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第六話 冷たい声
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「よっと。ふぅ、これで全部ですか?」
高津さんに運ぶのを頼まれた荷物を置いて、額の汗を拭いながら尋ねる。
「うむ、ご苦労だったな。あとは吾輩がやっておくから小僧は先に食卓に向かっていろ。そろそろ夕餉の始まる時間だろう」
書類の整理を続けながらそう返事を返された。
まだ仕事を中断する気はないらしい。
「あの、残りの仕分けは夕食のあとでもいいんじゃないですか? 時間に遅れるとアリスお嬢様に怒られますよ?」
夕食も朝食も住人全員で一緒にというのがお嬢様のこだわりだった。ここで働くことになってから一番最初に言われたのがそれだ。
『いい? 朝食と夕食は特別な用事がない限りちゃんと全員で食べるのよ。もし破ったら次の日は一日ご飯抜きだからね』
このお屋敷で住んでいるのは僕と高津さん、瑞江さん、それにアリスお嬢様だけだった。
コックはいないらしいので食事は毎食、瑞江さんが作っているそうだ。屋敷の大きさに対して人数が少なすぎると思うがそれでも仕事はきちんと回るらしい。
お嬢様の食事、というと使用人を後ろに並ばせた中で食事をするものだというイメージがあったので本人に聞いてみたら、
『大勢の人間に見られながら一人で食事をするののどこが楽しいのよ。人に囲まれてじっと見られながら食事とか、ただの罰ゲームじゃない』
と、事も無げに返事をされた。
「安心しろ小僧、エレガントな男とは飯時よりも前にやるべきことを終えておくものだ。私もすぐに仕分けを片付けて食卓へと向かう」
そうやって話しながらも高津さんはすごいスピードで荷物や書類の仕分けを進めていく。
手伝おうかとも思ったがこれだと逆に足でまといにしかなりそうにない。
「分かりました。先に行ってますね」
「うむ」
部屋をあとにすると、瑞江さんに『時間はきっちりと守ってくださいね』と言って渡された腕時計で時間を確認する。
時計の針は普段の夕食の時間よりも多少早い時間を示している。
この時間だとまだ瑞江さんは夕食の支度をしているかもしれない。
(今から行けば配膳くらいは手伝えるかな)
そうと決まれば善は急げと屋敷の中を歩き出す。
最初はあまりの広さに戸惑ってばかりだった屋敷の中も一週間もすれば覚えられた。
(………と、思ったんだけど)
「ここ、どこだろ」
いつの間にか見事に自分の居場所を見失っていた。
「どうしよう、そろそろ夕食も始まる時間なのに」
時計の針が示す時間は夕食の時間までそう遠くない。急がないと本当に遅れてしまう。
「えっと、多分こっちのほうだったと(←迷子の原因)」
おぼろげな記憶を頼りに屋敷の中を歩き出す。
と、遠くからかすかにピアノの音が聞こえてきた。
澄んだ水のように綺麗な音だ。
「………これ、お嬢様の……」
音の聞こえる方へと一歩踏み出す。
「………」
ふらり、ふらりと引き寄せられる。
少しだけ開かれた扉の隙間から、その音は聞こえてきていた。
この部屋はアリスお嬢様の楽器の練習部屋だ。
ここに来てからの数日、学校を終えて帰宅したお嬢様は毎晩欠かさずにこの部屋でピアノを弾いている。
(今日はたしかお昼すぎからだったけど、六時間近くずっと弾いてたのかな)
少しだけ空いた扉の隙間からそっと中を覗き見る。
部屋の中にはピアノに向かうアリスお嬢様の姿があった。
白と黒の鍵盤の上を踊るように指が駆ける。
「………BWV1061、J.S.バッハの協奏曲ハ長調第二番、『二台のチェンバロのための協奏曲』」
「あら、お詳しいんですね」
「あ、瑞江さん」
と、奥の廊下からやって来た瑞江さんが近くに寄ってきた。
「もうそろそろ夕食です、遅れないようにしてくださいね」
「あ、はい………あの」
「? なんですか?」
扉の取っ手に手をかけた瑞江さんを呼び止める。
「アリスお嬢様、毎日ああやってピアノを弾いてますけど、吹奏楽部だったりするんですか?」
「いえ、違いますよ。アリスの専門はヴァイオリンですから」
そう言われて始めてあった時にヴァイオリンを大切そうに抱えていたお嬢様を思い出す。
「じゃあ、どうしてこんなにピアノを………」
「それが……」
はぁ、と瑞江さんはため息をついた。
「その、玖炎家の本家の方と色々とありまして。玖炎家が主催することになっているパーティで私と二台ピアノの演奏することになってしまって」
「瑞江さんもピアノ弾けるんですか?」
「まぁ、お耳汚しにならない程度に、ですが」
そう言って瑞江さんは曖昧に笑う。
二台ピアノはピアノデュオともいう。
その名のとおり二台のピアノで二人以上の演奏者が一つの曲を演奏する形式のことだ。
「だったら、二人で弾いて合わせなくてもいいんですか?」
二台ピアノで協演するのなら演奏者同士、お互いの間を掴んでいる必要がある。
けれど、屋敷の中で二台のピアノの音が聞こえてきたことはない。
「パーティーは2週間後ですので、一週間前ぐらいから合わせ始めようかと。ある程度の技術を定着させてからでないと上達に支障が出てしまいますから。それに二人で合わせ弾きしていると細い指のタッチについて指導することができませんし」
(瑞江さんがお嬢さまにピアノを教えてるんだ)
「って、あれ? 瑞江さん、今日もアリスお嬢様に指導してたんですよね?」
「ええ、今の今まで」
「………いつ夕食の支度したんですか」
「それは、メイドですから」
そう言って瑞江さんは微笑んだ。
いや、メイドとかそういう問題じゃない気が……。
「それよりも夕食のあとは時間はありますか?」
「え? 特にやることもないですけど………」
仕事が終われば基本的に夜は自由な時間がもらえていたが、かと言ってなにか時間を潰せるようなものもない。
昨日のように疲れてすぐに寝てしまうような日もあったが、基本的には暇を持て余していた。
「でしたら、海人くんも一緒にピアノを弾いてみませんか? 少しぐらいでしたらアリスにもちょうどいい息抜きに………」
「遠慮します、僕はピアノは弾きません」
そんな風に問われたのが久しぶりだったからだろうか。
自分でも、驚くほどに声は冷たく響いた。
「………」
「あっ、その、お誘いは嬉しいんですけど僕、そういうのあまり上手に弾けないので、アリスお嬢様の調子を狂わせちゃ悪いですから」
まずい、変に思われちゃったかもしれない。
咄嗟に言い繕ってみたけど微妙な空気までは拭いきれない。
「あの、それじゃあ先に食堂の方に行ってますね」
「そうですか、私もすぐにアリスを連れていきますので配膳を進めていてもらえますか?」
「分かりました、それじゃ」
そう言って、その場から逃げるように歩き出した。
☆
「分かりました、それじゃ」
取り繕うように笑ってその場を早足で去っていった少年を見つめる。
(……やはり、あの脚のラインは長ズボンを着させておくには勿体ない逸材ですね)
うっとりとその後ろ姿を堪能したあと、今度は一転して沈んだ調子でつぶやく。
「………それにしても、話に聞いていた以上に根が深そうじゃないですか。これは骨を折りそうです」
(もっとも、そこまで行き着いてしまったからこそあの男も私に泣きついてきたのでしょうけど………あの朴念仁、次に会った時に文堂屋のレモンケーキを山程おごらせることにしましょう)
『うにゃああああっ!! うまく弾けないーっ!!』
「っと、こちらもそろそろ限界のようですね」
扉の隙間から聞こえてきていたピアノの音はいつの間にか止んでいた。
代わりに聞こえてくるのはアリスのうめき声だけだった。
