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大人のハロウィン目指してみました!
煽りすぎたみたいデス
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到着したお店は、商店街にある中ではかなり大きい部類だ。テイストはよく分からないというか、多国籍料理のお店っぽくて、通されたのは半個室みたいな感じ。三方が壁で、小さめのテーブルを挟んで四人がけソファ。立ち歩けるほどのスペースはないんだけど、通路から少し高くなっていて、靴を脱いで座る仕様らしい。
(正直助かる……)
ヒールを履いてる時間は短いほどヨシ。
向かい合って腰掛けている瑛介さん、タブレットを真ん中に置いて、私が眺めている前でいくつか注文していく。
一品が少し多めというかシェア前提メニューらしいので、自分が食べてみたいものとドリンクを注文。
「あの、アルコール頼んでくれたらいいですよ? 昼間ではあるけど」
多分未成年の私を慮ってのことだと思って提言してみる。
(正直、ほろ酔いの瑛介さんも見てみたい)
欲望は顔に出さないように、うん。出してないはず。
なのに瑛介さんは軽く首を振った。
「いや、飲むのはお前の誕生日って決めてる」
「あ、前にも少し言ってましたね。誕生日、一緒にいてくれる予定なの、嬉しい、デス」
次の誕生日で二十歳だ。四月十二日、平日か休日か知らないけど。
もじもじしながら返すと、「可愛い」って囁き声ゲットしたんですがどうしましょうかね。
スマホで録音したいからもっかい言ってって頼んだら断られました。ケチ!
そんなこんなの間に注文品も出揃いました! デザートだけは後で届くそうですよ。
最後に下がっていく店員さんが、入り口の薄手カーテンをシャーッと閉めて、抑えめの光量の下でランチ。
(なんか、安心すべきなのか緊張するとこなのかわからん!)
頭抱えてウガーッて喚きたい。脳内マメ嬢が悶えてます。
(カーテンは気遣い、気遣いなんだろうけど!)
多分百面相をしている私を見て、
「コート汚れるぞ?」
って、瑛介さんが声を掛けてきた。
自分のジャケットは、席に着くなりさっさと脱ぎ、軽く畳んで置いてある。
「そ、ソウデスネ」
カタコトになりながら、そうっとボタンを外していく。
例の遊びゴコロの件で、試合後に軽く冗談めかして「じゃ、コスプレ楽しみにしてる」って瑛介さんは一度言ったものの、その後は触れてこなかった。
冗談だよって流してくれる雰囲気なのは解ってる。
解ってるんだけど、流されたとはいえ一度受けた勝負なので、約束やぶるなんてしたくなくて。
(あと、瑛介さん、どんな顔するかも興味ある……っていうか)
ごくんと唾を飲んで、私と一緒に食べ始めるつもりで待ってくれている瑛介さんを上目に見つめる。ここで初めて、瑛介さんが少し不審そうな表情になった。
肩から落とすように、コートをずらしていく。顕わになる剥き出しの肩に鎖骨からの延長線で掛かっているだけの細いチェーン。ビスチェの胸の部分はハート型にくり抜かれていて、コルセットみたいなウエストは紐でキュッと締め上げてある。
(む、胸も、少しだけど自信あるんだから)
外さない視線の先で、瑛介さんが唾を飲むのが分かった。
コートをハンドバッグの上に放置して、立ち上がる。テーブルは太腿の中程の高さなので、そのまま片脚をソファに上げて、膝をついてみる。
(コスプレイヤーさん見て参考にしたポーズですよ。どですか!?)
今度は斜めに見下ろす感じになり、気持ち股の辺りを隠すだけの布切れでしかないスカートを気にしながらも、視線は瑛介さんに。
ええ、胸からどんどん下にいってますね。ガーター気になるよね? ですよね? 初めて付けたからドッキドキなんだけどね。
「ど、デスカ?」
「あー」
うわぁ、って声に出してるけど、ひかれてはいない様子。うん、良かった。
「そのカッコで街中歩いてたんだ」
右手で口元を覆ってしきりに瞬きしてるけど、視線は胸と脚ですね。正直でよろしい。
「格好そのものよりも、瑛介さんと会える緊張とかの方が大きかったので、なんてことないっていうか」
「――そっか」
「ちなみに下着も黒です」
「そっか」
「確かめなくていいです?」
「できるか!」
クワって、目を見開かれてしまった。
「じゃあ、触ります? 前回、また今度な的なこと言ってたし」
「あー……その今度は今じゃねえ」
「ふうん」
そっかーと言いながら足をおろして腰掛け直すと、ホッとしたような残念なような複雑な顔してますね。
「意地っ張りか!」
ボソッと、でも強めに呟いたら、睨みつけるような視線が。いやーん。
「お前な……おぼえてろよ。次の次の誕生日とか前回言ったの撤回」
「え」
唇のキスが次で、その次ってやつ?
「次の誕生日にまとめて全部だ。煽ったのお前なんだから、遠慮しねえからな」
「ぜんぶ……」
(って、つまり)
勝負のつもりで勢いでやっちゃったけど、その意味に思い当たった途端に紅潮するのがわかる。
(やりすぎた、かなぁ)
すっかり汗をかいているグラスをコースターから引き剥がして、二人でグラスを合わせる。
この中身が、ジュースじゃなくてアルコールになった日に、大人のアレコレもやっちゃうんですね……!
