月光館殺人事件

海島みつき

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足取りは真っ直ぐと

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風景画をテーマとした油絵が数十点展示されていた。

ビルの一階で20畳あまりの簡素なブースである。真っ白な壁紙に飾られた色取り取りの風景画を富裕層の金持ち達が評価をして楽しんでいる。

しかし…そんな群衆の中、一枚の絵の前に一人の男がポツリと立ち尽くしていた。

古臭い革ジャンとデニムパンツを着ているせいか他の金持ちと比べ一際目立っている。

彼は他の絵には眼もくれず一枚の風景画睨みつけている。

彼は今、人である常識とは何か…人では無くなる者とは何かと頭の中で苦闘していたのだ。

長い間立ち尽くし長い間その絵を見て考えた。

そして男は一つの考えがまとまったのだ。それらの考えが歪んでいようが、例え自分がこれから起こす事が、人ならざるものであろうが、その計画を完全に執行するのだと胸に誓ったのだ。

…さあ、始めるか…

男の眼光が鈍く赤く充血をした。

…容赦なき、もっとも恐ろしい殺人を…

男は先程まで見せていた恐ろしい顔を笑顔に変えると手を少し上げて言った。

…すみません、この絵を下さい。

中年の女性販売員が満遍の笑みを浮かべ歩み寄る。

…ありがとう御座います。こちらの絵に描かれている山はですね…

男は作り笑いをしてから販売員の言葉にかぶせて話す。

…ああ…この山…神無月山ですよね…。

…あら、よくご存知で!

…ええ…よく知ってますよ…

…その山の全てをね…




令和元年2月27日、私は眼下に広がる雲海を見下ろしていた。頭上の空は突き抜けた青空で小さな雲たちが高度を競う様に流れていく。

ふと視線を正面に向けると一際目立つ山がある。

…神無月山(かんなづきやま)

何故、神無月と名をつけられたのだろうか…山の神々と言う言葉の通り山には神がいるはずではないのだろうか…。
つまり、その名だけで判断するに山の神が他の山に出向いていたり不在という意味や…そもそも何かしらの影響で神が宿らない山とも考えられる。

私は顎に人差し指をつけると神無月山を見つめて考え込んだ。

そうか、この見た目…神無月山だけ岩肌がむき出しで木々がほとんど生えていない…まるで…そう。

…死の山ね…。

そんな推理をしている自分にハッと気がつくと私はため息をついた。

…あぁ、また悪い癖だ…

その悪い癖というのは、その推理という言葉にあった。

私は昔から推理小説が好きで手当たり次第のミステリー小説を読み漁っていた。

また 好きな作家が全て男性であり、特に主人公が頭の切れる男性である事が多い事から、どうしても物事を考えこむと頭の切れる男性役の様な物言いになってしまう。

…いえ。

と いっても…頭の中だけの話し方だしどうという事はないワ。

顎から指を耳上にはしらせポニーテールのピンを押して整えた。

彼女はアシスタントを志した時からたった一度もポニーテールヘアーをやめたことはなかった本当なら長く美しい黒髪でどこか人並みはずれた美しさをもっているのだが女性らしさ、つまり化粧などにはまったく興味がなかった。

その理由は彼女が子供の頃からイジメをうけていたからだ。

化粧しなくとも美しいだけなら友達も多かったのだろうが、貧乏な家庭で育ち、義母から虐待を受け、引きこもりの淋しさを小説という別世界に現実逃避していた頃の彼女は誰と接する事も嫌っていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~


神無月山の向こう側から雲海が山頂を越えてこちらに流れ込んでくる。

それは壮大な景色で人間の様な自然と比べれば粒みたいな命など時に荒げる山の気まぐれ一つで消えて無くなってしまう。神無月山から滝の様に流れ落ちる雲を見つめ美しさの裏側にある恐ろしさを実感させられる。

…死の山は美しい…か。

私はそんな いつ終わってしまうか分からない貴重な光景を一人崖の頂きに立ち眺めていた。

時折吹き付ける冷たい風が瞳を冷やし涙を呼び覚ますのか、それとも壮大な光景が感動という涙を生み出すのか、私には分からなかった。

…そう思い左目からつらりと流れた涙をぬぐう。

とても…何故か…言い知れぬ悲しい気持ちになってくる。

私が今いるこの場所はどの地図にも記されず具体的な名前なえもない場所で、ここに来る方法といえば、獣道を通り自力で難所を超えてくる他無いだろう。

もちろん道路も無ければ歩道も無く先駆者が残したロープロードすら無い。

つまり登山やレジャー等で人気のある山では無く、どちらかと言えば観光力の無い、それはつまり認識されない無名山だ。人気の名のある山々に囲まれている人気の無い小さなこの山はまるで隠されている様な珍しい山ともいえる。

