後姿と煙草

zig

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7 バカと素直

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 呆れながら三度目の叫びを聞いた私は、改めて周囲を見渡してから空を仰いだ。
 星が瞬いている。広い。これ程までに広かったか、と何気ない発見を胸に収める。

 まぁ……少しだけならいいかもしれない。

 四回目の叫びを終えて息をつき、上下した肩を支えるよう膝に両腕をつく彼の右隣へ、ゆっくりと歩き出す。

 下から見上げてくる彼の目に、澄ましたように目だけで答える。

 口角を上げた彼はもう一度背筋を伸ばすと、大きく息を吸った。
 二人分の叫び声が闇の向こうへ吸い込まれる。

 しばらく声の行方を見届けた後、彼はへたり込むように腰を下ろした。上半身を支えるように両手を後ろについて、息を整えている。

 何か、胸の内にひっかかって蓋をしていたものが、取れたような気がした。

 彼が渡してくれた上着が風に揺れる。交差した両手で抱えるように服を引き寄せる。

 気持ちいいだろ?と聞いてくる大地に、うん。と素直な返事を送る。
 軽く笑い声を上げながら、よかったな、と返事が帰ってきた。
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