【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】

第72回『朗読劇「煮込み人間」とは、映画「泥濘み」の脚色なのであります』

マッチング朗読会で上演された『煮込み人間』
なんかワタクシの脚本だけ、エンタメ都市伝説Jホラーって感じでしたね。
他は文学的、幻想的、あるいは軽めだったり。
でも、実際に見て聴いてみたら、あえて削ってしまった残酷描写をもっと出しておいてよかったかもと思いました。

そう、この『煮込み人間』
昨年上映、今年DVDリリースされたオムニバス映画『現代怪奇百物語　怪談短編集』の一編『泥濘み』を脚色したものなんです。
メーカーの許可は取ってあります。
本当は小説版も書きたかったのですけれど、まったく手を付ける余裕がなくて。

この『煮込み人間』（『泥濘み』）
10年以上前に、とあるオムニバスホラー企画として書いたものです。
実際に撮影・完成したらしいのですが、ワタクシは映像本編を見ていません。
なぜならお蔵入りになったから。
会社のビジネス上の何かがあったらしく。
おそらく永久封印と思われます。

そんないわくつきの脚本が残されたので、いつか何かに使えればと。
それが数年前、とある方が短編自主制作映画を作るというので、この脚本を提案しました。
採用されたものの、脚本は監督の手によって別物に書き変わり、ワタクシは原作として名前を残していただけました。
映画自体は完成し、違うタイトルでこの世に発表されています。
ただし、ワタクシはあえて映像本編も決定稿脚本も見ないことにしました。
ホラーではないみたいです。

またしても呪われた脚本が残りました。
ふと昨年1月におこなわれた某ホラー企画募集に提案し、YouTubeライブ配信での選考会で選には漏れたものの、それなりの評価がありまして。
（その時のもう1本が『呪胎』！）

もしかしたら、ワタクシはホラーの分野でもやれるのではという可能性を見出し、昨年4月にラミアプロジェクトさんのホラー脚本家募集に申し込んだ際、この2本を提出し、即決となったのでした。

こうして呪われし脚本は『泥濘み』として映像化され、『煮込み人間』として朗読劇化されました。
あきらめずに続けていれば、いつかきっと叶うのです。

そして気づけば、短編ホラー映画を書きまくるだけでなく、自ら好き好んで短編ホラー小説まで手を広げることになりました。
人生は分からないものです。