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気づいたら神社ごと異世界に飛ばされていた件
3話目
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「ま、とりあえず腹ごしらえが先かな」
「えー……」
突然現れた美少女は、太陽のように眩しい笑顔で腰の後ろに差していたらしいナイフを構えてイノシシウシことカヴァラに突き立てた。
俺の中ではもう食料認定されていないグロ死体を嬉しそうにザクザク切り刻んで、両手のひらで持つ程度の大きさに肉を切り取ると、先程積み上げた焚火(予定の枯れ木の山)までもっていく。
どうする気なのかと眺めていると、肉を左手に持ち替え、血でドロドロの右手を焚火に構えると、右手から突然拳一つ分程の炎が表れて木を燃やし始めた。
「ひっ火が何もないところから!?」
これはもしや魔法というものではないだろうか?
テレビや漫画などの娯楽は厳格に管理された我が家では見ることはできないが、クラスメイトがテレビの出来事として身振り手振りで話していたのを思い出す。
確か何か呪文を唱えていた筈だったが、彼女は何もしゃっべっていないので呪文が必要ないようだ。
「なんで驚いてんの? あんただって使えるじゃん」
「何を?」
「風のクラヴィス」
「クラヴィス?」
不思議そうに言う彼女の様子からクラヴィスというのは俺の思う魔法をこの世界でそう呼ぶのだと察せられたが、身に覚えがなくて首をかしげるしかない。
彼女は俺の様子よりも肉に夢中のようで、それ以上答えを返さず、今度は水を出して手と肉を洗って、枝をナイフで削って尖らせた即席の串に肉を刺したものを火の傍に差し込んで焼き始めた。肉を洗った赤みを帯びた水は、彼女が指先を操作するように振ると森の方へ飛んで行った。魔法で出した水でも、消えたりはしないようだ。呆然と眺めていると、肉の表面に焦げ目が付くにつれてもの凄く良い匂いが漂い始めて、胃袋がギュゥギュゥ鳴き始めた。
あのグロ死体を前に遠のいていた食欲が、諸手を挙げて猛烈ダッシュで戻ってきた感じだ。
人間三大欲求の一つである食欲の前には理性など吹っ飛ぶものである。
「うるさいよ。あんたの分も焼いてるからもう少し我慢しなよ」
同じように肉を刺した枝をもう一つ用意して焼きながら苦笑いされた。
その表情は柔らかい。
言葉遣いは乱暴だけどとても良い子のようだ。
初対面だと働いてしまう警戒心が彼女には働かない。裏表のなさそうな瞳でまっすぐに見つめてくる彼女となら友達になれるかもしれない、そう思えた。単に彼女がかわいいからではない、断じて。
「私はメリアーナ。メルでいいよ。ここから半日くらい歩いたところの村から狩りに出てたんだけど、カヴァラが居たせいで村に戻れなかったから助かった。まいったよ一緒に来ていた仲間達とははぐれちゃうし」
「村に戻れなかったって何で?」
火に近い方の表面にきれいな焦げ目がついた所で、反対側を焼き始める。
メルの話も気になるけど、カヴァラ肉の味が気になってしょうがない。
肉の表面からは肉汁があふれ出して、表面を滑り、枝に向かって垂れている。勿体なくてなめとりたくなるくらい美味しそうだ。
「村に戻るのに避けて通れない場所にカヴァラが通りかかっちゃって、しかも私の気配に気づかれた。私の足でこいつから逃げられる筈もないし、もし逃げられたとしてもこんなのに追いかけられたまま村に戻ったら……わかるだろ?」
「村がめちゃめちゃにされる予想しか出来ないな」
村がどれぐらいの規模の場所なのかは分からないが、彼女の着ているものや狩りに出るという言葉から察するにそれほど文明が進んでいないように感じるし、防衛力も察せられる。
あんな化け物が突っ込んだらひとたまりもないだろう。
「そこにあんたが通りかかってくれたってわけ。本当助かったよ。ありがとうっていうのも変だけど」
なるほど、俺は自覚無く囮になってメルを助けていたようだ。初対面の割にメルが友好的な理由もよく分かった。
そこで忘れかけていた現象を思い出し、それと同時に疑問もわいた。
「なぁ、メルさんは魔法を使えるんだろ? さっき俺を助けてくれたみたいだし、別に俺が囮にならなくても問題なかったんじゃないのか?」
カヴァラに追いかけられてこの神社に逃げ込んだ時、カヴァラは雷のようなものを受けて気絶した。
普通に考えれば助けてくれたのはメルで間違いない筈だ。
しかし、彼女は不思議そうに首を傾げるだけだ。陽が沈みかけてきたことに今気づいた。周囲が闇に覆われ始めるなかで、炎のゆらゆらとした光が彼女を照らしていて、宝石のような赤い瞳がきらめいている。サラサラとした赤い髪がこぼれるように流れていて、なんだか神秘的に見える。
「何のこと? 私は確かにクラヴィスが使えるけどカヴァラには大して効かないよ。私が使えるクラヴィスで一番強いのは水だけど、カヴァラに効くほど強くないからねぇ。あと、さんはやめてくれよメルだ」
苦笑いする彼女の様子に嘘はなさそうで、疑問が残った。ではあのカヴァラを気絶させたのは何だったのだろうか?
