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5 夜と強がりと海
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夜もすっかり更けた。
乗り付けたバイクは近くに停車させて、私と大地は夜の海辺に来ていた。
砂浜は広かった。波が浜辺を濡らし、引いていく。私達以外に人はいなかった。
月が意外な程明るく、周囲を優しく、そしてさりげなく照らす。
暗い闇が水平線まで続いている。遠慮なく押し寄せる波の近くに来ると、若干の怖さを感じる。
空を仰ぐと、光が少ない為か、星空がいつもよりよく見えた。遮るものが無い全方位が眺められる空は、どこか贅沢だ。
借りた上着をはためかせながら、改めて大地に尋ねる。
「ねえ、なんでこんなところに来たの?」
特にイベントがあるわけでは無いし、釣りをするでもない。
移動中、抱き着きながらぼーっとすることに夢中で、聞きそびれた理由を彼に聞いた。
私よりも波の近くにいた彼は、首だけこちらに向けると、得意げに笑いながら告げた。
「叫ぶため」
えっ、と思った時には彼は水平線に向かって大声を発していた。
残響も無く、彼の声は夜の闇に吸い込まれていった。ちょうど引いていた波が返答するように音を立てる。
呆気にとられて動けない私に、彼はまた振り向いて言った。
「優花!何かあったか?」
波音に負けないように、でも優しく気遣うような声が投げられた。
「最近優花の元気が無いって、おじさんおばさん心配してたぜ」
押し寄せる波を背景に、彼が話す。
色々な人に迷惑をかけてしまっていることに、罪悪感に似た感情が私を胸の内側から責める。
「べつに、関係ないでしょ!」
つい、強がってしまった。
まあな!と彼から返される。
別に俺も興味ねーけどな!となぜか照れ隠しにもとれる響きを含めた言葉が添えられる。
「何があったかは知らねーけど、ちょっとこっち来て一緒に大声出してみろよ!」
相変わらず何を言っているのだろう。昔からバカだとは思っていたけれど……。と容赦ない言葉が呆れる心に湧きあがる。
そんな私の心情も気にかけないように、彼は二度目の叫び声をあげた。
しかし、ちょうど迫る波が彼の声を打ち消す。
乗り付けたバイクは近くに停車させて、私と大地は夜の海辺に来ていた。
砂浜は広かった。波が浜辺を濡らし、引いていく。私達以外に人はいなかった。
月が意外な程明るく、周囲を優しく、そしてさりげなく照らす。
暗い闇が水平線まで続いている。遠慮なく押し寄せる波の近くに来ると、若干の怖さを感じる。
空を仰ぐと、光が少ない為か、星空がいつもよりよく見えた。遮るものが無い全方位が眺められる空は、どこか贅沢だ。
借りた上着をはためかせながら、改めて大地に尋ねる。
「ねえ、なんでこんなところに来たの?」
特にイベントがあるわけでは無いし、釣りをするでもない。
移動中、抱き着きながらぼーっとすることに夢中で、聞きそびれた理由を彼に聞いた。
私よりも波の近くにいた彼は、首だけこちらに向けると、得意げに笑いながら告げた。
「叫ぶため」
えっ、と思った時には彼は水平線に向かって大声を発していた。
残響も無く、彼の声は夜の闇に吸い込まれていった。ちょうど引いていた波が返答するように音を立てる。
呆気にとられて動けない私に、彼はまた振り向いて言った。
「優花!何かあったか?」
波音に負けないように、でも優しく気遣うような声が投げられた。
「最近優花の元気が無いって、おじさんおばさん心配してたぜ」
押し寄せる波を背景に、彼が話す。
色々な人に迷惑をかけてしまっていることに、罪悪感に似た感情が私を胸の内側から責める。
「べつに、関係ないでしょ!」
つい、強がってしまった。
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「何があったかは知らねーけど、ちょっとこっち来て一緒に大声出してみろよ!」
相変わらず何を言っているのだろう。昔からバカだとは思っていたけれど……。と容赦ない言葉が呆れる心に湧きあがる。
そんな私の心情も気にかけないように、彼は二度目の叫び声をあげた。
しかし、ちょうど迫る波が彼の声を打ち消す。
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