを持つ自由電子は束縛することができません。しかし、外部から必要十分条件を満たす確率変動――電子エネルギーでもカロリーでも構いません――を注いでやると、結晶化します」
ようやく答えを見つけた学生を教授が褒めた。
「そうだ! よく気が付いたな。教えただろう。ウィグナー結晶は量子細線を励起する。三次元方向に運動可能な電子を二次元平面に抑制するとどうなる?」
最初の男が雷撃を受けたように椅子から立ち上がった。
「量子力ゆらぎが顕著になって――」
「ただでさえ、大分裂後の諸世界は不安定になっているんだ。人間が観測効果を操れる世界じたいが尋常でないんだ。地上最大の超大国。民主主義のゆらぎが生み出した頂点に立つ女に確率変動を与える。いや、彼女じしんが膨大な確率振幅源となったら、どうなるとおもう?」
教授はみずからの仮説から導かれた結果に蒼白した。
「わかりません。わかりませんが、少なくとも、民主主義の金字塔が確率変動のあおりで分解するでしょう」
キーボードに向かった男は冷や汗をかきながら、懸命に構文を入力した。西海岸産軍学共同体のスーパーコンピューターOTHELOが瞬時にシミュレーションを完了した。
「ロースバード大統領の全身に広がった癌細胞はGAGSの助けを借りてウィグナー結晶を生成します。いや、もっと恐ろしい結果が待っています」
余りの恐怖にもったいぶった言い方をする学生。彼の血圧は200をゆうに超えている。教授をおもんばかっているのだ。
「いいたまえ。私も同じ結論に達している」
「いいですか――ウィグナー結晶の塊。全身が癌化された彼女自身、ローズバード自身がリンド……」
彼はその答えを最後まで告げることはなかった。
教授の耳にも届かなかった。
なぜなら、その時刻にカルフォレックスと、そこに通じていたすべての端末が素粒子に帰したからだ。
■ ネブラスカ州ノースブラッド ベイリー操車場
連合軍専用急行ALX427が北米最大の列車基地を後にした。
「量子テレポーテーション爆発ですって?!」
邨埜純色はベイリー連合軍列車総合運転本部から緊急要請を受けた。カリフォルニア州サンノゼを地図上から消し去った巨大爆発はカルフォレックスが爆心地だというのだ。そこには邨埜純色の肝いりで建設中のQCD並列処理量子電算システムがある。そこから北米各地の端末を、量子もつれ(エンタングル)によって運用している。
「ええ。『組み合わせ爆発』が起きたそうです。門外漢のあたしにゃサッパリですが」
ジョリー列車長が首をひねりながら状況を伝えた。
「組合せ爆発というのは、文字通り、チェスの先手を読むとか、そういう途方もない組み合わせが爆発的に増えることよ。計算機は情報のエントロピーを熱で排出するから、冷却が追い付かないと本当にぶっ飛ぶわよ」
「でも、先生のクォニアックはヤワなスペックじゃないでしょう」と、アネット。
「そうよ。並列処理しきれないほどの過負荷がどこから来たのかしら」
「どうでもいい話ですが、運航順序がめちゃくちゃですよ。クォニアック運航管理センターが本番稼働したばかりだってのに」
アネットはぶうぶう言いながら線区のダイヤを確認している。
■ カルフォルニア州ロングビーチ
嚮導駆逐艦バーニジアはロングビーチを母港とする駆逐艦である。駆逐艦隊を引きつれて空母を護衛する。その動力は禁忌技術の粋を集めた熱核反応炉であり、ワールドノイズをまき散らす危険極まりないものだ。アメリカ皇帝ノートン七世は、これをみごとに調教せしめた。船体そのものはもちろん、コード2027世界の産物ではない。異世界掘削機を用いて本初始祖世界から鹵獲したものだ。
廃炉処理がやっかいなため、ブレマートンの海軍工廠に長期保存されていたベインブリッジも随伴している。
連合国太平洋艦隊が異常を察知し、所属する航空戦力が直ちに駆けつけた。アウトレンジから超音速空対艦ミサイルが発射された。敵は飽和攻撃で沈める気だ。
いくつものミサイルが同時に複合的な軌道を描いて襲い掛かる。フェーズドアレイレーダーは水も漏らさぬ体制で敵弾を追いかける。
「フン。こちとらイージスシステム改良済みよ。SeaRAM対艦ミサイル防御システムで殺ちゃえ!」
彼女は余裕でRAMブロック2超音速ミサイルの発射を命じた。
もくろみ通り、ミサイルが四散する。だが、敵はなおもしつこく投降をもとめてきた。弾薬庫が尽きるまで抵抗する気か、と脅す。
「ローズバード大統領はすでに掌握済みよ。勝ち目があると思うの?」
アメリカ皇帝率いる反乱軍は鬼の金棒を獲ている。艦隊を先導するマーサズ・ビニャード。その船内には彼女が喉から手が出るほどほしがった特殊能力者がひしめている。
「本当に連れてきて下さるとは!」
ヴァイアーン幻想教団の司祭たちは驚きを隠せない様子。
「朝飯前だよ。というか、枢軸が墓穴を掘った。ウランスハイでハイパー核から人造人間を製造する方法を披露してくれたのだからな。とんだ盟(鳴)友だよ」
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