周囲を見回してみるけれど、他に誰か居る様子もないし、これ以上聞いたところで彼女には分からなそうだ。
「……とりあえず自己紹介ね。俺は御陵京助。ここじゃないところに住んでたんだけど、突然ここに来ちゃったんだ。本当に突然、この場所ごと。理由は俺にも分からないんだけど」
「ミササギキョウスケ……長ったらしい名前だね。それって家族と離れ離れになったってことだよな? 戻る方法あるの?」
「いや、名前はキョウスケで、ミササギは苗字だよ。元の場所に戻れるか分からないけど、あまり戻りたくはないかな」
「焼けたよ。どうして? 京助は家族に会いたくないのかい?」
表面にこんがりと焼き目が付いた肉をさしだしてくれたメルが、また不思議そうに首を傾げる。家族と自分から離れることを考えたこともないのがその表情から察せられた。きっと彼女に説明しても分かってもらえないだろうと思った。強制的とはいえあの家族から離れられたことに安堵していることを。
カヴァラに追いかけられて、死ぬような思いをしたというのに元の世界に戻りたいとは欠片も思えないことを。
「どうしてって……。とにかく戻りたくはないんだよ。いただきます」
ごまかすように肉に歯を立てると。焦げ目がついた表面は少し硬いが、中はしっとり柔らかくて肉汁がじゅわっとあふれ出す。
あまり贅沢をすると檀家からの視線がなんたらかんたらと言い出すような家族の元で育った俺は誕生日ですらおいしいお肉というものを食べたことが無い。
街中で見かけた雑誌の表紙にあった高級なステーキとやらはこんな味がするのかもしれない。
「うまい!」
「だろ? カヴァラの肉は村人総出で狩りをしないと食べられないご馳走なんだ。こんなことならエルドを連れてくればよかったな」
「エルド?」
「弟だよ。食べ盛りで大変なんだ」
困ったように笑うメルはとても穏やかで優しい顔をしている。家族が好きなのだと伝わってきて、羨ましくなった。みそっかす扱いで虐げられてきた俺とは違い愛し愛される関係なのだろう。
何だか出来ることならなんでもしてあげたい気持ちになる。
「村が近いなら、これ持っていくか? さすがに俺は運べないけど、村から人を呼んでくればいいだろ?」
「いいのか!? でもこれキョウスケの獲物だろ?」
「いや、俺一人じゃこんなに食えないし。ここ暑くはないけど、寒いわけじゃないから数日もすれば腐ってきて大変なことになると思う。持って行ってくれた方が助かる。その変わり、そっちの食料とか、着るものとかと交換してくれないか? あと、もう一つ」
「な、なに?」
カヴァラの肉を村に持って帰れることに喜んでいたメルの顔が強張る。一体何を要求すると思われたのだろうか。
「魔法を教えて欲しい」
先程俺が風のクラヴィス? を使っていたと言っていたが、自覚は全くない。しかし、日本刀でこの巨体にこんな傷を負わせられる筈がない。つまり、俺でも魔法が使えるということだ。
魔法で火が出せれば、暖も取れるし、水はあるけど、食料を取る為に森に入るならあった方が良い。
「魔法って、あんたの国でいうクラヴィスのこと? 使ってたじゃん」
「いや、俺自覚全くなくて、どうやって発動したのか分からないんだ。俺の国には魔法なんて無いし、使えるやつはいないから」
「んー」
肉を頬張ってもぐもぐしながら眉を寄せるメルはこれはこれで可愛らしい、クラスで飼っていたハムスターを思い出した。
口から肉汁が飛び出したのを腕で拭いたりしなければもっとポイント高いんだけど。ワイルドな雰囲気のある彼女には妙に似合っていた。
「難しいのか?」
「いや、私も子供のころから当たり前にできていたから、改めてどうやってって言われると分からないんだよね。とりあえず、水が出たらいいなーって思ったら水が出るし、火を出したいなーって思ったら出るから。ただどれくらい出るかはその日の体調とかにもよるし、あまり強いのは出ないし」
メルが立ち上がって左手を翳すと、人をすっぽりと包むくらいの大きさの水の塊が出来た。
ぶよぶよと水がうごめいていて、向こう側の真っ暗な森が見える部分と、炎を映している部分がある。実践して見せてくれるのはありがたいが、なんだか不気味だった。
メルが翳していた手を振り上げて、投げるような仕草をすると、水は勢いよく飛んだが、一メートルほどでそのまま地面に落ちて水たまりになった。量は多いけれどイメージとしてはバケツに溜めた水を撒いたような状態になっている。
