138 / 153
この後どんな風になっても
しおりを挟む「ねぇ、今ちょっとだけ時間ある?」
「レオナさん? どうかされたんですか?」
昨日のお風呂の中でリディアちゃんに話した、冒険者にアクセサリーを貸す話について、早速実行に移してみた。
最初に声を掛けたのは、一番下のF級からB級まで、たったの二年で駆け上がってきた、私が目を掛けているパーティの一つだ。
その中で、パーティの要とも言える薬師の少女に声を掛け、ギルドの個室へ招き入れた。
「この個室って、依頼者がギルド職員へ依頼の相談をする部屋ですよね? 私、初めて入りましたよ」
「まぁ、依頼を受ける側の冒険者は、あまり入る機会は無いわよね。でも、依頼者の個人情報や、報酬の話なんかを大っぴらな場所でやる訳にもいかないから、防音魔法が施されたこの部屋で……って、脱線したわね。本題へ入りましょう」
「は、はい。あの、私たちのパーティが、何かやらかしたのでしょうか?」
「逆よ。優秀で、かつ信頼出来るからこそ声を掛けたの。もちろん、悪い話ではないわ。ちょーっと協力して欲しいのよ」
目の前の少女が小さく頷いたので、今朝リディアちゃんから借りてきた、木の葉をモチーフにしたブローチを取り出す。
リディアちゃんの説明によると、これは身体や精神の異常に耐性を持つ事が出来る効果があるのだとか。
薬師は、その名の通り薬を用いてパーティメンバーの怪我を治したり、麻痺や幻覚状態を解いたり、逆に毒草などを用いて相手を撹乱したりと、魔物と戦いながらも冷静な判断力が求められる。
「……という訳で、このブローチをつけているだけで、パーティの危険度が大きく減るのよ」
「例えば、毒アゲハが使ってくる鱗粉攻撃で、パーティ全員が麻痺させられて全滅……なんて話があるけれど、これを身につけていれば麻痺が防げて、仲間を治療することが出来るって事ですか?」
「そういう事よ。毒アゲハの鱗粉は、風に乗って全員一気にやられちゃう事があるからね。とはいえ、絶対防御って訳ではなくて、効きにくいって思ってくれれば良いわ」
「えっと、そのブローチを買わないかっていうお話ですか?」
「いいえ。試行として使って欲しいの。もちろん料金なんてかからないわ。ただ、後で返してくれれば良いだけよ。その時、ちょっと感想とかを聞かせてもらうかもしれないけど」
「はぁ……まぁそれくらいでしたら」
半信半疑って感じだけど、一先ず一つ目のアクセサリーを渡し、次の冒険者を探す。
今度は魔力が上がるアクセサリーを渡し、次は敏捷性。あとは、スタミナを増やすとか。
いずれも信頼出来る子にしか渡していないし、きっといけるはずっ!
だってリディアちゃんのアクセサリーは、本当に凄いから!
きっと、ギルドのため、冒険者のため、そして依頼者のためになるはずよっ!
「レオナさん? どうかされたんですか?」
昨日のお風呂の中でリディアちゃんに話した、冒険者にアクセサリーを貸す話について、早速実行に移してみた。
最初に声を掛けたのは、一番下のF級からB級まで、たったの二年で駆け上がってきた、私が目を掛けているパーティの一つだ。
その中で、パーティの要とも言える薬師の少女に声を掛け、ギルドの個室へ招き入れた。
「この個室って、依頼者がギルド職員へ依頼の相談をする部屋ですよね? 私、初めて入りましたよ」
「まぁ、依頼を受ける側の冒険者は、あまり入る機会は無いわよね。でも、依頼者の個人情報や、報酬の話なんかを大っぴらな場所でやる訳にもいかないから、防音魔法が施されたこの部屋で……って、脱線したわね。本題へ入りましょう」
「は、はい。あの、私たちのパーティが、何かやらかしたのでしょうか?」
「逆よ。優秀で、かつ信頼出来るからこそ声を掛けたの。もちろん、悪い話ではないわ。ちょーっと協力して欲しいのよ」
目の前の少女が小さく頷いたので、今朝リディアちゃんから借りてきた、木の葉をモチーフにしたブローチを取り出す。
リディアちゃんの説明によると、これは身体や精神の異常に耐性を持つ事が出来る効果があるのだとか。
薬師は、その名の通り薬を用いてパーティメンバーの怪我を治したり、麻痺や幻覚状態を解いたり、逆に毒草などを用いて相手を撹乱したりと、魔物と戦いながらも冷静な判断力が求められる。
「……という訳で、このブローチをつけているだけで、パーティの危険度が大きく減るのよ」
「例えば、毒アゲハが使ってくる鱗粉攻撃で、パーティ全員が麻痺させられて全滅……なんて話があるけれど、これを身につけていれば麻痺が防げて、仲間を治療することが出来るって事ですか?」
「そういう事よ。毒アゲハの鱗粉は、風に乗って全員一気にやられちゃう事があるからね。とはいえ、絶対防御って訳ではなくて、効きにくいって思ってくれれば良いわ」
「えっと、そのブローチを買わないかっていうお話ですか?」
「いいえ。試行として使って欲しいの。もちろん料金なんてかからないわ。ただ、後で返してくれれば良いだけよ。その時、ちょっと感想とかを聞かせてもらうかもしれないけど」
「はぁ……まぁそれくらいでしたら」
半信半疑って感じだけど、一先ず一つ目のアクセサリーを渡し、次の冒険者を探す。
今度は魔力が上がるアクセサリーを渡し、次は敏捷性。あとは、スタミナを増やすとか。
いずれも信頼出来る子にしか渡していないし、きっといけるはずっ!
だってリディアちゃんのアクセサリーは、本当に凄いから!
きっと、ギルドのため、冒険者のため、そして依頼者のためになるはずよっ!
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。


いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

みどりとあおとあお
うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。
ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。
モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。
そんな碧の物語です。
短編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる