183 / 190
Sixth Contact SAY YES
17
しおりを挟む
ポスンッ。新菜は仕事が終わって家に着くなり、スーツのままベッドに倒れ込んだ。
(何で今頃また……?)
右手に持っていたポケットベルのメインスイッチを押し、満からのメッセージを表示させてみる。
(何を思って……どんな事考えながら鳴らしてきたんだよ……)
消えてもまだ液晶を見つめていた新菜は、仰向けで前髪を掻き上げた。
「テメーの事も入れろって」
苦笑しながら、もう一度表示させて呟く。
仕事中いつもは鞄の中で振動にしているのだが、また満から鳴るかもと淡い期待をして、今日はスーツのポケットにずっと入れていた。
カラオケ、雑談で騒がしい店の中、まして仕事中にメロディー設定に出来る筈もなく、たまに鳴ったのに気付かない時もあるので、度々ポケットに手を入れてメインスイッチを押して確認もしてしまった。だが、鳴っていたかと思うと円華や唯らからのもので期待を裏切られ、それならまだしもベルトモニナロウとか訳の分からないメッセージが入っていたりすると苛立ちながら即消去していた。
しかし、肝心の満からは、あれから一度も鳴る事はなかったのだった。
(ゲンキ? だけ入ってて、まさかその返答する為に電話するワケにもいかねえし……。まだ自宅番号とかなら掛ける事は容易いのに)
翔子のお陰で満と話すチャンスがあったにも拘らず、結局どういう態度でいれば良いのか悩んでいる内に帰られてしまい、後悔している新菜であった。
だからといって、自分から連絡も取れずあのままの状況の今、こういう風に満からのたった一言のメッセージでうろたえてしまい、相手が何を考えて打って来たのか思い煩っていた。
(もうツレとしてしか見ないって事? それとも、もう完璧ふっきったって事? どっちにしても一緒か……)
色々悩んでみても、結局本人に訊かない限り答えは出て来ない。
(好きな女でも出来た……かな。満くん優しいし、もしかして彼女出来たとか……。
けど彼女出来ちゃったら、あたしなんかよりも彼女に連絡すっか……)
体を起こしてベッドの縁に腰掛けると、テーブルの上の煙草に手を伸ばした。
組んだ足の上に肘を載せ、煙を天井に向かって吐く。いつもそうしているので、天井の木目も元の色が分からないくらい煤けていた。
(どうしよう……どうしたらいいのかな……?)
もやもやとはっきりしない気持ちを抱えたまま、何かが何処かに引っ掛かっているような奇妙な感覚に苛立ちながら、答えの出ない問いを繰り返していた。
「う~~~~~ん」
ベッドの上で胡坐を掻き、翔子は煙草を片手に前髪を掻き上げた。
(電話待ってっから、とか言われても、どーすりゃいいのよぉっ! 浩司くんの事好きだから他の女と仲良くして欲しくないし、体だけっつっても抱いて欲しくもねえし! けど、私の彼じゃないからんな事言えた義理じゃねぇし。でも正直ホントそんなのヤだし、かと言って諦めらんねーし。
簡単に諦められるんなら初めから好きになんかなってないって! これから先、もしかして好きになってくれっかもしれんし、だったら待ってるっきゃないじゃん! けど……その間も他の女抱くんだよなぁ――
考えてみりゃ青葉さんだって、あんなに新菜さんにモーションかけてんのに、他の女抱いてんだもんな。やっぱり男ってそんなもんなんかな……でもヤだよ……なんで金なんかで割り切ってH出来んの? 女嫌いでも、それとこれとは別なん?)
翔子は、煙草の火を灰皿に押し付けると、クッションを抱き締めた。
(『可愛い』なんて初めて浩司くんの口から直接聞けた時は、我が耳疑ったわよっ。そーゆー事、女になんて絶対言えそうにない人だし……。少しは気にしてくれてる? 恋愛感情はないって言ってたけど、ちょっとは好感持ってくれてんの?)
頭の中にクエスチョンマークが飛び回っている。浩司の発言に対しての結論は出やしないけど、結局ハッキリしている事は一つだけ。
(私は浩司くんの事誰よりも好き。ここまで来たら、あとは惚れさせるっきゃねーじゃんっ!)