「水はまぁまぁ強いから生き物を溺れさせる位は出来るけど狩りに使うには飛距離が足りない。飲んだりお風呂に使ったりする位かな。井戸が枯れたりした時は大活躍だけどね。温度を変えることもできるよ。でもお風呂くらいの温度が精々だけど」
今度は右手の拳に炎をまとって見せ、それを振り上げたが、今度は飛ぶことは無く右手で揺らめいている。飛ばすことは出来ないようだ。
「火はコレが精いっぱいで、飛ばせないから松明に火をつけるくらいの使い方しか出来ない。雷は使えたら狩りに役に立ちそうなんだけど適性が無いらしくて使えないし、風は風車を回すくらいしか思いつかないから使ったことない。結構不便なもんだろ。これでも村では一番クラヴィスが強いんだよ? といっても使えるの村長と私の家族だけだけど」
説明が簡単すぎてクラヴィスの使い方は全然わからないことは分かった。あと、失礼だけれど思っていた程彼女の魔法は強くないらしい。そりゃカヴァラなんてモンスター相手に戦える訳無い。
使い方次第でもっと有効活用出来そうだけれど、使えもしないクラヴィスで偉そうに使い方を伝授なんて出来るわけがないので口を噤む。
あと、やはりメルはさっきのカヴァラに対する電撃に関与していなさそうだ。別に疑っていたわけではないけれど、じゃぁ誰なのかという疑問が残るのでもやもやする。
それよりもクラヴィスだ。早めに習得しておかないとここで生きていくうえで困る。とりあえず肉を食べ終わったので、後始末をするべく、焚火に手を翳してみる。
メルの言に従うなら、思いうかべるだけで水が出て松明を消してくれる筈だ。
「水よ! 出ろーー!!」
シーン。という音が聞こえた気がした。
メルもキョトンとしている。
ものすっごく恥ずかしい。頭をかかえたいくらい。穴があったら入りたい。
とりあえず水の魔法の才能は無いようだ。メルだって雷魔法が使えないといっていたのでそういうことなのだろう。
「じゃ、じゃぁさっき出たっていう風魔法でこの焚火を吹き消してみよう」
今度こそと身構える。
さっきと違い肩幅に足を開き呼吸を整えて、風が焚火を吹き消すイメージを脳裏に描く。そして右手を振り上げ、腹の底から叫びながら振り下ろした。
「風よ! 火を吹き消せーー!!」
またもや、何も発動しない。
魔法とは無関係そうな寒々しい木枯らしがひゅるりーと通り過ぎた。気がした。
「俺、風魔法……クラヴィスだっけ? 使ったって言ってたよな!?」
「おかしいなぁ。あの威力は確かに風魔法だと思ったんだけど」
せめて笑ってくれれば良いけれど、メルは笑ってはいけないと凄い堪えている顔をしていて、目をそらしている。逆にすごく恥ずかしい。
結局焚火はメルが水魔法で消した。
「とにかく、明日村に戻ったら村長に聞いてみるよ。何かわかるかも。村長は村一番のクラヴィス使いだから。それでさ、悪いけど一泊だけ泊めてくれないか?」
「は? ご、ごめんなんて?」
何の力もこめていないような顔で焚火に水をかけたメルが、何てことないことのように言い出したので、思わず問い返してしまった。
ちょっと考えてみて欲しい、こちとら彼女居ない歴=年齢で彼女どころか友達すら居なくて、お泊りなんて経験一度もないのだ。ましてこんな芸能人真っ青の超絶美少女に「泊めて」なんて言われて「はい良いですよどうぞ」なんて言えるわけがない。
メルの友好的な雰囲気と可愛さでつい気を許してしまった感はあるが、会ったばかりの人間と一夜を共にするなどもってのほかだ。
「やっぱり、だめか?」
先程まで、朗らかに笑っていたメルが急に不安げな顔になって横を向いた。メルの視線につられて森を見ると、このあたり一帯は鬱蒼とした森で覆われていたことを思い出した。茂った木々の間からはいかにも何かが出てきそうだし、実際昼間カヴァラに襲われたばかりで、次また何が出てくるとも限らない。しかも、彼女の村はここから半日ほど歩くと言っていたので、時計の無い今が何時かは分からないが、村に着くころには真夜中になっているだろう。こんな中に一人で帰れなんて言えるわけがない。
「や、どうぞどうぞ泊って行って。ただ、本殿は寒いし、間仕切りも無いよ? メルこそ良いの?」
「ありがとう! この森の中を夜中に抜けることに比べれば天国だよ」
「それは確かに」
本殿というものは本来ご神体を祀る為だけにあるもので、人が暮らすことを想定していない。清掃は行き届いているが、典型的な日本家屋で隙間風が凄い。凍えるほどではないが、肌寒さはどうしようもない。
それにしても彼女の警戒心の無さはどうなんだろうかと少し心配になる。もちろん自分には彼女をどうこうなんて度胸は無いしわざわざ言うつもりはないが。
