記憶を失くした婚約者

 侯爵令嬢エルザには日本人として生きていた記憶があり、自分は悪役令嬢であると理解していた。
 婚約者の名前は公爵令息、テオドール様。
 ヒロインが現れ、テオドールと恋に落ちれば私は排除される運命だったからなるべく距離を置くようにしていたのに、優しい彼に惹かれてしまう自分を止められず、もしかしたらゲームの通りにはならないのではないかと希望を抱いてしまった。

 しかしゲーム開始日の前日、テオドール様は私に関する記憶だけを完全に失ってしまった。
 そしてゲームの通りに婚約は破棄され、私は酷い結末を迎える前に修道院へと逃げ込んだのだった。


 続編「正気を失っていた婚約者」は、別の話として再連載開始する為、このお話は完結として閉じておきます。
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