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Third Contact すれ違いの純情
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けれども新菜の心中はもやもやのドロドロだった。
(内容は判ったけど、けどっ! だからっつって、何であの子満くんのツレに振られたからって、次は満くんなワケ!?
満くんも満くんよっ。可哀相だからって、んなのに付き合ってたら図に乗るに決まってんじゃん。
女なんて、特にああいう頭空っぽなタイプは単純なんだから。あの子が自分に惚れるかもってこと、何で考えないんだぁ?
会った途端抱き付くし……)
どうにか表面上は取り繕った顔を保っていたが、団扇を持つ手が白くなるくらい力いっぱい握り締めていた。
その隣では円華が、
(楽しくやってるって時に、感じ悪ぃーーーーっ!!
見るからにぬるそーな女だし、後でシメたろーか)
などと物騒な笑みを浮かべ、その心を読んだのか「やめとけ」と新菜が囁いた。
「けど……」
「相手は中坊……」
たかが中学生に満が本気になるわけはないという理由を付け、二人は何とか冷静さを取り戻して頷きあった。
そのささやかな会話は満には届いていない。だから誰も彼女たちの勘違いを訂正してはくれなかったのだ。
真柴繭、星野原学園高等部一年生。
行動を共にしていた女子も皆小柄だったためか、普段も化粧して通うのが当たり前の学校に通っているせいかは判らない。それらの相乗効果かもしれないのだけれど。
新菜と円華は、彼女は中等部の生徒だと勝手に思い込んでしまったのである。
一方その頃の浩司はというと、路地裏で少し空しさを感じているところだった。
なるべく人気のない場所をと選んだ場所が、メインストリートから一本中に入ったビルとビルの隙間の細い道だった。
足元には空き瓶やら誰かが投げ捨てた弁当ガラなどが散乱する暗がりで、延々と繭に説教していたのだが、何を言っても反応がなく、ただただ口を開けて背の高い浩司を見上げている。
身長差が三十センチ近くあるため、通りかかる人が見たら本当にただの弱いものいじめに見えてしまう。もしかしたら兄妹に見られているかもしれないが。
恐怖で固まっているのならまだ判るが、その表情はまさに暖簾に腕押し糠に釘といった感じのぽやんとしたものである。
溜め込んでいた怒りを爆発させて、それでも努めて理論的に諭しているつもりの浩司もいい加減別の意味で腹が立ってきている。
(だーめだ、こりゃ。反省どころか、人の話聞いちゃいねーな。
一発殴っとくか、こいつ……)
不穏な空気を感じたのか、
「浩司、駄目だよーん、人気のないとこにか弱い女の子連れ込んじゃ」
遠巻きに繭を見守っていた女子たちを掻き分けて、ウォルターがやって来た。
(内容は判ったけど、けどっ! だからっつって、何であの子満くんのツレに振られたからって、次は満くんなワケ!?
満くんも満くんよっ。可哀相だからって、んなのに付き合ってたら図に乗るに決まってんじゃん。
女なんて、特にああいう頭空っぽなタイプは単純なんだから。あの子が自分に惚れるかもってこと、何で考えないんだぁ?
会った途端抱き付くし……)
どうにか表面上は取り繕った顔を保っていたが、団扇を持つ手が白くなるくらい力いっぱい握り締めていた。
その隣では円華が、
(楽しくやってるって時に、感じ悪ぃーーーーっ!!
見るからにぬるそーな女だし、後でシメたろーか)
などと物騒な笑みを浮かべ、その心を読んだのか「やめとけ」と新菜が囁いた。
「けど……」
「相手は中坊……」
たかが中学生に満が本気になるわけはないという理由を付け、二人は何とか冷静さを取り戻して頷きあった。
そのささやかな会話は満には届いていない。だから誰も彼女たちの勘違いを訂正してはくれなかったのだ。
真柴繭、星野原学園高等部一年生。
行動を共にしていた女子も皆小柄だったためか、普段も化粧して通うのが当たり前の学校に通っているせいかは判らない。それらの相乗効果かもしれないのだけれど。
新菜と円華は、彼女は中等部の生徒だと勝手に思い込んでしまったのである。
一方その頃の浩司はというと、路地裏で少し空しさを感じているところだった。
なるべく人気のない場所をと選んだ場所が、メインストリートから一本中に入ったビルとビルの隙間の細い道だった。
足元には空き瓶やら誰かが投げ捨てた弁当ガラなどが散乱する暗がりで、延々と繭に説教していたのだが、何を言っても反応がなく、ただただ口を開けて背の高い浩司を見上げている。
身長差が三十センチ近くあるため、通りかかる人が見たら本当にただの弱いものいじめに見えてしまう。もしかしたら兄妹に見られているかもしれないが。
恐怖で固まっているのならまだ判るが、その表情はまさに暖簾に腕押し糠に釘といった感じのぽやんとしたものである。
溜め込んでいた怒りを爆発させて、それでも努めて理論的に諭しているつもりの浩司もいい加減別の意味で腹が立ってきている。
(だーめだ、こりゃ。反省どころか、人の話聞いちゃいねーな。
一発殴っとくか、こいつ……)
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「浩司、駄目だよーん、人気のないとこにか弱い女の子連れ込んじゃ」
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