登山前に立ち寄った あの葵村で聞いたこの山の名前、古くから言い伝えられてきた固有の名は…たしか、朧山… (おぼろざん)


周囲の山脈は朧山よりも標高が高く、一つも二つも小さなこの朧山は雲海が流れ込むとクレーターに出来た湖の様で、その名前の通り天に浮く朧月の様に雲海に霞んで消えてしまう。

確かに…おぼろざんかもね…

目的地まで到着した安堵からか私は愚痴をこぼしていた。

…あぁもう疲れた…もう歩けないよ…

そんな愚痴を言い終わると乾いた音が耳に入る。

…カラン…コロン…

標高1439mと記された木板製の白い看板が風に揺らされてカランコロンと音を立てている。

…人が来た事がないって訳じゃないんだ…

ゴツゴツとした岩肌の地面に新緑の緑が目に入った。ここから1キロほど下にはこんな春らしい草原が広がっていたが山頂付近になるにつれて気温が関係してか草花の背は低い。

春近し芽をだしたばかりの草っ原に腰を下ろすと私はダウンコートのファスナーを首上まで上げてフードをかぶりこんだ。

…思っていたよりも寒いね。

そんな言葉を私に飛ばした男が私の隣に座りこむ。

彼は写真家の今川健一だ。

ステンレス製のカップに湯気の湧いたコーヒーを両手に持って笑顔でこちらを見ている。

私にカップの一つを手渡すと今川は手を伸ばし私の髪から何かをとりニコリと笑った。

…ほら落ち葉だらけだよ綺麗な髪もそれじゃもったいないよ。

…ありがとうございます。

…風がなければ暖かい日なんでしょうけど…ちょっと今日は…寒いですね

今川は頷いて口元だけ笑顔を見せたがそれについての返事はなかった。黒髪ゆるめのパーマで口髭が特徴的ないつも優しい人だ。

下界は暖かい春って感じでも、やっぱここまで登ってくると寒いな…正直言って想像以上だよ。でも…

そう言うと背中に背負った大きなバックを下ろしカメラスタンドを取り出した。
今川は準備を進めながら話す

この幻想的な風景を撮影できるってのは本当に苦労した甲斐があった…なと。

カチっと音がなりカメラをセットするとアシスタントとして同行した私にレンズを向ける。

え…あの…今川さん私じゃなくて雲海を撮らないと…

そうそう、早く雲海を撮らないといけないんだがな~。なーんか足りないんだよねー…三月凛さん…なーんか…

今川は冗談ぽく笑いながら私が写っているであろうレンズを覗き込んでいる。

へ?…

私は意味わからずポカンと今川を見つめた。すると今川は右手を伸ばし

バッテリー、バッテリーを下さいな!

あ!すみません!バッテリーバッテリー…

今川の溢れた笑い声がする

こら凛!貴女の背中のバッグはなんなんですか?

バッテリーやらなんやらを背負った事をすっかり忘れていたこの私は新米アシスタントだ。

2年前、東京の雑居ビルの4階に小さな事務所をかまえている今川スタジオ、つまり今川健一に弟子入りしたのだが、いつもミスばかりで社長である今川にいつも迷惑をかけてしまっている。

私ごとではあるが…真のおっちょこちょいだ…。

ああぁ…すみません!今出します!

私がバッテリーを手渡すと今川は、ニコリと笑顔になりバッテリーをセットした。

その撮影が始まって2時間ほど経った頃だ、今川のシャッター音がピタリと止まる。それは休憩のサインかバッテリー切れのサインだ。たまにトイレもあるが基本撮影中の彼は一言も話さない。バッテリー切れなら私に手を出して要求、休憩なら一呼吸後にいっぷくしよ、と決まってセブンスターを口に咥えながら言う。

アシスタントとして咄嗟にバックに手を突っ込みながらバッテリーをまさぐるが
なかなか見つからない。

あれ…たしか…このあたりに…

だらしのない性格をまた怒られると思い焦った顔で今川に視線を向けると今川はレンズを覗き込みながら難しい表情に変わった。

…あの、今川さん?…

今川はレンズを覗き込むのをスッとやめると空を見上げた。

…雪?

