僕を貴方のマスターにしてくださいっ！

大好きな後輩 side玲

豊との思い出

　俺の名前は玲・クレイスハウル。そして、クレイスハウル家の次男だ。俺にはひとつ上の兄と、ひとつ下の弟がいる。この家はもう兄さんが継ぐことになっているし、兄さんにはもう番もいて、その番を溺愛しているし、まぁ兄さんも幸せなんだろうな。今現在、俺と弟はなかなか満足度の高い自由な生活をおくっている。
　人間関係を除いては……。


　俺が豊に会ったのは8年前だ。
　８年前の兄さんの誕生会兼婚約会で、俺たちは出会った。
　俺の父さんは王族の護衛部隊の隊長格で、政権的な位置もそれなりに高い方だと思う。だから、兄さんのお祝いに沢山の部下やお偉いさんたちがきた。
　そのなかに、狼の獣人と人間の夫婦がいた。
　獣人の方の名前はジャック・ルキース。人間の方は雪乃（ゆきの）・ルキース。
　そして、その２人と一緒に来たのが豊だった。俺は初めて豊をみたとき不思議な奴だと思った。
　だって、だいたい親子となれば両親の特徴を少なくとも遺伝して生まれてくるはずだろ？なのに、豊はどちらにも全く似てなかったからな。その時はまだ、俺も７才だったから全然子供だったんだよ。デリカシーなんて微塵も知らない。だから、つい言ってしまったんだよ。

　「お前、全然親に似てないね。ホントに親子なの？」

　今考えたら酷いよな。初対面の奴にいきなりお前は本当の子供なのかって聞くなんてさ…。
　まぁ、予想してくれた人もいたかもしれないが、豊は俺のその言葉で大泣きしたよ。
　後から母さんに凄い怒られて、父さんは俺に向かって怒りをこめたデカイ溜め息を吐き出した。父さんはきっと俺には豊の生い立ちを話すのはまだ早いと思ったんだと思うんだ。
　叱られた後は豊に謝って仲良くしてもらえと、なんとも言えない威圧で命令された。

　それから数年後俺は豊を番にしたいと思う出来事がおこった。