気を取り直して手水鉢で手を洗うとそのまま本殿に移動する。
メルは手水鉢なんて見たことないらしくかなり驚いていた。驚きすぎて隅々まで観察するので、真正面から手水鉢の竜の口を覗き込んで水浸しになっていた。
ちなみに、メルの服は胸と腰に二重でサラシのように布を巻いているので透けなかった。
そういえばこの場所ではお風呂に入れないことに気づいた。水浴びなら出来るが、タオルもないし、メルの前で裸になるのは無理だ。それに服は今着ている道着だけなので、濡らしてしまえば着るものが無い。
カヴァラから逃げた時に物凄く汗をかいたので出来ればさっぱりしたいんだけど……。なんて思っていたらメルが「じゃぁ身体洗おっか」と言い出した。
この時の俺の気持ちを150文字以内で述べよ。
「へ!? いや、ここお風呂無いから無理だ」
「大丈夫大丈夫私がお礼に洗ってあげるから」
「えぇ!? 洗ってくれるってガボ!?」
思わず近づいてくるメルの豊満な身体に目がいった瞬間全身を急激な流れのお湯に包まれた。いきなりお湯で満たされた洗濯機に突っ込まれたような感じで身体が翻弄される。息ができないし意味も分からない。文句を言いたいけれど何もできない。死ぬ。と思ったら急にお湯がふっと消えて、森の方でビシャビシャと水音が聞こえた。
身体はさっぱりしているし、道着も靴も乾いている。
だが爽快感はゼロで疲労感も感じる。
「いきなり何すんだ!?」
「あ、ごめん狩りの途中で野宿することになったらこれが当たり前だったもんで。気持ちよかったでしょ?」
そう言いながらメル自身も全身をお湯で包んで『グルグルポーイ』なんて効果音が聞こえそうな感じで身体の周りでお湯を回して森の方へ飛ばした。
洗ってくれたというのは間違いないが文句を言いたくなる気持ちも分かると思う。
せめて先に説明してくれと声を大にして言いたいが、メルは善意100%の顔で微笑んでいるので気がそがれてしまった。でも断じてお礼は言わない。
「じゃ、じゃぁ本殿に案内するよ。確か毛布があったと思う」
「モウフ? 保存食かなにか? もうお腹いっぱいだよ?」
「違う違う。寝るのに被る布だよ」
本殿に入ると、中央に御陵丸が収められていた厨子がある。周囲の壁の一部は小さな収納が沢山あり、昔神事で使ってきたものなどが収められている。その中でも一番目につきづらい壁際の収納をあけると手前に置かれた風呂敷包みが見えた。それをどけて奥に手を伸ばすと、記憶の通り毛布が出てきた。
もちろんこの毛布は俺が一目を避けて過ごす為に持ち込んだものだ。
こんなことになるなら食料等も持ち込んでおけば良かったと悔やまれる。
何気なく手渡すとメルが衝撃を受けた顔をして、撫でたりほおずりしたりして感触を確かめたりし始めた。
「何してんの?」
「これ凄い! こんな布初めて見た。どうやってこんなの作ってるの? キョウスケって王様!?」
「いや、そんなんじゃないよ。この毛布だって安物の筈だし」
「これが安物だなんて……。このお屋敷も凄いけど、あんたの着ている服も綺麗な色だし、凄い質が良いし、作りも丁寧だし。一体どんな所で暮らしてたんだか」
今まで意識したことは無かったけれど、毛布というのは毛が一本一本布に植えられているような感じだ。機械で作っている現代なら兎も角、手作業でつくるとなると途方もない作業だ。メルが驚くのも無理もない。
「一枚しかないからメルが使いなよ」
「いやそんな! いいよあんたが使いなよ。私は屋根があるだけで十分だ!」
メルは遠慮するが、女の子一人に寒い思いをさせて自分だけぬくぬく寝ていられる筈がないので勿論反論した。
結局その後、「メルが」「あんたが」という長い言い合いをしていたのは覚えているが、何故翌朝一つの毛布に包まって寝ていたのかはどうしても思い出せない。
「えー……」
突然現れた美少女は、太陽のように眩しい笑顔で腰の後ろに差していたらしいナイフを構えてイノシシウシことカヴァラに突き立てた。
俺の中ではもう食料認定されていないグロ死体を嬉しそうにザクザク切り刻んで、両手のひらで持つ程度の大きさに肉を切り取ると、先程積み上げた焚火(予定の枯れ木の山)までもっていく。
どうする気なのかと眺めていると、肉を左手に持ち替え、血でドロドロの右手を焚火に構えると、右手から突然拳一つ分程の炎が表れて木を燃やし始めた。
「ひっ火が何もないところから!?」
これはもしや魔法というものではないだろうか?
