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僕の鼠退治

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「なんて化け物どもだ。だが、今なら殺れるか…?」
 
 物陰に隠れて気配を隠し、一部始終を見ていたものがいた。隣国の民の特徴である青みがかった群青色の髪の男、
「今なら何だって?」
 誰もいないと思っていた男は、驚いて肩を揺らす。後ろを振り向くと、両腕を組み、壁に凭れ掛かる幼い少年がいた。少しウェーブがかった金色の短髪の線の細い少年は、男に声をかけた。男は、その見た目に安堵して、少年に言い返す。
「なんだ貴様は。」
「犯罪者に名乗る名前は無いよ。貴方、学園の関係者じゃないよね?どうやって侵入したの?」
 男の乱暴な言葉遣いに動じること無く、少年は聞き返す。
「そんなのどうにでもなるさ。」
「ふーん。で、今から何をしようとしてたの?」
 男は面倒な事になったなと思いながら、少年の質問にどう返答したものか迷った。男はちょっと考える素振りをしてから、少年に近寄って来て話しかけた。
「ちょっとおじさんに、学園内をを案内してくれないかな?」
 男は、予定を変更してこの少年から消す事を考えた。校内の人気のない場所に連れていけば、簡単に始末出来るだろうと。
「嫌だよ。僕、やらなきゃいけないことあるもん。時間もないし。早く行かなきゃ怒られちゃう。おじさんごめんね。アハダ、おいで。」
 少年が呼ぶと、通路の奥から一匹の獣が近づいて来る。その獣は、遠目では子犬に見えたのだが、距離が縮むにつれ、どんどん大きくなっていく。
「わっ、何なんだあの犬は。えっ?……まさかフェッ、フェンリルか!!うわーっ!!」
 男は、自分の身の丈を有に超えたフェンリルに恐怖する。フェンリルは、男の体を押し倒し、その顔を覗き込み大きく口を開けた。
「レオー、こいつ食べていい?」
 フェンリルは、少年に一言言って、口を開けたまま男の顔を挟むように地面に己の牙を突き立てた。
「アハダ、魔力以外食べちゃ駄目だよ。兄さんに引き渡さなきゃ、怒られちゃう。色々聞かなきゃ。」
「ちぇーっ、でもまぁいいや。こいつ不味そうだし。」
 レオと呼ばれた少年は、フェンリルの下敷きになって気絶している男に冷たい視線を送る。
「懲りない奴らだなぁ。雑魚ばっかだし。アハダ、頼める?」
「ははっ、当然だろう。魔力も貰ったし、これが俺の仕事だからな。」
 アハダと呼ばれたフェンリルは、嬉しそうに返答して、意気揚々と男を背中に乗せた。
「早くシリウス兄さんのところに行かなきゃ。僕の仕事が無くなっちゃう。」
 少年とフェンリルは、先程爆音が鳴り止んだばかりの場所へ向かって走り出した。
 
 
 
 
  
 
 
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