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Fourth Contact きみが好き
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「マドカ、本当に飲酒で帰るの?」
結構酔いの回っている円華を心配そうに支えながら、ウォルターは門扉に手を遣り尋ねる。
点けっ放しにしておいた玄関灯が頭上から二人を照らしている。
「何? それって遠回しに泊まれっつってんの?」
ニッと笑い見上げてくる気丈な眼差し。
「って言ったらどうする?」
多少危なっかしいが、無理強いはしたくないので決定権は本人に委ねるつもりだった。が。
「ウォルター自身は、私にどーして欲しい?」
円華は笑みを消して、顔を覗き込んで来た。
「危ないから、運転は止めた方がいいかなと思うよ。まあ、傷心のマドカに俺がしてやれることって添い寝くらいだし?」
目を見つめたまま、ウォルターは少し屈み込んで唇を寄せた。
「お望みなら、その後如何様にも」
「ま、飲酒でパクられても馬鹿らしいから、ね」
ふうと息をついて、円華は前髪をかき上げた。
強がる女性は嫌いではない。ウォルターは「はいはい」と笑いながら鍵を開け、自室へと導いた。
「お風呂は?」
クローゼットからハンガーを出しながらウォルターが問うた。
「貸してもらえると嬉しーんだけどぉ」
泊まる予定はさらさらなかった円華は、家で済ませてこなかったのである。
「先、借りていい?」
「ん。何なら洗ってあげようか?」
麻のジャケットをハンガーに掛けると、ウォルターは部屋の隅のコートツリーに掛けた。
「その台詞、一体今まで何人の女に言った?」
くすりと笑って指差し、
「他人に見せれるプロポーションになったら、ね」
とウインクする。
ウォルターはさして残念そうでも無く「ちぇっ」と言うと「じゃあ待ってまーす」とベッドに腰掛けた。
(ウォルターって、冗談で言ってんのか、マジなんか判んねーよなぁ……)
円華は脱衣所で服を脱ぐと、籠からバスタオルを一枚拝借して浴室に入った。
(ウォルターのあーゆー冗談めかして言うトコって、保と似てんだよなぁ~)
男らしく精悍な保と、どちらかといえば綺麗な顔のウォルターを胸の中で思い浮かべながら、シャワーの温度を調節した。
円華がバスタオルを巻いて部屋に戻ってみると、ウォルターはランニングとイージーパンツに着替えてベッドの上で寝息を立てていた。
まだ少し湿っている髪をフェイスタオルでポンポン叩きながら、円華はベッドの端に腰掛ける。
動く様子のないウォルターの寝顔を見て、ふぅ~と息を吐き、そのまましばらく眺めていた。規則正しく胸が浅く上下し、着やせするタイプだなぁなんて思いながら水分を取っていたのだが、もういいかとそっと腰を上げる。
(何かパジャマ代わりのもの借りようっと)
勝手にクローゼットを漁り、ロングTシャツを引っ張り出して頭から被ると、裾を引っ張りショーツが見えないのを確認する。
(よしっ、と)
部屋の隅に自分の服を畳んで置いてから、またベッドに座って寝ているウォルターの肩を揺すった。
「ウォルター、ウォルターってば」
「んー?」
ウォルターは眠そうな声で生返事をし、ごにょごにょと何か呟いている。何だろうと思って円華が顔を寄せると、腕で頭を抱え込まれた。
「判った判った……足らないんだな」
夢現で誰かと勘違いしているのか、脇腹から手を這わせてTシャツの裾から大きな手が太腿を撫で上げてくる。
「ちょっ、ちょっと!! ちょっとちょっとちょっとーっ!!」
懸命に裾を手で押さえながら、円華は声を上げた。
「ん」とウォルターは顔を摺り寄せて円華の顔の位置を確認すると、唇を寄せて耳朶を軽く噛んだ。
「だ、誰と間違えてんだよっ」
抗議しながらも、そのまま耳の後ろへと這わされる舌の誘惑に引きづられそうになる。
(ウォルターのことは嫌じゃないけどぉ……けど、ちょっと待ってよぉ!! 誰かと間違えてなんてサイテーじゃん。
女の子はデリケートなんだからっ!!
それに取り敢えずシャワー浴びてからじゃないとっ)
どうやらその気になってしまったらしい。
そういえば随分ご無沙汰しているし、こういう風にさり気なく誘われるのは気分が良かった。今までは大抵ラブホに入った途端、という感じだったので。
円華はグイッとウォルターの顔を両手で押しのける。
「取り敢えずシャワー浴びて来てよっ」
言った途端、パチリと目が開き「はーい」とウォルターは返事をしてスタスタと浴室の方へ行ってしまった。
一瞬ぽかんとして見送った円華だったが、ふつふつと怒りがこみ上げてきた。
(あんにゃろーはぁ、狸かよぉ……騙しやがってぇ…… )
円華はベッドに座り直し、ギュッと拳を握る。
(言わなかったらあのまま雪崩れ込むつもりだったんだな~。そりゃあウォルターは自分でも『巧い方だと思う』つってたし、女の扱いも慣れてるんだろーけどぉ。
来るもの拒まず去るもの追わずっつーやつかぁ?
こーゆートコも保と似てんだもんな)
はふっと溜め息。保のことを思い出してしまうとスッと熱が冷めるように怒りもやる気も引いていってしまった。
(けど私が好きなんはぁ、あのいー加減でのーてんぱぁの男でぇ……)
結構酔いの回っている円華を心配そうに支えながら、ウォルターは門扉に手を遣り尋ねる。
点けっ放しにしておいた玄関灯が頭上から二人を照らしている。
「何? それって遠回しに泊まれっつってんの?」
ニッと笑い見上げてくる気丈な眼差し。
「って言ったらどうする?」
多少危なっかしいが、無理強いはしたくないので決定権は本人に委ねるつもりだった。が。
「ウォルター自身は、私にどーして欲しい?」
円華は笑みを消して、顔を覗き込んで来た。
「危ないから、運転は止めた方がいいかなと思うよ。まあ、傷心のマドカに俺がしてやれることって添い寝くらいだし?」
目を見つめたまま、ウォルターは少し屈み込んで唇を寄せた。
「お望みなら、その後如何様にも」
「ま、飲酒でパクられても馬鹿らしいから、ね」
ふうと息をついて、円華は前髪をかき上げた。
強がる女性は嫌いではない。ウォルターは「はいはい」と笑いながら鍵を開け、自室へと導いた。
「お風呂は?」
クローゼットからハンガーを出しながらウォルターが問うた。
「貸してもらえると嬉しーんだけどぉ」
泊まる予定はさらさらなかった円華は、家で済ませてこなかったのである。
「先、借りていい?」
「ん。何なら洗ってあげようか?」
麻のジャケットをハンガーに掛けると、ウォルターは部屋の隅のコートツリーに掛けた。
「その台詞、一体今まで何人の女に言った?」
くすりと笑って指差し、
「他人に見せれるプロポーションになったら、ね」
とウインクする。
ウォルターはさして残念そうでも無く「ちぇっ」と言うと「じゃあ待ってまーす」とベッドに腰掛けた。
(ウォルターって、冗談で言ってんのか、マジなんか判んねーよなぁ……)
円華は脱衣所で服を脱ぐと、籠からバスタオルを一枚拝借して浴室に入った。
(ウォルターのあーゆー冗談めかして言うトコって、保と似てんだよなぁ~)
男らしく精悍な保と、どちらかといえば綺麗な顔のウォルターを胸の中で思い浮かべながら、シャワーの温度を調節した。
円華がバスタオルを巻いて部屋に戻ってみると、ウォルターはランニングとイージーパンツに着替えてベッドの上で寝息を立てていた。
まだ少し湿っている髪をフェイスタオルでポンポン叩きながら、円華はベッドの端に腰掛ける。
動く様子のないウォルターの寝顔を見て、ふぅ~と息を吐き、そのまましばらく眺めていた。規則正しく胸が浅く上下し、着やせするタイプだなぁなんて思いながら水分を取っていたのだが、もういいかとそっと腰を上げる。
(何かパジャマ代わりのもの借りようっと)
勝手にクローゼットを漁り、ロングTシャツを引っ張り出して頭から被ると、裾を引っ張りショーツが見えないのを確認する。
(よしっ、と)
部屋の隅に自分の服を畳んで置いてから、またベッドに座って寝ているウォルターの肩を揺すった。
「ウォルター、ウォルターってば」
「んー?」
ウォルターは眠そうな声で生返事をし、ごにょごにょと何か呟いている。何だろうと思って円華が顔を寄せると、腕で頭を抱え込まれた。
「判った判った……足らないんだな」
夢現で誰かと勘違いしているのか、脇腹から手を這わせてTシャツの裾から大きな手が太腿を撫で上げてくる。
「ちょっ、ちょっと!! ちょっとちょっとちょっとーっ!!」
懸命に裾を手で押さえながら、円華は声を上げた。
「ん」とウォルターは顔を摺り寄せて円華の顔の位置を確認すると、唇を寄せて耳朶を軽く噛んだ。
「だ、誰と間違えてんだよっ」
抗議しながらも、そのまま耳の後ろへと這わされる舌の誘惑に引きづられそうになる。
(ウォルターのことは嫌じゃないけどぉ……けど、ちょっと待ってよぉ!! 誰かと間違えてなんてサイテーじゃん。
女の子はデリケートなんだからっ!!
それに取り敢えずシャワー浴びてからじゃないとっ)
どうやらその気になってしまったらしい。
そういえば随分ご無沙汰しているし、こういう風にさり気なく誘われるのは気分が良かった。今までは大抵ラブホに入った途端、という感じだったので。
円華はグイッとウォルターの顔を両手で押しのける。
「取り敢えずシャワー浴びて来てよっ」
言った途端、パチリと目が開き「はーい」とウォルターは返事をしてスタスタと浴室の方へ行ってしまった。
一瞬ぽかんとして見送った円華だったが、ふつふつと怒りがこみ上げてきた。
(あんにゃろーはぁ、狸かよぉ……騙しやがってぇ…… )
円華はベッドに座り直し、ギュッと拳を握る。
(言わなかったらあのまま雪崩れ込むつもりだったんだな~。そりゃあウォルターは自分でも『巧い方だと思う』つってたし、女の扱いも慣れてるんだろーけどぉ。
来るもの拒まず去るもの追わずっつーやつかぁ?
こーゆートコも保と似てんだもんな)
はふっと溜め息。保のことを思い出してしまうとスッと熱が冷めるように怒りもやる気も引いていってしまった。
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