テレビや漫画などの娯楽は厳格に管理された我が家では見ることはできないが、クラスメイトがテレビの出来事として身振り手振りで話していたのを思い出す。
確か何か呪文を唱えていた筈だったが、彼女は何もしゃっべっていないので呪文が必要ないようだ。
「なんで驚いてんの? あんただって使えるじゃん」
「何を?」
「風のクラヴィス」
「クラヴィス?」
不思議そうに言う彼女の様子からクラヴィスというのは俺の思う魔法をこの世界でそう呼ぶのだと察せられたが、身に覚えがなくて首をかしげるしかない。
彼女は俺の様子よりも肉に夢中のようで、それ以上答えを返さず、今度は水を出して手と肉を洗って、枝をナイフで削って尖らせた即席の串に肉を刺したものを火の傍に差し込んで焼き始めた。肉を洗った赤みを帯びた水は、彼女が指先を操作するように振ると森の方へ飛んで行った。魔法で出した水でも、消えたりはしないようだ。呆然と眺めていると、肉の表面に焦げ目が付くにつれてもの凄く良い匂いが漂い始めて、胃袋がギュゥギュゥ鳴き始めた。
あのグロ死体を前に遠のいていた食欲が、諸手を挙げて猛烈ダッシュで戻ってきた感じだ。
人間三大欲求の一つである食欲の前には理性など吹っ飛ぶものである。
「うるさいよ。あんたの分も焼いてるからもう少し我慢しなよ」
同じように肉を刺した枝をもう一つ用意して焼きながら苦笑いされた。
その表情は柔らかい。
言葉遣いは乱暴だけどとても良い子のようだ。
初対面だと働いてしまう警戒心が彼女には働かない。裏表のなさそうな瞳でまっすぐに見つめてくる彼女となら友達になれるかもしれない、そう思えた。単に彼女がかわいいからではない、断じて。
「私はメリアーナ。メルでいいよ。ここから半日くらい歩いたところの村から狩りに出てたんだけど、カヴァラが居たせいで村に戻れなかったから助かった。まいったよ一緒に来ていた仲間達とははぐれちゃうし」
「村に戻れなかったって何で?」
火に近い方の表面にきれいな焦げ目がついた所で、反対側を焼き始める。
メルの話も気になるけど、カヴァラ肉の味が気になってしょうがない。
肉の表面からは肉汁があふれ出して、表面を滑り、枝に向かって垂れている。勿体なくてなめとりたくなるくらい美味しそうだ。
「村に戻るのに避けて通れない場所にカヴァラが通りかかっちゃって、しかも私の気配に気づかれた。私の足でこいつから逃げられる筈もないし、もし逃げられたとしてもこんなのに追いかけられたまま村に戻ったら……わかるだろ?」
「村がめちゃめちゃにされる予想しか出来ないな」
村がどれぐらいの規模の場所なのかは分からないが、彼女の着ているものや狩りに出るという言葉から察するにそれほど文明が進んでいないように感じるし、防衛力も察せられる。
あんな化け物が突っ込んだらひとたまりもないだろう。
「そこにあんたが通りかかってくれたってわけ。本当助かったよ。ありがとうっていうのも変だけど」
なるほど、俺は自覚無く囮になってメルを助けていたようだ。初対面の割にメルが友好的な理由もよく分かった。
そこで忘れかけていた現象を思い出し、それと同時に疑問もわいた。
「なぁ、メルさんは魔法を使えるんだろ? さっき俺を助けてくれたみたいだし、別に俺が囮にならなくても問題なかったんじゃないのか?」
カヴァラに追いかけられてこの神社に逃げ込んだ時、カヴァラは雷のようなものを受けて気絶した。
普通に考えれば助けてくれたのはメルで間違いない筈だ。
しかし、彼女は不思議そうに首を傾げるだけだ。陽が沈みかけてきたことに今気づいた。周囲が闇に覆われ始めるなかで、炎のゆらゆらとした光が彼女を照らしていて、宝石のような赤い瞳がきらめいている。サラサラとした赤い髪がこぼれるように流れていて、なんだか神秘的に見える。
「何のこと? 私は確かにクラヴィスが使えるけどカヴァラには大して効かないよ。私が使えるクラヴィスで一番強いのは水だけど、カヴァラに効くほど強くないからねぇ。あと、さんはやめてくれよメルだ」
苦笑いする彼女の様子に嘘はなさそうで、疑問が残った。ではあのカヴァラを気絶させたのは何だったのだろうか?