ギュッとクッションを抱く腕に力を込めると、決意を漲らせて顔を上げた。
(何で今頃また……?)
右手に持っていたポケットベルのメインスイッチを押し、満からのメッセージを表示させてみる。
(何を思って……どんな事考えながら鳴らしてきたんだよ……)
消えてもまだ液晶を見つめていた新菜は、仰向けで前髪を掻き上げた。
「テメーの事も入れろって」
苦笑しながら、もう一度表示させて呟く。
仕事中いつもは鞄の中で振動にしているのだが、また満から鳴るかもと淡い期待をして、今日はスーツのポケットにずっと入れていた。
カラオケ、雑談で騒がしい店の中、まして仕事中にメロディー設定に出来る筈もなく、たまに鳴ったのに気付かない時もあるので、度々ポケットに手を入れてメインスイッチを押して確認もしてしまった。だが、鳴っていたかと思うと円華や唯らからのもので期待を裏切られ、それならまだしもベルトモニナロウとか訳の分からないメッセージが入っていたりすると苛立ちながら即消去していた。
しかし、肝心の満からは、あれから一度も鳴る事はなかったのだった。
(ゲンキ? だけ入ってて、まさかその返答する為に電話するワケにもいかねえし……。まだ自宅番号とかなら掛ける事は容易いのに)
翔子のお陰で満と話すチャンスがあったにも拘らず、結局どういう態度でいれば良いのか悩んでいる内に帰られてしまい、後悔している新菜であった。
だからといって、自分から連絡も取れずあのままの状況の今、こういう風に満からのたった一言のメッセージでうろたえてしまい、相手が何を考えて打って来たのか思い煩っていた。
(もうツレとしてしか見ないって事? それとも、もう完璧ふっきったって事? どっちにしても一緒か……)
色々悩んでみても、結局本人に訊かない限り答えは出て来ない。
(好きな女でも出来た……かな。満くん優しいし、もしかして彼女出来たとか……。
けど彼女出来ちゃったら、あたしなんかよりも彼女に連絡すっか……)
体を起こしてベッドの縁に腰掛けると、テーブルの上の煙草に手を伸ばした。
組んだ足の上に肘を載せ、煙を天井に向かって吐く。いつもそうしているので、天井の木目も元の色が分からないくらい煤けていた。
(どうしよう……どうしたらいいのかな……?)
もやもやとはっきりしない気持ちを抱えたまま、何かが何処かに引っ掛かっているような奇妙な感覚に苛立ちながら、答えの出ない問いを繰り返していた。
「う~~~~~ん」
ベッドの上で胡坐を掻き、翔子は煙草を片手に前髪を掻き上げた。
(電話待ってっから、とか言われても、どーすりゃいいのよぉっ! 浩司くんの事好きだから他の女と仲良くして欲しくないし、体だけっつっても抱いて欲しくもねえし! けど、私の彼じゃないからんな事言えた義理じゃねぇし。でも正直ホントそんなのヤだし、かと言って諦めらんねーし。
簡単に諦められるんなら初めから好きになんかなってないって! これから先、もしかして好きになってくれっかもしれんし、だったら待ってるっきゃないじゃん! けど……その間も他の女抱くんだよなぁ――
考えてみりゃ青葉さんだって、あんなに新菜さんにモーションかけてんのに、他の女抱いてんだもんな。やっぱり男ってそんなもんなんかな……でもヤだよ……なんで金なんかで割り切ってH出来んの? 女嫌いでも、それとこれとは別なん?)
翔子は、煙草の火を灰皿に押し付けると、クッションを抱き締めた。
(『可愛い』なんて初めて浩司くんの口から直接聞けた時は、我が耳疑ったわよっ。そーゆー事、女になんて絶対言えそうにない人だし……。少しは気にしてくれてる? 恋愛感情はないって言ってたけど、ちょっとは好感持ってくれてんの?)
頭の中にクエスチョンマークが飛び回っている。浩司の発言に対しての結論は出やしないけど、結局ハッキリしている事は一つだけ。
(私は浩司くんの事誰よりも好き。ここまで来たら、あとは惚れさせるっきゃねーじゃんっ!)
ギュッとクッションを抱く腕に力を込めると、決意を漲らせて顔を上げた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる