兄が変態すぎたので家出して逃げ込んだ先はまたしても変態比率が高かったようでどうやら僕の救いはお嬢様だけなようです。

アララギ

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プロローグ

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  白と黒の線が踊る。
  目が、耳が、手が、皮膚が、体の全てがたった一つの形を生み出すためだけにつくり変わる。
  怒るように、叩くように、跳ねるように、駆けるように、叫びぶように。
  他人を、自分を、世界を魅了する音を紡ぎ出す。
  楽しくて、ただ、面白くて。
  一つの音を。一つの曲を。一つの歌を。
  そっと、少しでも誰かに伝えられればそれできっと満足で。
  たったそれだけ、それだけのことでよかったのに。
  何かを抱えられるほど、僕は強い人間じゃなかった。
  僕はすべての音を捨てようと思ったんだ。
  あの完成が、歓声が、喚声が。
  薄れて、褪せて、そして………いつか、消えてなくなるように。
  あの日の間違いだらけの弱かった僕は、逃げ出すように諦めて、自分で音を捨てたんだ。
  何よりも、誰よりも、自分を許すことができなかったから。
  僕の世界に二度目の雪が降った、12歳の冬の日。
  僕はピアニストであることをやめた。
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