周囲を見回してみるけれど、他に誰か居る様子もないし、これ以上聞いたところで彼女には分からなそうだ。
「……とりあえず自己紹介ね。俺は御陵京助。ここじゃないところに住んでたんだけど、突然ここに来ちゃったんだ。本当に突然、この場所ごと。理由は俺にも分からないんだけど」
「ミササギキョウスケ……長ったらしい名前だね。それって家族と離れ離れになったってことだよな? 戻る方法あるの?」
「いや、名前はキョウスケで、ミササギは苗字だよ。元の場所に戻れるか分からないけど、あまり戻りたくはないかな」
「焼けたよ。どうして? 京助は家族に会いたくないのかい?」
表面にこんがりと焼き目が付いた肉をさしだしてくれたメルが、また不思議そうに首を傾げる。家族と自分から離れることを考えたこともないのがその表情から察せられた。きっと彼女に説明しても分かってもらえないだろうと思った。強制的とはいえあの家族から離れられたことに安堵していることを。
カヴァラに追いかけられて、死ぬような思いをしたというのに元の世界に戻りたいとは欠片も思えないことを。
「どうしてって……。とにかく戻りたくはないんだよ。いただきます」
ごまかすように肉に歯を立てると。焦げ目がついた表面は少し硬いが、中はしっとり柔らかくて肉汁がじゅわっとあふれ出す。
あまり贅沢をすると檀家からの視線がなんたらかんたらと言い出すような家族の元で育った俺は誕生日ですらおいしいお肉というものを食べたことが無い。
街中で見かけた雑誌の表紙にあった高級なステーキとやらはこんな味がするのかもしれない。
「うまい!」
「だろ? カヴァラの肉は村人総出で狩りをしないと食べられないご馳走なんだ。こんなことならエルドを連れてくればよかったな」
「エルド?」
「弟だよ。食べ盛りで大変なんだ」
困ったように笑うメルはとても穏やかで優しい顔をしている。家族が好きなのだと伝わってきて、羨ましくなった。みそっかす扱いで虐げられてきた俺とは違い愛し愛される関係なのだろう。
何だか出来ることならなんでもしてあげたい気持ちになる。
「村が近いなら、これ持っていくか? さすがに俺は運べないけど、村から人を呼んでくればいいだろ?」
「いいのか!? でもこれキョウスケの獲物だろ?」
「いや、俺一人じゃこんなに食えないし。ここ暑くはないけど、寒いわけじゃないから数日もすれば腐ってきて大変なことになると思う。持って行ってくれた方が助かる。その変わり、そっちの食料とか、着るものとかと交換してくれないか? あと、もう一つ」
「な、なに?」
カヴァラの肉を村に持って帰れることに喜んでいたメルの顔が強張る。一体何を要求すると思われたのだろうか。
「魔法を教えて欲しい」
先程俺が風のクラヴィス? を使っていたと言っていたが、自覚は全くない。しかし、日本刀でこの巨体にこんな傷を負わせられる筈がない。つまり、俺でも魔法が使えるということだ。
魔法で火が出せれば、暖も取れるし、水はあるけど、食料を取る為に森に入るならあった方が良い。
「魔法って、あんたの国でいうクラヴィスのこと? 使ってたじゃん」
「いや、俺自覚全くなくて、どうやって発動したのか分からないんだ。俺の国には魔法なんて無いし、使えるやつはいないから」
「んー」
肉を頬張ってもぐもぐしながら眉を寄せるメルはこれはこれで可愛らしい、クラスで飼っていたハムスターを思い出した。
口から肉汁が飛び出したのを腕で拭いたりしなければもっとポイント高いんだけど。ワイルドな雰囲気のある彼女には妙に似合っていた。
「難しいのか?」
「いや、私も子供のころから当たり前にできていたから、改めてどうやってって言われると分からないんだよね。とりあえず、水が出たらいいなーって思ったら水が出るし、火を出したいなーって思ったら出るから。ただどれくらい出るかはその日の体調とかにもよるし、あまり強いのは出ないし」
メルが立ち上がって左手を翳すと、人をすっぽりと包むくらいの大きさの水の塊が出来た。
ぶよぶよと水がうごめいていて、向こう側の真っ暗な森が見える部分と、炎を映している部分がある。実践して見せてくれるのはありがたいが、なんだか不気味だった。
メルが翳していた手を振り上げて、投げるような仕草をすると、水は勢いよく飛んだが、一メートルほどでそのまま地面に落ちて水たまりになった。量は多いけれどイメージとしてはバケツに溜めた水を撒いたような状態になっている。