食事を始めた瑛介さんの視線が八割方胸にきてるのを感じながらも、春が楽しみになる私なのだった。
了
(正直助かる……)
ヒールを履いてる時間は短いほどヨシ。
向かい合って腰掛けている瑛介さん、タブレットを真ん中に置いて、私が眺めている前でいくつか注文していく。
一品が少し多めというかシェア前提メニューらしいので、自分が食べてみたいものとドリンクを注文。
「あの、アルコール頼んでくれたらいいですよ? 昼間ではあるけど」
多分未成年の私を慮ってのことだと思って提言してみる。
(正直、ほろ酔いの瑛介さんも見てみたい)
欲望は顔に出さないように、うん。出してないはず。
なのに瑛介さんは軽く首を振った。
「いや、飲むのはお前の誕生日って決めてる」
「あ、前にも少し言ってましたね。誕生日、一緒にいてくれる予定なの、嬉しい、デス」
次の誕生日で二十歳だ。四月十二日、平日か休日か知らないけど。
もじもじしながら返すと、「可愛い」って囁き声ゲットしたんですがどうしましょうかね。
スマホで録音したいからもっかい言ってって頼んだら断られました。ケチ!
そんなこんなの間に注文品も出揃いました! デザートだけは後で届くそうですよ。
最後に下がっていく店員さんが、入り口の薄手カーテンをシャーッと閉めて、抑えめの光量の下でランチ。
(なんか、安心すべきなのか緊張するとこなのかわからん!)
頭抱えてウガーッて喚きたい。脳内マメ嬢が悶えてます。
(カーテンは気遣い、気遣いなんだろうけど!)
多分百面相をしている私を見て、
「コート汚れるぞ?」
って、瑛介さんが声を掛けてきた。
自分のジャケットは、席に着くなりさっさと脱ぎ、軽く畳んで置いてある。
「そ、ソウデスネ」
カタコトになりながら、そうっとボタンを外していく。
例の遊びゴコロの件で、試合後に軽く冗談めかして「じゃ、コスプレ楽しみにしてる」って瑛介さんは一度言ったものの、その後は触れてこなかった。
冗談だよって流してくれる雰囲気なのは解ってる。
解ってるんだけど、流されたとはいえ一度受けた勝負なので、約束やぶるなんてしたくなくて。
(あと、瑛介さん、どんな顔するかも興味ある……っていうか)
ごくんと唾を飲んで、私と一緒に食べ始めるつもりで待ってくれている瑛介さんを上目に見つめる。ここで初めて、瑛介さんが少し不審そうな表情になった。
肩から落とすように、コートをずらしていく。顕わになる剥き出しの肩に鎖骨からの延長線で掛かっているだけの細いチェーン。ビスチェの胸の部分はハート型にくり抜かれていて、コルセットみたいなウエストは紐でキュッと締め上げてある。
(む、胸も、少しだけど自信あるんだから)
外さない視線の先で、瑛介さんが唾を飲むのが分かった。
コートをハンドバッグの上に放置して、立ち上がる。テーブルは太腿の中程の高さなので、そのまま片脚をソファに上げて、膝をついてみる。
(コスプレイヤーさん見て参考にしたポーズですよ。どですか!?)
今度は斜めに見下ろす感じになり、気持ち股の辺りを隠すだけの布切れでしかないスカートを気にしながらも、視線は瑛介さんに。
ええ、胸からどんどん下にいってますね。ガーター気になるよね? ですよね? 初めて付けたからドッキドキなんだけどね。
「ど、デスカ?」
「あー」
うわぁ、って声に出してるけど、ひかれてはいない様子。うん、良かった。
「そのカッコで街中歩いてたんだ」
右手で口元を覆ってしきりに瞬きしてるけど、視線は胸と脚ですね。正直でよろしい。
「格好そのものよりも、瑛介さんと会える緊張とかの方が大きかったので、なんてことないっていうか」
「――そっか」
「ちなみに下着も黒です」
「そっか」
「確かめなくていいです?」
「できるか!」
クワって、目を見開かれてしまった。
「じゃあ、触ります? 前回、また今度な的なこと言ってたし」
「あー……その今度は今じゃねえ」
「ふうん」
そっかーと言いながら足をおろして腰掛け直すと、ホッとしたような残念なような複雑な顔してますね。
「意地っ張りか!」
ボソッと、でも強めに呟いたら、睨みつけるような視線が。いやーん。
「お前な……おぼえてろよ。次の次の誕生日とか前回言ったの撤回」
「え」
唇のキスが次で、その次ってやつ?
「次の誕生日にまとめて全部だ。煽ったのお前なんだから、遠慮しねえからな」
「ぜんぶ……」
(って、つまり)
勝負のつもりで勢いでやっちゃったけど、その意味に思い当たった途端に紅潮するのがわかる。
(やりすぎた、かなぁ)
すっかり汗をかいているグラスをコースターから引き剥がして、二人でグラスを合わせる。
この中身が、ジュースじゃなくてアルコールになった日に、大人のアレコレもやっちゃうんですね……!
食事を始めた瑛介さんの視線が八割方胸にきてるのを感じながらも、春が楽しみになる私なのだった。
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