今川は手を伸ばし何かを掴むと、その手を開き私に見せた。

一瞬、雪の結晶が見えた様にも思えたがソレは水滴となって今川の手のひらに残った。

…雪…

私も空を見つめるとパラパラと雪が舞っていた。それはとても綺麗な光景だった。風に巻かれながら舞い散る粉雪は山の頂きからふわりふわりと落ちてきた。

私は笑みを浮かべて今川を見たが…

今川の表情はかたく、暗く、辺りを見回している。今川は急に立ち上がると背後に振り返って朧山の山頂を見上げた。

どれくらいだろう、1秒、3秒、とにかく一瞬の沈黙を挟んでから今川は声を強め私に言った。

下山だ!!凛すぐに下山するぞ!荷物を…

私は今川の強い口調に驚いて、その山頂に視線を向ける。

山頂には真っ黒な雲が溢れていた。それはダムの決壊水位を超えた水の様にも見える。何故そう感じたのか、それは雲に重みを感じたからとしか言えない。水を水分を大量にたくわえた重たそうな雲だ。太陽の光をその厚い雲で遮り山頂は完全なる明暗となって真っ暗に見える。

…どうして…

凛はその圧倒的な大自然の脅威に強い恐怖を感じていた。以前にも何処かで経験した事のある膝の力が抜ける感覚があった。

私は数歩後退りするとよろけてしゃがみこむ。

凛、山の天気は変わりやすいんだ!天気予報や季節で軽視してはいけない。さ、行くよ!

私達は下山を始めた。黒い雪雲に追われながら…
ゴツゴツした岩が足元を邪魔して早く進めない。雪はその強さをさらに高め、あっという間に地面は白い絨毯になっていった。

白く小さな雪は次第に大粒の牡丹雪となり地面をぼてぼてとあっという間に白く塗りつぶしていく。

身支度をしていると今川が声をかけた。

凛、バッグを僕に渡して…

えっ?

後ろを見ると手を伸ばす今川がいた。

その理由はすでに分かっていた…

私…遅いんだ…。

ふとその優しさが私にとって悲しく思えた。

あの…本当にすみません!!

今川は首を傾げて言う。

何が?

今川は笑顔になってあっけらかんとしている。

僕達はカメラマンだろ?ほら少し危険な光景こそ そこに美があると思わないかい?いつでも撮影出来る様にバッテリーとカメラを一緒にもっていたいんだ。

いつシャッターチャンスがあるか分からないだろ?

分かりやすい嘘だと私は思った。今川のバッグの総重量は15kg以上、私のバッグは8kgはあっ…

そんな事を考えている間に、突然後ろから手を伸ばされ腹に止められたバックルを少し強引に外され私は驚いた…というよりも…後ろから抱きしめられた…ような、体制に驚いていた。

凛…早く!…。さてとバッテリーも手に入り僕は安心だ。ほら行くよ!

今川は私を女として見ていないのだろうか。今まで一緒の宿、部屋、お酒を飲んでも一度も変な事はなかった。

はぁ…。

凛、疲れたのは分かるけど先を急ぐよ!

(そのため息じゃありませんよ)

その後雪は勢いを増し吹雪となった。雪の積もるその速さが私達二人を確実に焦らせる。都会では考えられない積雪の速さの中私達は手を取り助け合いなんとか難所を抜けた。

ゴツゴツした岩場を抜けて標高900メートル地点まで戻ってくると険しい森に私達は入った。気がつけば雪は膝下まで積もっている。標高900メートルと言えば僅かな距離と感じるが、この朧山で言う900メートルとは道なき竹藪を進むより困難だった。その理由は思い出す必要すらなかった。

登山時に匍匐前進をしながら進んだあの獣道があるからだ。

膝近くまで積もってしまうとその獣道も雪の中である事は明らかでいちいち確認する事無く理解出来る。

…凛…大丈夫か?

…はい…それより荷物を

…僕は大丈夫だよ。それより確かこの先は崖や川が流れていたよね?

えっと…確かに…

どうやら今川も別ルートを考えているらしいが私に不安を与えない為にもその事は口にしなかった。

辺りはすっかり薄暗い雪景色で私達は方向感覚を失っていた。それを物語るのは私達の通ってきた足跡だ、蛇行し始めていた。

…駄目だな…日も暮れてきた…無理な下山は諦めるしかないな…

そんな!…でもどうするんですか?

大丈夫、葵村の宿には当日下山予定と話してあるから…この雪だし、きっと遭難したと思って誰か来てくれるさ。とにかくこのままでは凍死しかねない、辺りが真っ暗になる前に少しでも安全な場所を探そう。

葵村で宿泊した葵荘で今川と私は朧山に登頂する予定を宿主の高泉さんに話していた。その時に言われた言葉が今になって心に響く。

あのな…おめぇ達、あの山にゃ登らんほうが良い…写真なんぞ周りの山々で撮りゃよかんよ。あの山に行くとな…神隠しに会うんよ!

それから1時間ほど歩き回り足の感覚も消えてきた頃、無口になっていた今川が声を出した。

…あれ。凛、あの光…家じゃないか!?

私は驚きながら目を凝らしてその光を見つめた。

暗がりの木々の間のずっと先に窓から溢れた様な光が見えたのだ。

…はい!あれは…家かロッジか…多分人がいると思います!

私達の足取りは真っ直ぐと光に向けて歩み出した。

その雪に残る足跡も真っ直ぐに…


~~~~~~~~~~~~~~~~

その光は近い様で遠く感じた。

歩いても歩いてもなかなか進まない纏わりつく雪のせいなのか単純にその距離が遠いのか私の手を引き肩で息をする今川も同じ事を感じているに違いないと私は思っていた。

…橋だ…

無口になって歩いていた今川が立ち止まっりそう告げると私に振り返り橋に指を指す。

…吊り橋だ…

目を凝らし見てみると橋向こうに大きな館がたっていて窓からこぼれた光がうっすらと雪が積もった吊り橋を照らし出している。

今川さん…ここを渡ればゴールですね…

今川は私の手をはなし吊り橋に近づくとしゃがんで雪をどかして吊り橋の踏み板を叩いている。

渡れそうですか?大丈夫ですよね?

今川は立ち上がって首を横に振る。

…おかしい…いや大丈夫かもしれないが少し怖いな。

凛、あの館の入り口付近に足跡が見えるでしょ?あの足跡はこちらと反対側に跡がついている。

もしかすると反対側にも橋か…それとも道があるのかもしれない。こちら側は山に登る方面だ。だとすると向こうは下山方面の可能性がたかい。

もしもこの橋がボロくて雪の重さで限界だとしたら…

そう今川が話している時、ふと疑問が湧き出た。

…あの今川さん。

今川は話を途中でやめる。

…この橋きっと渡れます。間違えていたらとても危険な賭けになってしまうのですが、そもそもこのエリアって朧山と神無月山の境界辺りなのではと思うのです。

…と、いうと?

あの足跡に線状の跡が見えますよね。あれってきっとスノーモービルかなんかではないかと…というのも朧山を下調べした時、この様な館の存在もなくて、私達は獣道まで通りここまで来たんです。

こんな大きな館がある時点で大きくなくとも道はあるはずだと私は思ったのです。

朧山には人工的な物が少ない。あったのは木製のプレート程度でした。しかしこの朧山の周囲の山々は観光エリアでもありますから、この様な館があってもおかしくはないかと…

今川は吊り橋のワイヤを押し引きした。

…でも…

私は顎に指をもっていき話を続けた。

それにこの吊り橋…人が一人通れる吊り橋ではなくて…あのスノーモービルとか軽自動車くらいならなんとか通れる幅があると思うんです。そのワイヤーも思ったより錆びてませんし…

今川は口を押さえて突然笑いだした。

…ごめんごめん…あんまりにも凄い洞察力なもんでさ、ついつい驚いた拍子に笑ってしまった。
…うん。確かに渡れそうに思えてきたよ。

じゃあ行こうか名探偵のお嬢様!

私はなんだか恥ずかしくなり我に戻ると笑顔を返した。

その後二人はゆっくりと足元を確認しながら吊り橋を渡り終えた。思った以上に揺れない橋である事、そして軋む音や擦れ音が無い吊り橋である事が分かった。

館の玄関口に辿り着くと大きな木製の観音ドアがあり、その右手の壁には月光館と書かれている。

げっこうかん…

あぁ…そうみたいだね、旅館みたいな作りだけど立派な館にも見えるよね。
そう言うと今川は少し大きめな声で呼びかけをし重厚な観音ドアをノックした。

ごめん下さい!すみません!どなたかいませんか!

するとドスンと右手、つまりドアを向いて右手の庭方面から音がした。二人は同時に暗がりの庭を覗き込む。

…今川さん今の音…

…雪が木から落ちた音じゃないか?

…でも…さっき、

一つの疑問を感じて私が今川に話しかけようとした時だった玄関ドアから鍵の施錠が開く音がする。

ガチャっとなる音からしばらくすると玄関ドアが少し開いて部屋の光が玄関ポーチを照らしだした。
その直後男の声が聞こえた。

…また誰か来たんじゃねーのか?

続いて女の声が聞こえてた。

…ゆうきくんがドア開けてよ!私怖い…。

私達は目を合わせると今川が声を発した。

あの…夜分遅くにすみません。

そう今川が言った途端にドアが勢いよく開いた。

館から出てきたのは髭の生えた40代前後の大柄の男で身なりを見るからに



























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