「水はまぁまぁ強いから生き物を溺れさせる位は出来るけど狩りに使うには飛距離が足りない。飲んだりお風呂に使ったりする位かな。井戸が枯れたりした時は大活躍だけどね。温度を変えることもできるよ。でもお風呂くらいの温度が精々だけど」
今度は右手の拳に炎をまとって見せ、それを振り上げたが、今度は飛ぶことは無く右手で揺らめいている。飛ばすことは出来ないようだ。
「火はコレが精いっぱいで、飛ばせないから松明に火をつけるくらいの使い方しか出来ない。雷は使えたら狩りに役に立ちそうなんだけど適性が無いらしくて使えないし、風は風車を回すくらいしか思いつかないから使ったことない。結構不便なもんだろ。これでも村では一番クラヴィスが強いんだよ? といっても使えるの村長と私の家族だけだけど」
説明が簡単すぎてクラヴィスの使い方は全然わからないことは分かった。あと、失礼だけれど思っていた程彼女の魔法は強くないらしい。そりゃカヴァラなんてモンスター相手に戦える訳無い。
使い方次第でもっと有効活用出来そうだけれど、使えもしないクラヴィスで偉そうに使い方を伝授なんて出来るわけがないので口を噤む。
あと、やはりメルはさっきのカヴァラに対する電撃に関与していなさそうだ。別に疑っていたわけではないけれど、じゃぁ誰なのかという疑問が残るのでもやもやする。
それよりもクラヴィスだ。早めに習得しておかないとここで生きていくうえで困る。とりあえず肉を食べ終わったので、後始末をするべく、焚火に手を翳してみる。
メルの言に従うなら、思いうかべるだけで水が出て松明を消してくれる筈だ。
「水よ! 出ろーー!!」
シーン。という音が聞こえた気がした。
メルもキョトンとしている。
ものすっごく恥ずかしい。頭をかかえたいくらい。穴があったら入りたい。
とりあえず水の魔法の才能は無いようだ。メルだって雷魔法が使えないといっていたのでそういうことなのだろう。
「じゃ、じゃぁさっき出たっていう風魔法でこの焚火を吹き消してみよう」
今度こそと身構える。
さっきと違い肩幅に足を開き呼吸を整えて、風が焚火を吹き消すイメージを脳裏に描く。そして右手を振り上げ、腹の底から叫びながら振り下ろした。
「風よ! 火を吹き消せーー!!」
またもや、何も発動しない。
魔法とは無関係そうな寒々しい木枯らしがひゅるりーと通り過ぎた。気がした。
「俺、風魔法……クラヴィスだっけ? 使ったって言ってたよな!?」
「おかしいなぁ。あの威力は確かに風魔法だと思ったんだけど」
せめて笑ってくれれば良いけれど、メルは笑ってはいけないと凄い堪えている顔をしていて、目をそらしている。逆にすごく恥ずかしい。
結局焚火はメルが水魔法で消した。
「とにかく、明日村に戻ったら村長に聞いてみるよ。何かわかるかも。村長は村一番のクラヴィス使いだから。それでさ、悪いけど一泊だけ泊めてくれないか?」
「は? ご、ごめんなんて?」
何の力もこめていないような顔で焚火に水をかけたメルが、何てことないことのように言い出したので、思わず問い返してしまった。
ちょっと考えてみて欲しい、こちとら彼女居ない歴=年齢で彼女どころか友達すら居なくて、お泊りなんて経験一度もないのだ。ましてこんな芸能人真っ青の超絶美少女に「泊めて」なんて言われて「はい良いですよどうぞ」なんて言えるわけがない。
メルの友好的な雰囲気と可愛さでつい気を許してしまった感はあるが、会ったばかりの人間と一夜を共にするなどもってのほかだ。
「やっぱり、だめか?」
先程まで、朗らかに笑っていたメルが急に不安げな顔になって横を向いた。メルの視線につられて森を見ると、このあたり一帯は鬱蒼とした森で覆われていたことを思い出した。茂った木々の間からはいかにも何かが出てきそうだし、実際昼間カヴァラに襲われたばかりで、次また何が出てくるとも限らない。しかも、彼女の村はここから半日ほど歩くと言っていたので、時計の無い今が何時かは分からないが、村に着くころには真夜中になっているだろう。こんな中に一人で帰れなんて言えるわけがない。
「や、どうぞどうぞ泊って行って。ただ、本殿は寒いし、間仕切りも無いよ? メルこそ良いの?」
「ありがとう! この森の中を夜中に抜けることに比べれば天国だよ」
