英雄に捨てられた平民は王子に拾われる

工事巴

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王子の拾い物

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 家を追い出された私は、夜の街をおぼつかない足取りでふらつき歩く。
 行く当てなど一切なく、愛していた人に捨てられ、もはや生きる気力さえ消えかけていた。
 外は夜遅く、冷たい風が吹いているため、風を少しでも防ぐために、路地裏で物陰に座り込む。

 「寒いなぁ…、なんだか眠気が…」

 冷たい風によって、体温がどんどん奪われていく、フィアに眠気が襲い掛かり、目を閉じさせる。

 「このまま眠り続けられたらいいなぁ」

 そしてフィアは意識を閉じた。


 「もしもーし」

 「........]

 「お~い」

 「........」

 「おいってば!」

 何者かから声をかけられ、意識が覚醒していく

 だんだんと意識を取りもどし、目をあけると、外はいつの間にか日がでていた。
 私は寝ていたのかと思いだし、そういえば声が聞こえたなとその方い目を向ける。

 「おはよ、やっと起きたね」

 目の前にはルーデシア王国次期国王レオ・フォン・ルーデシアその人がいた。
 
 「な、なぜこんなところに殿下が...」

 「それは、こっちのセリフでもあるかな~、女の子が路地裏で一人で寝てるなんて襲われても文句言えないよ」

 「....それならそれでもいいんです。もう未練なんてないですから」

 「なにやら訳ありみたいだね。よかったら話聞くよ?」

 「い、いえ殿下にそのようなことしていただくわけには」

 「いや、いいんだよ。今日は終戦のパレードが面倒だから抜けてきて暇なんだ。王子に相談できるなんて経験なかなかないよ?言っちゃえ言っちゃえ」

 私は王子に諭されるがままに、今までの出来事を殿下に話した。

 「なるほど、それは辛かっただろうに」

 殿下はそう言って私の頭をなでてくれた。それだけで私は救われたような気がして、涙が流れる。

 「終戦して、国はこれからより、平和で幸せな方向へと向かう時に不幸な人がいるのはゆるせないな~」

 「あはは、いいんです。人に話して、少しすっきりしました。とりあえず住み込みの仕事でも探して、頑張ろうと思います。」

 「そうか、前向きになれたならよかったよ。じゃあ行こうか」

 「え、行く? どこへですか?」

 「え?王城だよ。」

 



 「はい、それではいいですか。王城で働くというのはとても光栄なことです、なので常に最新の注意をしながら仕事をするよう心がけてください。ましては私たちの仕事は王太子殿下のお世話係、常に気を引き締めてください。」

 私は王子に拾われて、王城で働くメイドさんになりました。
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