僕を貴方のマスターにしてくださいっ！

いざ、交流会へ！ 2

ここじゃないところで……。

　「あ…………いや、あのっ……。」
　僕は桜先輩とハーディ先輩の視線によって、話そうとしていたことをすっぽりと忘れ去ってしまった。
　しかし、僕を見つめる春樹先輩はキラキラしたような、まるで甘い可愛らしいお菓子を見るような、そんな瞳で僕を観察していた。
　ここにいる三人は僕が話し出すのを待っていた。うん。彼らの表情を見ていればそのぐらいの大体の予想はついてくる。
　けど、言おうとしていたことを忘れちゃったんだ……。何かを話したいんだけど、話せないよ。
　僕はずっと、口をパクパクさせたまま話すことも思い付かず目に涙を溜めてしまっていた。
　そして、ついに泣き出してしまった……。
　「うぅっ……ごめんなしゃぃぃ……。話すことっ………忘れちゃいましたぁ………っぁ。」
　僕は正直なことを涙で濡れる顔を晒して喋った。すると、ハーディ先輩は少し驚いた顔をして、でもすぐににこやかに笑ってくれた。そして、僕に労いの言葉をかけてくれた。
　「大丈夫だって……そんな君のことをとって食おうってわけじゃないんだ。ゆっくりでいいから話してごらん？」
　僕は、涙声でつっかえながら「はい」と、答えた。
　そうして、そんな僕の姿をみた桜先輩はクスリと微笑んだのだった。