「それは確かに」
本殿というものは本来ご神体を祀る為だけにあるもので、人が暮らすことを想定していない。清掃は行き届いているが、典型的な日本家屋で隙間風が凄い。凍えるほどではないが、肌寒さはどうしようもない。
それにしても彼女の警戒心の無さはどうなんだろうかと少し心配になる。もちろん自分には彼女をどうこうなんて度胸は無いしわざわざ言うつもりはないが。
気を取り直して手水鉢で手を洗うとそのまま本殿に移動する。
メルは手水鉢なんて見たことないらしくかなり驚いていた。驚きすぎて隅々まで観察するので、真正面から手水鉢の竜の口を覗き込んで水浸しになっていた。
ちなみに、メルの服は胸と腰に二重でサラシのように布を巻いているので透けなかった。
そういえばこの場所ではお風呂に入れないことに気づいた。水浴びなら出来るが、タオルもないし、メルの前で裸になるのは無理だ。それに服は今着ている道着だけなので、濡らしてしまえば着るものが無い。
カヴァラから逃げた時に物凄く汗をかいたので出来ればさっぱりしたいんだけど……。なんて思っていたらメルが「じゃぁ身体洗おっか」と言い出した。
この時の俺の気持ちを150文字以内で述べよ。
「へ!? いや、ここお風呂無いから無理だ」
「大丈夫大丈夫私がお礼に洗ってあげるから」
「えぇ!? 洗ってくれるってガボ!?」
思わず近づいてくるメルの豊満な身体に目がいった瞬間全身を急激な流れのお湯に包まれた。いきなりお湯で満たされた洗濯機に突っ込まれたような感じで身体が翻弄される。息ができないし意味も分からない。文句を言いたいけれど何もできない。死ぬ。と思ったら急にお湯がふっと消えて、森の方でビシャビシャと水音が聞こえた。
身体はさっぱりしているし、道着も靴も乾いている。
だが爽快感はゼロで疲労感も感じる。
「いきなり何すんだ!?」
「あ、ごめん狩りの途中で野宿することになったらこれが当たり前だったもんで。気持ちよかったでしょ?」
そう言いながらメル自身も全身をお湯で包んで『グルグルポーイ』なんて効果音が聞こえそうな感じで身体の周りでお湯を回して森の方へ飛ばした。
洗ってくれたというのは間違いないが文句を言いたくなる気持ちも分かると思う。
せめて先に説明してくれと声を大にして言いたいが、メルは善意100%の顔で微笑んでいるので気がそがれてしまった。でも断じてお礼は言わない。
「じゃ、じゃぁ本殿に案内するよ。確か毛布があったと思う」
「モウフ? 保存食かなにか? もうお腹いっぱいだよ?」
「違う違う。寝るのに被る布だよ」
本殿に入ると、中央に御陵丸が収められていた厨子がある。周囲の壁の一部は小さな収納が沢山あり、昔神事で使ってきたものなどが収められている。その中でも一番目につきづらい壁際の収納をあけると手前に置かれた風呂敷包みが見えた。それをどけて奥に手を伸ばすと、記憶の通り毛布が出てきた。
もちろんこの毛布は俺が一目を避けて過ごす為に持ち込んだものだ。
こんなことになるなら食料等も持ち込んでおけば良かったと悔やまれる。
何気なく手渡すとメルが衝撃を受けた顔をして、撫でたりほおずりしたりして感触を確かめたりし始めた。
「何してんの?」
「これ凄い! こんな布初めて見た。どうやってこんなの作ってるの? キョウスケって王様!?」
「いや、そんなんじゃないよ。この毛布だって安物の筈だし」
「これが安物だなんて……。このお屋敷も凄いけど、あんたの着ている服も綺麗な色だし、凄い質が良いし、作りも丁寧だし。一体どんな所で暮らしてたんだか」
今まで意識したことは無かったけれど、毛布というのは毛が一本一本布に植えられているような感じだ。機械で作っている現代なら兎も角、手作業でつくるとなると途方もない作業だ。メルが驚くのも無理もない。
「一枚しかないからメルが使いなよ」
「いやそんな! いいよあんたが使いなよ。私は屋根があるだけで十分だ!」
メルは遠慮するが、女の子一人に寒い思いをさせて自分だけぬくぬく寝ていられる筈がないので勿論反論した。
結局その後、「メルが」「あんたが」という長い言い合いをしていたのは覚えているが、何故翌朝一つの毛布に包まって寝ていたのかはどうしても思い出せない。
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