小さくため息をついたあと、扉を開けて椅子にもたれてのけぞるように脱力している主のもとへと歩み寄っていった。
高津さんに運ぶのを頼まれた荷物を置いて、額の汗を拭いながら尋ねる。
「うむ、ご苦労だったな。あとは吾輩がやっておくから小僧は先に食卓に向かっていろ。そろそろ夕餉の始まる時間だろう」
書類の整理を続けながらそう返事を返された。
まだ仕事を中断する気はないらしい。
「あの、残りの仕分けは夕食のあとでもいいんじゃないですか? 時間に遅れるとアリスお嬢様に怒られますよ?」
夕食も朝食も住人全員で一緒にというのがお嬢様のこだわりだった。ここで働くことになってから一番最初に言われたのがそれだ。
『いい? 朝食と夕食は特別な用事がない限りちゃんと全員で食べるのよ。もし破ったら次の日は一日ご飯抜きだからね』
このお屋敷で住んでいるのは僕と高津さん、瑞江さん、それにアリスお嬢様だけだった。
コックはいないらしいので食事は毎食、瑞江さんが作っているそうだ。屋敷の大きさに対して人数が少なすぎると思うがそれでも仕事はきちんと回るらしい。
お嬢様の食事、というと使用人を後ろに並ばせた中で食事をするものだというイメージがあったので本人に聞いてみたら、
『大勢の人間に見られながら一人で食事をするののどこが楽しいのよ。人に囲まれてじっと見られながら食事とか、ただの罰ゲームじゃない』
と、事も無げに返事をされた。
「安心しろ小僧、エレガントな男とは飯時よりも前にやるべきことを終えておくものだ。私もすぐに仕分けを片付けて食卓へと向かう」
そうやって話しながらも高津さんはすごいスピードで荷物や書類の仕分けを進めていく。
手伝おうかとも思ったがこれだと逆に足でまといにしかなりそうにない。
「分かりました。先に行ってますね」
「うむ」
部屋をあとにすると、瑞江さんに『時間はきっちりと守ってくださいね』と言って渡された腕時計で時間を確認する。
時計の針は普段の夕食の時間よりも多少早い時間を示している。
この時間だとまだ瑞江さんは夕食の支度をしているかもしれない。
(今から行けば配膳くらいは手伝えるかな)
そうと決まれば善は急げと屋敷の中を歩き出す。
最初はあまりの広さに戸惑ってばかりだった屋敷の中も一週間もすれば覚えられた。
(………と、思ったんだけど)
「ここ、どこだろ」
いつの間にか見事に自分の居場所を見失っていた。
「どうしよう、そろそろ夕食も始まる時間なのに」
時計の針が示す時間は夕食の時間までそう遠くない。急がないと本当に遅れてしまう。
「えっと、多分こっちのほうだったと(←迷子の原因)」
おぼろげな記憶を頼りに屋敷の中を歩き出す。
と、遠くからかすかにピアノの音が聞こえてきた。
澄んだ水のように綺麗な音だ。
「………これ、お嬢様の……」
音の聞こえる方へと一歩踏み出す。
「………」
ふらり、ふらりと引き寄せられる。
少しだけ開かれた扉の隙間から、その音は聞こえてきていた。
この部屋はアリスお嬢様の楽器の練習部屋だ。
ここに来てからの数日、学校を終えて帰宅したお嬢様は毎晩欠かさずにこの部屋でピアノを弾いている。
(今日はたしかお昼すぎからだったけど、六時間近くずっと弾いてたのかな)
少しだけ空いた扉の隙間からそっと中を覗き見る。
部屋の中にはピアノに向かうアリスお嬢様の姿があった。
白と黒の鍵盤の上を踊るように指が駆ける。
「………BWV1061、J.S.バッハの協奏曲ハ長調第二番、『二台のチェンバロのための協奏曲』」
「あら、お詳しいんですね」
「あ、瑞江さん」
と、奥の廊下からやって来た瑞江さんが近くに寄ってきた。
「もうそろそろ夕食です、遅れないようにしてくださいね」
「あ、はい………あの」
「? なんですか?」
扉の取っ手に手をかけた瑞江さんを呼び止める。
「アリスお嬢様、毎日ああやってピアノを弾いてますけど、吹奏楽部だったりするんですか?」
「いえ、違いますよ。アリスの専門はヴァイオリンですから」
そう言われて始めてあった時にヴァイオリンを大切そうに抱えていたお嬢様を思い出す。
「じゃあ、どうしてこんなにピアノを………」
「それが……」
はぁ、と瑞江さんはため息をついた。
「その、玖炎家の本家の方と色々とありまして。玖炎家が主催することになっているパーティで私と二台ピアノの演奏することになってしまって」
「瑞江さんもピアノ弾けるんですか?」
「まぁ、お耳汚しにならない程度に、ですが」
そう言って瑞江さんは曖昧に笑う。
二台ピアノはピアノデュオともいう。
その名のとおり二台のピアノで二人以上の演奏者が一つの曲を演奏する形式のことだ。
「だったら、二人で弾いて合わせなくてもいいんですか?」
二台ピアノで協演するのなら演奏者同士、お互いの間を掴んでいる必要がある。
けれど、屋敷の中で二台のピアノの音が聞こえてきたことはない。
「パーティーは2週間後ですので、一週間前ぐらいから合わせ始めようかと。ある程度の技術を定着させてからでないと上達に支障が出てしまいますから。それに二人で合わせ弾きしていると細い指のタッチについて指導することができませんし」
(瑞江さんがお嬢さまにピアノを教えてるんだ)
「って、あれ? 瑞江さん、今日もアリスお嬢様に指導してたんですよね?」
「ええ、今の今まで」
「………いつ夕食の支度したんですか」
「それは、メイドですから」
そう言って瑞江さんは微笑んだ。
いや、メイドとかそういう問題じゃない気が……。
「それよりも夕食のあとは時間はありますか?」
「え? 特にやることもないですけど………」
仕事が終われば基本的に夜は自由な時間がもらえていたが、かと言ってなにか時間を潰せるようなものもない。
昨日のように疲れてすぐに寝てしまうような日もあったが、基本的には暇を持て余していた。
「でしたら、海人くんも一緒にピアノを弾いてみませんか? 少しぐらいでしたらアリスにもちょうどいい息抜きに………」
「遠慮します、僕はピアノは弾きません」
そんな風に問われたのが久しぶりだったからだろうか。
自分でも、驚くほどに声は冷たく響いた。
「………」
「あっ、その、お誘いは嬉しいんですけど僕、そういうのあまり上手に弾けないので、アリスお嬢様の調子を狂わせちゃ悪いですから」
まずい、変に思われちゃったかもしれない。
咄嗟に言い繕ってみたけど微妙な空気までは拭いきれない。
「あの、それじゃあ先に食堂の方に行ってますね」
「そうですか、私もすぐにアリスを連れていきますので配膳を進めていてもらえますか?」
「分かりました、それじゃ」
そう言って、その場から逃げるように歩き出した。
☆
「分かりました、それじゃ」
取り繕うように笑ってその場を早足で去っていった少年を見つめる。
(……やはり、あの脚のラインは長ズボンを着させておくには勿体ない逸材ですね)
うっとりとその後ろ姿を堪能したあと、今度は一転して沈んだ調子でつぶやく。
「………それにしても、話に聞いていた以上に根が深そうじゃないですか。これは骨を折りそうです」
(もっとも、そこまで行き着いてしまったからこそあの男も私に泣きついてきたのでしょうけど………あの朴念仁、次に会った時に文堂屋のレモンケーキを山程おごらせることにしましょう)
『うにゃああああっ!! うまく弾けないーっ!!』
「っと、こちらもそろそろ限界のようですね」
扉の隙間から聞こえてきていたピアノの音はいつの間にか止んでいた。
代わりに聞こえてくるのはアリスのうめき声だけだった。
小さくため息をついたあと、扉を開けて椅子にもたれてのけぞるように脱力している主のもとへと歩み寄っていった。
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